今年秋の開通を目指して工事が進められている新宮紀宝道路

開通を間近に控えた5月下旬に、新宮市側の様子を撮影してきましたので、その様子をお届けします

 

 

 

 

新宮紀宝道路は、和歌山県新宮市の新宮北ICと三重県紀宝町の紀宝ICの間を結ぶ総延長2.4㎞の自動車専用道路です

この道路は将来的には、紀伊半島を一周する高速道路ネットワークの一部として組み込まれる予定で、新宮北IC側では新宮道路と、紀宝IC側では紀宝熊野道路と接続する予定です

 

現時点では既存の高速道路網と接続していないため、慢性的に渋滞にする新宮市内の国道42号線(大橋通り)並びに熊野大橋・新熊野大橋のバイパス道路の性格が強いです

こちらの写真は新宮市側の新宮北ICの様子で、手前に見えているのは和歌山県道231号線です

 

 

「IC番号欄が空白になっている標識は開通前しか見れないのでは?」と思って撮影してみたのがこちらの写真です

ただ、紀伊半島南端部の高速道路はミッシングリンク状態となっており、那智勝浦新宮道路にもIC番号は付与されていないことから、開通するまでに数字が割り振られるのかどうかは分かりません

 

 

路線延長2.4kmの新宮紀宝道路ですが、途中1ヶ所に紀宝鵜殿ICが設置されますが、ハーフインターチェンジとなっています

つまり、紀宝鵜殿ICから新宮紀宝道路へ入り、紀宝ICへ向かうことができない構造になるはずです(間違えていたらごめんなさい)

 

 

新宮紀宝道路の1/3を占めるのが、こちらの熊野川河口大橋です

 

熊野川を渡って和歌山県と三重県を結ぶ橋には、1935年に完成した熊野大橋と1979年に完成した新熊野大橋があります

前者は戦前の開通であることから一方通行となっている上に、水面から高さが低いことから、2011年の紀伊半島大水害の時に熊野川が増水した時は冠水して、通行できなくなりました

 

今回の新宮紀宝道路並びに熊野川河口大橋の完成によって、増水時の冗長性が確保されるほか、国道42号線の渋滞緩和にも貢献することでしょう

まだ正式な開通日は発表されていませんが、折しも南海トラフ地震の臨時情報が発表されており、命の道としての活躍が期待されます

先日、実家のあれやこれやを片付けていると、「ひかりレールスター」がデビューした当時のパンフレットが見つかりました

 

 

インテリジェント・サルーンのキャッチコピーを引っ提げて、”レール上を駆け抜ける流星”をイメージしたスタイリッシュなロゴマークが特徴的な「ひかりレールスター」は2000年3月のダイヤ改正で登場しました

 

国鉄の分割民営化以降、福岡空港の便利すぎる立地に山陽新幹線を保有するJR西日本は対航空機のシェア争いのなかで、0系を改造した「ウエストひかり」を登場させました

ビュッフェ車の連結や車内で映画鑑賞ができるシネマカーと、なりふり構わず航空機からお客さんを分捕ってやろうという積極策が展開されていました

 

そんななか、1995年1月に発生した阪神淡路大震災で山陽新幹線が不通になったことから、関西~福岡間は航空機が優勢な状況が続いていました

1997年3月に登場した500系「のぞみ」に続いて、対航空機の切り札としてJR西日本が生み出したのが「ひかりレールスター」です

 

 

「ひかりレールスター」専用として製造された700系E編成は8両編成で、16両編成のB・C編成とは違って、500系に似たライトグレーをベースに、陽光溢れる山陽路をイメージしたサニーイエローをラインを配した独自のエクステリアに仕上がっています

 

車内はモノクラスとなりましたが、普通車指定席については横4列配置のサルーンシートとなっており、シートピッチやフットレストの有無を除けば、グリーン車並みのアコモデーションが提供されています

供食設備はバッサリとカットされましたが、4人用のセミコンパートメントが設けれたほか、緊急時を除いて車内放送が行われないサイレンスカーが導入され、ハード・ソフトの両面で「ウエストひかり」から進化が見られます

 

 

車内設備で面白かったのは、乗換案内ができる「旅指南」ではないでしょうか?

デッキに設置された端末で、時刻表や乗換案内が検索できるもので、いわばYahoo乗換案内の先駆けともいえます

当時はようやくガラケーでiモードのサービス提供が始まった頃で、タッチパネルで乗換案内が検索できる旅指南は時代の最先端をいくものでした

 

最盛期は定期列車が1日25往復運行されていた「ひかりレールスター」も、九州新幹線全線開業による山陽新幹線との直通運転開始に伴い、N700系7000・8000番台車を使用する「さくら」「みずほ」に発展的解消を遂げる形で徐々に本数が削減されていきました

いまや「ひかりレールスター」の定期列車は、早朝の新下関→岡山の片道1本(590号)のみの設定で、絶滅危惧種となっています

 

700系E編成については、JR西日本の社長会見において、短編成化されるN700系により、2027年までに全16編成中、半数にあたる8編成が500系共々置き換えられることが明らかになりました

レールスターの全面置き換えはまだ先のことになりそうですが、平成を彩った名車の引退はやはり寂しく感じますね

梅雨空も鬱陶しく感じる6月下旬の某日のこと、ふと太地駅の花壇に紫陽花が綺麗に咲いているのを見つけました

国道脇であり、少々アングルは苦しいものの、きのくに線を走る列車と紫陽花の共演をファインダーに収めることができそうです

 

 

被写体として選んだのは、283系オーシャンアローが充当される「くろしお」36号です

側面がホワイト&グレーで地味な287・289系よりも、283系の方が紫陽花と絡めた時に被写体としてメリハリが出ると思います

 

 

雨上がりの駅で、一輪一輪が静かに存在感を主張している紫陽花とオーシャンブルーの車体との一瞬のランデブーをスナップすることができました

本日7月31日、オーシャンアローはデビューから28年目を迎えました

7月24日に行われたJR西日本の社長会見の場において、同社の保有する500系新幹線について、2027年を目途に営業運転を終了することが発表されました

1997年に登場した500系新幹線は、TGVと並んで当時世界最速の300km/h運転を実現した車両です

 

同車の特徴は何と言っても、トンネル微気圧波を低減するために、先頭車両の半分以上が流線形となっている点であり、円筒形の車体断面やグレー系の塗装も相まって、そのジェット戦闘機のようなエクステリアはちびっ子から大人まで幅広い人気を集めていました

 

しかし、そのカッコいいロングノーズの代償として、先頭車両の座席配置が300系や700系と異なること、定員確保のために先頭車両に客用扉が1ヶ所しか設けられておらず、ダイヤが乱れた際の運用面で少なからぬ混乱を来していました

2007年に300km/h運転が可能で、なおかつ車体傾斜装置を備えたN700系が登場すると、徐々に500系は「のぞみ」運用から退き、2010年2月28日を以って東海道新幹線内での運行、並びに「のぞみ」での運用が終了しました

 

合計で9編成(W1~W9)製造された500系ですが、W2~W9の8編成については、8両に短縮された上で、新たにV2~V9の編成記号が与えられ、2008年12月から0系を置き換える形で、山陽新幹線内で「こだま」として再スタートを切っています

なお、W1編成については短編成化改造は行われずに、1号車が京都鉄道博物館で、16号車が日立製作所笠戸事業所で保存されています

 

8編成が改造された500系ですが、既にV5・V6編成は廃車になっているため、残りは6編成となっていました

今年の2月14日にも500系の去就について発表があり、

・2024年度から2026年度にかけて、N700系4編成を16両から8両へ改造

・2026年度末までに6編成ある500系のうち、4編成を上記の短編成化されたN700系で置き換える

の2点が明らかになっていました

 

さらに、今回の発表では、

・500系の営業運転を2027年で終了すること

・短編成化されるN700系は合計で14編成となること

・500系6編成に加えて700系”レールスター”8編成を置き換えること

の3点が判明しました

 

これまでは500系の置き換えだけに言及されてきましたが、ここにきて16編成在籍している700系”レールスター”についても、2027年までに半数の8編成がN700系によって置き換えられることになりました

平成初期生まれで関西で育った人間からすると、新幹線といえば500系「のぞみ」と700系「ひかりレールスター」だったので、「平成は遠くになりにけり」と感じてしまいます

 

なお、500系については2027年の完全引退までに、惜別企画が実施される予定です

 

▲2027年に完全引退する500系新幹線

 

▲雨降りの姫路駅で発車を待つレールスター

本当はもっとこまめに更新をかけたいのだけれども、何だかんだで記事の更新ができず、気になる情報が頭の中でグルグル回っている状態なので、たまにこのブログしている「気になる鉄道ニュースをまとめてみた」を久しぶりに書こうと思います

 

たまにこのタイトルの記事を書いていますが、あまりにも不定期過ぎるが故に、前に書いたのがいつなのか管理人でも思い出せません

ということで、まずはJR東日本の話題からスタートです

 

●JR東日本高崎支社 EL・DL運行終了へ

既に1ヶ月以上前の6月9日のことになりますが、JR東日本より高崎支社所属の電気機関車とディーゼル機関車について、2024年秋に運行を終了すると発表しました

今回引退する機関車は、EF65形が1両とEF64形・DD51形が2両ずつの計5両で、これまでSL列車の補助機関車や「DL・ELぐんまよこかわ」などで活躍したほか、カシオペア紀行の先頭に立つ姿も見られました

 

今後、SL列車の補助機関車の役目はGV-E197系へ引き継がれる予定で、この発表に先立って5月14日に上越線内で同車が12系を牽引する試運転も行われました

引退を前にして高崎支社では、9月15日から23日にかけて、「EL・DLぐんま」号などが10往復運行されます

 

ところで、今回の発表では田端のEF81形については特に言及されていませんが、気掛かりなのは「カシオペア」の処遇です

1999年の登場から四半世紀が経過して老朽化していること、2017年にはフラッグシップの座を四季島へ譲っており、客車列車であるが故に機関車の廃止と呼応して、引退する可能性があります

 

JR東日本が運営しているWebサイト「日本の旅、鉄道の旅」内のカシオペア紀行の予約ページが更新されていない状態が続いていましたが、7月16日のデビュー25周年記念運転を皮切りに、特設サイトの設定や旅行商品の販売が行われることになりました

 

もう少し鉄路を駆け抜ける最後の客車寝台列車の活躍を見ることができそうですね

 

▲登場25周年を迎える「カシオペア」

 

●ひたちなか海浜鉄道 JR東日本からキハ100形を導入へ

7月3日にひたちなか海浜鉄道はJR東日本から既存車両の置き換えと観光列車用としてJR東日本からキハ100形を3両導入すると発表しました

置き換えの対象となるのは、キハ20形とラストナンバー車として知られるキハ205形と三木鉄道から移籍してきたミキ300形です

 

特に、キハ205形については1964年に製造された国鉄生まれの車両であり、いすみ鉄道のキハ28形が引退したいまとなっては国内で活躍する最古参の気動車であることから、引退前に一度は乗車みたいところですね

 

●伊豆急THE ROYAL EXPRESS JR東海管内で運行へ

5月30日には、伊豆急が保有・運行している観光列車THE ROYAL EXPRESSがJR東海管内を運行するという驚愕の発表がありました

今回のツアーは2024年の11月から12月にかけて、横浜を発着地とする3泊4日のツアーを計6回催行し、料金は1室2名で75~82万円となっています

 

北海道や四国への運行時と同じく、ずいぶん強気の値段設定ではありますが、”富裕層”には決して高くないのでしょう

横浜発着のため、熱海駅以東の運行はJR東日本、同駅以西の運行はJR東海が担います

 

それにしても、今回は伊豆急から車両をチャーターするとはいえ、頑なに「観光列車は運行しない」という方針を貫いてきたJR東海に姿勢の変化に驚かされます

 

●ドクターイエロー運行終了へ

6月14日ですが、JR東海は東海道・山陽新幹線の検測車両である923形0番台車…通称”ドクターイエロー”…を老朽化のため引退させる方針であることを明らかにしました

ドクターイエローには、JR東海所有のT4編成とJR西日本所有のT5編成の計2編成が在籍しており、このうち前者が2025年1月に、後者が2027年に運行を終える予定です

 

ダイヤが非公開であることや、通常の営業用車両とはまったく違う黄色い出で立ちに、いつしか「見ると幸せになれる新幹線」と呼ばれる存在になりました

初代ドクターイエローは0系がベースでしたが、2代目の現行モデルは2001年に登場し、700系がベースとなっています

 

700系については、山陽新幹線内を主に「こだま」として走るE編成レールスターを残すのみで、東海道新幹線内では既に見ることはできません

それ故に、全列車が最高速度285km/hのN700系列で運行される東海道新幹線内において、ドクターイエローの最高速度は270km/hでしかなく、営業列車よりも足が遅いことも引退の原因といえそうです

 

後継車両については、検測機器を搭載したN700S系を17編成導入し、営業運転を行いながらドクターイエローが行っていた線路や架線の検測を行えるようになります

専用の検測車両を用いずとも、お客さんを乗せた状態で検測ができるようになるのは技術の進歩あってこそですね

 

▲有名な瀬田カーブを往くドクターイエロー

 

●JR西日本、12系客車を廃車へ

5月28日に京都鉄道博物館より、宮原支所所属の12系客車を展示される旨のプレスリリースが発表されましたが、タイトルが”さよなら展示”となっており、文中には2024年夏に廃車予定と明記されています

2021年5月にはSL「北びわこ」号の運行も終了し、めぼしい稼働実績といえば米原訓練、網干訓練くらいしかありませんでした

 

引退を前に6月27日から7月2日にかけてSLスチーム号の客車が12系へ変更されるほか、7月4日にはC56形160号機に12系5両を連結し、SL「北びわこ」号を再現する企画が予定されています

 

▲主にSL「北びわこ」号で活躍していた近ミハの12系

 

●JR東日本&西日本 在来線車両の部品共通化の検討を開始

7月5日にことになりますが、両社の連名で在来線車両の部品共通化の検討を始めたことが明らかになりました

発表内容を見ると、コロナ禍で打撃を受けたものの旅客輸送量は緩やかに回復傾向にあるものの、少子高齢化により生産人口は減少を続けており、車両メーカー側リソースも有限であることから、車両製造時の生産性の向上や設計プロセスの効率化を目指すことを目的としています

 

まずは、モーターや行先表示器、パンタグラフの共通化からスタートさせて、先頭形状やドア枚数など各社異なる仕様については、今後検討していくと言及するに留めています

もしかしたら、今後103系や205系のように再び関西と関東で同じ通勤電車が走る日がやって来るかもしれませんね

 

●智頭急行、「スーパーはくと」後継車両の導入を検討へ

関西~鳥取間を智頭急行経由で結ぶ「スーパーはくと」ですが、5年後を目途に後継車両の導入を目指して乗り入れ先のJR西日本と協議中であることが明らかになりました

同列車に使用されているHOT7000系は、智頭急行の開業した1994年から2002年にかけて製造され、初期の車両は今年で車齢30年目に入り、2008年から2009年にかけてリニューアル工事が実施されているとはいえ、老朽化が進んでいます

 

HOT7000系がJR四国の2000系をベースに製造されたことを考えると、次期「スーパーはくと」用車両もJR四国の2700系ベースになりそうですが、クルマも気動車も電動化へ大きく舵を切りつつあることを踏まえると、JR東海のHC85系に制御付き振り子装置を付加したような車両になるかもしれません

HC85系が難なく120km/h運転をこなし、キハ85系の後継車両として過不足ない活躍を見せていることから、「スーパーはくと」の後継車両がピュアエンジン車になる可能性は低そうです

 

▲前照灯がLED化される前のHOT7000系

 

●JR四国、ハイブリッド車両導入へ

半年以上前の話題になってしまいますが、2月にJR四国から老朽化の進むキハ40系列の後継車両としてハイブリッド車両を導入することが発表されました

メカニズム的には、ディーゼル発電機とバッテリーからの電力でVVVFを介してモーターを駆動するシリーズ式で、JR東日本のHB-E300系やJR東海のHC85系と同じ構造となります

 

エクステリアは、JR四国のコーポレートカラーである水色…四国の空や海をイメージした…を纏ったカラーリングで、まずは量産先行車として4両2編成が2025年12月に落成予定です

2000系の置き換え用である2700系はピュアエンジン車としたJR四国ですが、環境への影響やメンテナンスの負担軽減を図るために、ハイブリッド車両を導入に踏み切りました

 

量産先行車は単行運転の不可能な2両1ユニット構成となっていますが、量産車が登場する際に両運転台の車両も製造されるのか気がかりです

JR北海道は、2025年春のダイヤ改正で旭川~網走を結ぶ特急「大雪」2往復について、快速化を検討していることが判明しました

 

JR北海道は、快速化の理由として利用客が都市間バスやマイカーへ転移していることを挙げており、ワンマン化により運転要員のスリム化が図られ、特急料金不要で速達性が提供できることをメリットとして挙げています

ただし、これは表向きの理由で本当の理由は別にありそうです

 

石北本線を走る特急列車…「オホーツク」「大雪」…には、2023年春改正時からキハ183系に代えて、「おおぞら」で活躍していたキハ283系が運行を始めました

ご存じの方も多いように、同車は2011年に石勝線内で減速機の垂下に起因して脱線火災事故を起こしています

 

その後、JR北海道がスピードから安全最優先の方針を打ち出し、特急列車の最高速度が130km/hから120㎞/hへ引き下げられました

そんななか、キハ283系だけは車体の剛性に問題があったのか、他の特急型車両よりもさらに10km/h低い、110㎞/hに最高速度が抑えられました

 

キハ283系の最終増備は2001年であり、もっとも新しい車両でも今年で製造から23年が経過しています

一般的な車両では、そこまで老朽化が進む年数ではありませんが、同車は軽量化を突き詰めた構造であるが故に、思った以上にガタが来ているのかもしれません

 

そこへさらに、2030年度末に予定されていた北海道新幹線の札幌開業が”未定”になってしまいました

北海道新幹線が札幌まで開業すれば、札幌~函館間を結ぶ「北斗」はお役御免になるため、同列車に使用されているキハ261系1000番台を石北本線へ転用することができます

 

誰もが、キハ283系は北海道新幹線の開業でキハ261系1000番台が転用されるまでのつなぎと思っていただけに、JR北海道としても”アテが外れた”ような状態かと推察されます

YouTube上でも、石北本線内を走るキハ283系が激しく揺れる様子を収録したものが投稿されており、「大雪」の快速化で、なるべくキハ283系を延命して継続使用したい考えが見え隠れします

 

2017年春改正時に従来の「オホーツク」の運転区間を短縮する形で登場した「大雪」

1992年3月改正で消滅した歴史のある列車名が復活したことで、ファンからは好意をもって迎えられましたが、僅か8年で消滅の危機を迎えることになりました

 

なお、札幌~網走間を直通で結ぶ「オホーツク」は従来通り運行が継続されますが、ますますOKD~MMB間の空路を利することになりそうです

 

▲「おおぞら」時代のキハ283系

2023年も押し迫った12月29日のこと、当ブログの管理人は岡山駅に降り立ちました

その目的は、置き換えが間近に迫った381系を記録(乗車&撮影)することに他なりません

 

何しろ紀勢本線の沿線で生まれ育った管理人にとって、381系は鉄道趣味の原点といえる車両なわけです

実は、5月のGW時に幸いにもパノクロの最前列…1号車1番A席…が確保できたこともあり、人生で初めて「やくも」に乗車し、米子・松江エリアを訪れました

 

その時は、中国地方をぐるっと一周する旅程を優先したこともあって、「やくも」用の381系に用意された各種リバイバル塗装のうち、「スーパーやくも」編成とはタイミングが合わず、国鉄色しか記録することができませんでした

 

さらに、2023年11月5日からは、紫色の”スーパー編成”以外に施されていたグレー地に緑色と黄色の帯を纏う通称”緑やくも”も運行を開始しました

これにより、273系への置き換えを直前に控えたこのタイミングで、「やくも」に充当される381系において、歴代カラーリングが揃い踏みとなる奇跡的な状況が生まれたわけです

 

しかし、昨年12月の『381系特急やくも「リバイバル塗装車両」今後の運行計画について』と題されたプレスリリースにおいて、スーパーやくも色が24年4月5日に、国鉄色と緑やくも色についても6月30日限りで運用を離脱することが明らかになりました

 

ゆったりやくも色については、繁忙期に備えた波動用として、しばらく残存することが仄めかされいますが、24年6月15日以降はすべての「やくも」で273系への置き換えが完了します

 

そうした事情に私のハートは強く突き動かされ、年末年始の休暇を使い、「ひかり」509号で岡山駅に着いたところまでは順調だったわけです

「ひかり」で岡山駅に到着する前に、伯備線が落石により不通となっている旨の悲痛なアナウンスがありました

 

おでかけネットを確認すると、方谷駅構内で落石が発生し、岡山駅を14時5分に発車する「やくも」17号から発車がストップしています

15時半頃に、運転再開の見込みは早くても17時半頃になることが判明したものの、その後ズルズルと再開時刻は後ろ倒しになり、18時頃にはすっかり疲れてしまいました

 

ここに来て、1日目の岡山以遠の予定をキャンセルし、急遽駅直上にあるヴィアイン岡山に投宿しました

せっかく今日はホテル一畑の温泉でゆっくりしようと思っていたのですが、相手が自然現象である以上は仕方ありません

 

どうせ岡山で泊まることになるなら、焦って駅弁を買わずに、どこかへ食べにいけばよかったですね

ちなみに、ようやく18時50分頃になって「やくも」17号が約5時間遅れで発車していくのをホテルの部屋から確認できました

 

そして、部屋から「やくも」が見れたということは、つまり私にアサインされた部屋がトレインビューであることを意味します

 

▲700系7000番台E編成「こだま」838号

 

温泉に入れなかったのは残念でしたが、翌朝カーテンを開けると、部屋の窓からは素晴らしい景色が飛び込んできました

やはり平成初期生まれの管理人にとっては、山陽新幹線=500系「のぞみ」&700系「ひかりレールスター」なんですよね

 

 

かつては”國鉄廣島”と揶揄されていたのも今は昔

広島地区に続いて、岡山地区でも227系の投入が始まり、273系の投入とあわせて、いよいよ”國鉄岡山”も終焉が間近に迫っています

 

 

広島地区へ投入された0番台がカープ顔負けの鮮烈な赤に”Red Wing”の愛称を引っさげているのに対して、岡山地区用の500番台は”Urara”の愛称が与えられ、桃や桜をモチーフにしたピンクのテーマカラーが特徴です

 

 

昨日も岡山駅で見かけましたが、あかいアンパンマン列車に1両だけ一般色が組み込まれた編成がありました

アンパンマン列車は、あか編成ときいろ編成が4両ずつ用意されていないので、増結しようとすると一般色を連結するしかありません

 


それでは、気を取り直してスーパーやくも色が充当される「やくも」5号に乗車して出雲市へ行くと思いきや…
 

 

「サンライズ出雲」91号に乗って出雲市まで向かいます

わざわざ岡山まで来たのに、なぜ「サンライズ出雲」に乗ることになったしまったのか?

それには深いワケがあります

 

当初の予定では、今ごろ私は松江にいるはずで、スーパーやくも編成が充当される「やくも」20号のロザを確保していたわけです

「やくも」20号に出雲市から乗ろうと思うと、岡山から「やくも」1・3・5号のいずれかに乗車しないと間に合いません

 

ところが、年末の帰省ラッシュ真っ只中に空席があるはずもなく、僅かに1号のハザに空席がある以外は、夕方の便まで満席が続いています

1号の岡山発は7時05分発で、早起きする自信がなかったので、早々と私の中の選択肢からは除外されました

 

「やくも」に乗るのは諦めて、大人しく倉敷の美観地区と水島臨海鉄道でも乗りに行こうかとe5489を見ながら旅程を練り直していると、「サンライズ出雲」91号のノビノビ座席に空席を発見しました

岡山駅の発車は8時51分で二度寝するにはもってこいの時間帯ですし、終点・出雲市駅の到着は13時07分なので、「やくも」20号にも間に合います

 

 

ということで、人生で3度目の”サンライズエクスプレス”に揺られて、一路出雲市駅を目指します

これまでの利用は2回とも「サンライズ瀬戸」の方だったので、285系で岡山~出雲市間を移動するのは初めてで、もちろんノビノビ座席に乗るのも初めてです

 

こちらのノビノビ座席ですが、寝台車ではなく普通車指定席扱いなので、寝台料金は不要で、運賃+指定席特急料金でリーズナブルに利用することができます

 

 

この日の「サンライズ出雲」91号(以下、91号)には、JR西日本所属の0番台車のトップナンバー(I1編成)が充当されていました

普通席扱いのノビノビ座席が大部分を占める車両ですが、車端部にはシングルが2室設けられているので、形式はモハ”ネ”285形500番台となります

 

 

乗車中には気付きませんでしたが、定期列車の下り「サンライズ出雲」では、「サンライズ瀬戸」と併結する関係で、ノビノビ座席が12号車となるところを、単独運行となる91号に限って5号車となります

 

 

通路を片側に寄せて、カーテンに覆われた”座席”が並ぶ様子は、かつて”Bハネ”で一夜を過ごした思い出を想起させてくれるものです

寝台電車であることを踏まえると、”Bハネ”と呼ばずに、先輩である583系に敬意を表して”電ハネ”と呼んだ方がいいのかもしれません

 

 

ノビノビ座席には1番から7番まで座席番号が振られており、A・B席が下段、C・D席が上段となっています

私がe5489を見た時は、C席を僅かに2席残すのみだったので、選択の余地はありませんでした

 

 

昨日の落石騒ぎで待ちぼうけを喰らった疲れで、A・B席とC・D席のどちらが上段なのか、調べることさえしなかったのですが、無事に?眺めいい上段に収まりました

窓側には、枕元灯、読書灯が備わり、ドリンクホルダーには紙コップも用意されています

 

読書灯は壁面にあるスイッチを使うことで、ユーザーサイドでON/OFFができますが、枕元灯は深夜帯以外は点灯したままのようです

なお、各個室にはコンセントが用意されていますが、ノビノビ座席は通路側に業務用と思しきコンセントしかありません

 

また、寝台列車では定番ともいえる浴衣やスリッパも用意されておらず、あくまでも”寝台”車ではなく、”座席”車であることが窺えます

 

 

臨時列車ということもあって、91号は定期列車の合間を縫うようにして走ります

岡山→出雲市間だけを比べてみても、定期の「サンライズ出雲」が3時間24分なのに対して、当方の91号は4時間16分と、1時間近く余計にかかっています

 

単線区間のみならず、複線区間にある美袋駅でも運転停車を行い、後続の「やくも」5号に道を譲ります

同じ特急電車同士とはいえ、線形の険しい伯備線内では振り子電車の381系にスピード面で太刀打ちできません

 

美袋駅の駅舎は1925年の開通当初に建設されたもので、ほぼ100年の歴史を感じる重厚な建物です

一瞬だったので、91号を追い抜いて行く「やくも」5号の写真は撮れませんでした

 

 

備中高梁や新見でまとまった数の下車があったので、隣の座席を見渡せるようになりました

先述したように、あくまでも座席であることから、フローリングにカーペットを敷いてあるだけなので、床面はかなり硬いです

 

私のように短距離・短時間の乗車で二度寝をするくらいなら気になりませんが、これで東京から一晩を過ごすのは体力的に厳しい…熟睡できない…ような気がします

いくぶん空いてくれば気になりませんが、Bハネよりも人間同士の距離が近く、セキュリティの欠片もないため、いくら寝台料金不要とはいえ、管理人のように神経質な性格の人間は避けた方がいいかもしれません

 

不思議なことに、天板にカーテンレールはあるのに、隣の座席との間にカーテンはありません

通路と座席の間にカーテンを付けるのであれば、こっちに付けた方が寝顔を見られずに済むのに…と思えてなりません

 

 

そのデザインやコンセプトが高く評価された285系は、グッドデザイン賞とブルネル賞奨励賞を受賞しています

同じくJR西日本が生み出した281系もブルネル賞の優秀賞を受賞していますね

 

飛行機の最終便よりも遅く出発し、始発便よりも早く目的地に到着するのが「サンライズ瀬戸・出雲」のダイヤではセールスポイントとなっています

そのセールスポイント故に、定期のサンライズはスジが立っており、東京を出るとすぐに寝支度を整えないと睡眠不足になってしまいます

 

特に、これまで管理人が乗車したことのある「サンライズ瀬戸」の場合は、終点の高松まで乗ったとしても乗車時間は9時間半でしかありません

「サンライズ瀬戸」に2回乗ったことがある割には、寝るのに精いっぱいだったので、今回は車内をゆっくり見物することができました

 

▲B個室ソロのある3号車廊下

 

▲シングルを中心に車端部にはシングルツインもある

 

ノビノビ座席を除くと、サンライズエクスプレスには5種類の個室があります

その中でも一番部屋数が多く、ポピュラーなのがB個室シングルで、寝台料金は7,700円となっています

 

サンライズエクスプレスが登場する前は、1人用のB個室としてはソロが用意されていたほか、JR西日本オリジナルの個室としてシングルツインが「トワイライトエクスプレス」や24系時代の「出雲」に連結されていました

シングルツインはサンライズエクスプレスにも継承されましたが、シングルは同列車の登場と軌を一にして初めてお目見えしました

 

改造車も含めて、このB個室シングルが他列車に波及することはありませんでしたが、同じB個室であるソロよりも居住性に優れているため、寝台料金にして1,100円の差額は納得いくものかと思われます

かくいう私も、初めてのサンライズ乗車で、シングルに空室があったのに、なぜかソロに乗ってしまい、その圧迫感に辟易とした苦い思い出があります

 

 

寝台列車らしく、洗面所は各車両に設置されている…と言いたいところですが、B個室ソロの設けられている3(10)とノビノビ座席のある5(12)号車に洗面所はありません

デザインやレイアウトそのものは、同じくJR西日本の681・683系と似通ったものではありますが、シンクは枕木方向ではなく、レール方向に設置されています

 

 

285系がデビューした当時、1・4・6・7号車のトイレは洋式と和式が1ヶ所ずつでしたが、2013年から2016年にかけて行われたリニューアル工事の結果、すべて洋式に変更されました

できれば、ウォシュレットも付けて欲しかったところですが、さすがにそこまで望むのは贅沢でしょうか?

 

 

こちらは2号車に設置されているバリアフリー対応便所です

どうしても地上の建物と比べて、車体幅に制約のある鉄道車両においては、2000年代以降に円弧状にしたバリアフリー対応便所が主流になりましたが、こちらは潔くスパッとした直線基調のレイアウトになっています

 

 

3号車の4号車寄りにはミニラウンジが設けられており、スツールが8脚並びます

285系よりも遡ること2年前に登場した283系では、きのくに線走行時にオーシャンビューとなるようスツールやソファが全て海側の一方向を向いていますが、こちらは左右両方向を望めるような配置になっています

 

すぐ横には共用のシャワーブースや自販機が設置されているため、先にシャワーを浴びているお客さんを待ったり、眠れない時に飲み物を片手に夜の車窓を眺めたりする時に重宝する空間です

なお、すぐ横はドア一枚を隔ててすぐにソロとなっているため、大声での酒盛りは厳禁です

 

 

肝心の自販機ですが、お茶・ミネラルウォーター・エナドリ・コーラ・コーヒーの5種類しか販売されていません

それなりに大きな自販機なので、もう少し品数を増やして欲しい…できればアルコール類も…ところですが、最近は自販機さえ撤去される傾向にあるので、”あるだけマシ”なのかもしれません

 

 

シャワーブースの利用料金は330円で、制限時間6分となっており、髪の長い人だと時間が足りなくなるかもしれません

このシャワーブースを利用するには、同じくミニラウンジ内に設置されている自販機でシャワーカードを購入する必要がありますが、給排水タンクの容量との兼ね合いもあり、先着20人限定です

 

どうしてもシャワーが浴びたい場合は、始発駅から乗車しないと、すぐに売り切れてしまいます

A個室シングルDXであれば、専用のシャワーブースが用意されているので、シャワーカードの確保に気を揉まなくても済みますが、寝台券がプラチナチケットですからねぇ

 

 

更衣室にはきちんとドライヤーもありますが、実際に使ってみた人の感想では、風量がそれほど強くないようですね

なお、シャンプーとボディソープは備え付けられていますが、タオルはありませんので、注意が必要です

 

写真は撮りそびれましたが、安来で「やくも」16号と離合しました

すれ違ったのは何の変哲もないゆったりやくもでしたが、「サンライズ出雲」から眺める381系というのも、直に見納めですね

 

車窓からぼんやりと宍道湖を眺めていると、程なくして車内チャイムが鳴動し、終点・出雲市駅に定刻に到着しました

定期の下り「サンライズ出雲」であれば、岡山→出雲市間は3時間24分ですが、臨時の91号については4時間16分と、1時間弱余計にかかります

 

無論、定期のサンライズならともかく、こちらの臨時便には車内に急いでいるような素振りの人などおらず、サンライズを満喫したいのであれば、この臨時便がおすすめです

ちなみに、今年の3月のダイヤ改正で「サンライズ出雲」91号の所要時間はさらに伸びて、東京駅の発車時刻に変更は無いながらも、出雲市駅の到着時刻が13時07分から13時39分へ変更されました

 

かつて、「日本海」や「あけぼの」が奥羽本線内で”ヒルネ”扱いを行っていましたが、今回のように夜を越さないノビノビ座席の利用はそれを追憶できるものでした

願わくば、今度は東京からシングルDXで乗り通したいですね

 

 

出雲市駅では、隣の2番のりばに「やくも」20号となる”スーパーやくも”が停車中でした

”スーパーやくも”塗色が23年2月に復活してから今年の4月5日引退するまでに、「サンライズ出雲」91・92号が運行されたのは僅かに3シーズンしかなく、かなり貴重なシーンをカメラに収めることができました

 

 

これだけでもお腹いっぱいになりかけていたのですが、さらに岡山からの「やくも」7号に運用変更があったようで、”緑やくも”編成が充当されており、サンライズ×スーパーやくも×緑やくもの奇跡的とも言える共演シーンが出雲市駅で展開されました

 

伯備線の落石で予定が狂ってしまいましたが、そんなマイナスの出来事を全て吹っ飛ばしてくれる絶景で、2023年を最高の形で締めくくることができました

昨日のことになりますが、JR東海より東海道新幹線を走るN700S系車両に個室を導入することが発表されました

導入予定の個室は2026年度中にサービスを開始する予定で、レッグレストやユーザーサイドで空調や照明を調整できるなど、グリーン車を上回るアコモデーションとなる予定です

 

山陽新幹線では700系E編成にセミコンパートメントが設置されていますが、東海道新幹線を走る車両に個室が設けられるのは、100系新幹線が引退して以来、およそ四半世紀ぶりの復活になります

プレスリリースによると、この個室は1編成につき2室が設置され、喫煙ルームや車販準備室を転用する形でスペースを捻出するようです

 

このため、編成定員1,323人の大原則を崩すことなく、プライベート空間として個室を提供できる予定ですが、喫煙ルームや車販準備室は車端部に設置されていることから、乗り心地で通常の客室に劣ることになりそうです

 

なお、料金については未定となっていますが、東海道新幹線では政治家や著名人の利用も多いので、プライベート空間に対する堅調なニーズが想定されることから、強気の値段設定でも人気は出そうですね

ところで、プレスリリースの最後に、「新幹線の新たな座席のあり方については、引き続き検討を進めます」という一文を敢えて記載しているところに、JR東海としては個室以外の隠し玉を用意しているのでしょうか?

 

▲N700S系のグリーン車 さらなるハイグレードな個室はどんな仕上がりになるだろうか?