令和元年12月5日(木)
第19回 久留米三井薬剤師会主催 Develop Seminar
が久留米シティプラザにて開催されました。
今回のナビゲーターである
いこいの薬局 古賀 義浩先生の紹介により
医療法人社団高邦会高木病院 内科部長
小野 恭裕先生から
『2 型糖尿病の薬物治療 ~ビグアナイド剤の有用性を考える~』
についてご講演いただきました。
近年、日本人の肥満人口は、脂肪摂取量の増加に伴い増えていると言われています。
その治療薬の中でも、体格に左右されず、予後が良いとされているビグアナイド剤「メトホルミン」について詳しく解説していただきました。
成人から小児まで治験が実施され、広く処方されていますが、その中で我々現場の薬剤師として注意すべき点として、
添付文書にも警告として記載されている「乳酸アシドーシス」の重要性についてのお話が強く印象に残りました。
・肝、腎機能に障害のある方
・75歳以上の方
・過度のアルコール摂取、シックデイ(体調が悪く、食事が摂れない時)、脱水時
については注意が必要とのことです。
初期症状としては胃腸症状(悪心等)、筋肉痛、脱力感等があり、これが進行して数時間放置の後、昏睡状態に陥ると死亡率が50%に至ります。
中でも脱力感が出た場合は要注意のため、特にシックデイ時は早めの受診をおすすめするとのことでした。
また、年配の方は見かけでは判断しにくく、投与量が少量でも一気に重症化することもあるため、
日ごろからの注意が必要だとお話しされていました。
また造影剤を使う場合、使用前の二日前を含む三日間は服用ができないことにも注意が必要です。
こちらも特に高齢者の方は急な使用の可能性もあるため、お薬手帳での服用管理の重要性を感じました。
また、基本は食後服用であるが、患者様に服用時の吐き気等の消化器症状がなければ、食前服用の選択肢もあるとの解説もありました。
食前服用によるグレリン分泌抑制作用により、満腹効果が持続する可能性があり、食事療法への効果が期待されるとのことです。
こちらも処方せんのチェックポイントの一つになると思いました。
そのほか、メトホルミンによる発がん抑制効果や、体重減少、動脈肥厚への有効性など、様々な解説をいただき、非常に保険調剤に勤める薬剤師にとっては、理解を深めることができたと実感できるご講演でした。
生涯学習委員
広報編集委員 水久保愛