かつて新幹線や在来線を走る多くの特急列車に連結されていた食堂車

時代の流れと共に徐々に数を減らし、新幹線からは2002年に姿を消しました

 

その後も北海道へ向かう寝台特急たち…「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」…では営業が継続されましたが、北海道新幹線の開業に伴いこれらの列車は全廃されました

そうした中で、古き良きブルートレインの食堂車の風情を今に伝えるレストランが埼玉県川口市にあります

 

その名はベーカリーレストラン「グランシャリオ」

 

 

 

最寄駅は武蔵野線または埼玉高速鉄道の東川口駅で、両路線の駅は隣接しています

駅からお店までは500mほどしか離れておらず、大人の足であれば10分とかかりません

 

 

9月上旬とはいえ、真夏と変わらない気配の太陽がじりじりと我々を照らしつけるなか、東川口駅前通りをえっちらおっちらと歩いていくと…

 

 

住宅街のど真ん中に突如としてブルーの鉄道車両が現れました

 

 

 

上述したようにお店の名前は、ベーカリーレストラン「グランシャリオ」で、かつて上野~札幌間を結んでいた寝台特急「北斗星」の食堂車を移設して営業を行っています

 

 

お店と表現すればいいのか、それとも車両と表現すればいいのか難しいところですが、「グランシャリオ」はピュアホームズグループという介護事業や建設事業を経営している会社が管理しているようで、同じ敷地内に和食料理の「神楽」やイタリアンの「リストランテ谷澤」が営業しています

 

 

店内?車内?に一刻も早く足を踏み入れたい衝動に駆られつつも、まずは外観をひとしきり観察します

2022年に塗装修繕工事が完了したばかりで、車体は眩いばかりのブルーに輝いており、そのままパーイチに牽引されて動き出しそうな雰囲気です

 

 

車体妻面に設置されている銘板がそのままなのも鉄道愛好家にとっては嬉しいポイントです

東急車両で昭和48年に製造され、もともとはサシ481 64として生を受け、昭和63年に改造された際にスシ24 504へ生まれ変わりました

 

 

24系オリジナルの食堂車はオシ24形ですが、「北斗星」がデビューした当時は食堂車が不足していたため、ちょうど余剰が発生していた特急電車の食堂車を改造することでスシ24形500番台が生まれました

2008年3月のダイヤ改正時に1往復化されてからは、食堂車の担当がJR東日本となったことから、JR北海道が所有する食堂車は運用を失い、同年中に廃車されました

 

JR北海道所有分も含めて計8両が改造された同車ですが、晩年はスシ24 504・505・506の3両で運行を担っていたようです

ちなみに、スシ24形の”500番台”が存在するということは”0番台”も存在し、そちらは「トワイライトエクスプレス」用の食堂車となります

 

 

出自が電車であることを如実に示しているのが台車で、ご覧の通りTR69Eを履いています

他に電車からブルートレインに編入された例としては、JR九州がかつて運行を受け持っていた寝台特急「なは」のレガートシート車であるオハ24形300番台車がサロ481形からの改造によって生まれています

 

 

検査表記を見ると、最後の検査は引退の約2年前である平成25年11月になっていました

 

 

車端部に設置されているアンチローリングダンパを観察しながら店内へ入ります

通常運行時に食堂車の連結面をじっくり観察することは出来なかったため、何とも新鮮な体験です

 

 

テイクアウトもできるようですが、ここまでやって来て車内で食事を頂かないというのは無粋極まりないです

 

 

車内へ一歩足を踏み入れ、厨房横の通路を歩くと、不意に懐かしさがこみ上げてきます

 

 

床も壁も手すりも現役当時そのままで、しかもペダルを踏むと、きちんと手洗い場の水まで出てくるのですから、驚かされます

鉄道新聞のインタビュー記事を見ると、わざわざ水道管を繋いで水を出るようにしたそうで、手間を惜しまず車両の保存にかける並々ならぬ情熱が伝わってきます

 

 

店内へ足を踏み入れると、そこには現役当時の「グランシャリオ」がそのままの空間が広がっています

何度か現役当時に乗ったことのある管理人としては、いたく感動しました

 

 

 

厨房側に近いテーブルには、実際に使われていたコースターやHOゲージ、雑誌の紹介ページなどが飾られています

確か、現役当時もこのテーブルはグッズ販売コーナーになっていたような気がします

 

 

飲み終わったスープの器が汚くてごめんなさい

食堂車といえばカレーと決まっているのかもしれませんが、私は淡路島たまねぎとトマトたっぷりハヤシソースにしました

たまねぎのまろやかさが口に広がる美味しさで、食べ放題のパンと共に、味も雰囲気も大満足でした

 

 

これで車窓が動いていたら最高なんですが… 贅沢は言えません

テーブルクロスだけは新調されていますが、ランプシェードやカーテンも現役当時そのままで、「北斗星」を知る人間としては嬉しい限りです

 

 

グランシャリオのプレートに照明がきらきらと反射して幻想的です

 

 

 

とにかく現役当時そのままにこだわっているのがひしひしと伝わってきますが、驚いたことに時刻表やお弁当・お土産類の賞味期限表まで保管されていました

レールの上を走っていた頃からの違いはエアコンだけで、どうしても電圧の関係で流用することができず、家庭用のエアコンが店内に2ヶ所設置されていました

 

 

機会があればまた是非訪問したいと思える最高のレストランでした

できればブルトレの生き証人として末永く営業して欲しいですね

1994年9月4日、完全な人工島では世界で初めての空港として泉州沖に関西国際空港が開港しました

対岸の大阪府との間には関西国際空港連絡橋で結ばれ、橋の上部は片側3車線の自動車専用道路である国道481号線、下部にはJR西日本の関西空港線と南海電鉄の空港線が複線の線路を共用する形で、それぞれ空港アクセスを担っています

 

本年9月4日に関西国際空港は開港30周年を迎え、開港と同時に運行を開始したJR西日本の「はるか」と南海の「ラピート」も共に運行30周年を迎えました

先日、所用で関空を利用した際に、30周年記念ラッピングの施された「はるか」をスナップする機会がありましたので、ご紹介します

 

 

 

まずは関西空港駅の改札を通り抜けると、「はるか」の歴史を振り返る写真コーナーがありました

一番左上にある写真は、京都駅でデビュー前の試運転の姿を捉えたものですが、当時はまだ巨大な京都駅ビルは完成しておらず、ホーム上方が広々としています

 

 

 

ハローキティの存在感に負けているような気がしないでもありませんが、車体の各所に281系のフォルムを象った30周年記念ロゴが掲出されています

ドア脇に配されたスクエアドットのイラストは「はるか」のシンボルにもなっていますが、列車の目的地が京都であることから、古都の碁盤の目を表現したものと捉えることもできそうです

 

 

6号車となるクハ281形の運転席後方には、かつて京都シティエアターミナル(K-CAT)で搭乗手続きを行った利用客向けの荷物スペースがありました

K-CAT廃止後はデッドスペースになっていましたが、2016年に荷物室ドアが落下する事故が発生したことを受けて封鎖されたため、いまではドアがあった痕跡を見つけることも難しくなっています

 

 

こちらは京都方の先頭車である1号車のクロ280形です

この角度から見ると、281系に特有の弧を描くインバースラインの造形がよく分かりますね

 

かつてK-CATが稼働していた時代は京都方がクハ281形でしたが、アメリカ同時多発テロ事件の影響もあって、K-CATは廃止されました

2002年に編成全体で方向転換が実施された結果、グリーン車が京都方を向くいまの姿に落ち着きました

 

結果として、同じ阪和線を走る「くろしお」とはグリーン車の連結位置と号車番号が反対になっています

 

 

JR西日本の設計・製造する特急型車両ついては、287系・271系・273系がそうであるように、681系の貫通型先頭車の流れを汲む電気釜スタイルに集約されつつあるいま、281系の個性的なスタイリングは稀有な存在であるといえます

 

 

登場以来、一貫して専用形式である281系によって運行されていた「はるか」ですが、2020年3月改正時に新しい仲間として271系が戦列に加わりました

インバウンド観光客が年々増加しつつあることや、東京五輪や関西万博を見据えて「はるか」の全列車を9両編成で運行可能とすべく増備された車両ですが、デビュー早々に新型コロナウイルス感染症の影響で、全編成が運用から離脱する羽目になってしまったのは諸兄もよくご存じの通りです

 

いまでは、こうして元気に運用に復帰して281系と手を取り合って、再びインバウンド観光客をせっせこと運んでいます

7年後にはなにわ筋線が開業する予定であり、登場から30年を迎えた281系については同線の開業までに置き換えが始まるのではないでしょうか?

 

 

3,000セット限定販売と聞いて、売れ切れては大変だと思い、DISCOVER WEST mallより「はるか」30周年記念入場券セットを注文しました

 

 

「はるか」の運行区間である野洲・京都~関西空港間の入場券に、開くと「はるか」のイラストが飛び出してくる記念台紙がセットになってお値段3,000円でした

せっかく関西空港駅に立ち寄ったので、「ラピート」記念入場券も買ってくればよかったと後悔しています

今年秋の開通を目指して工事が進められている新宮紀宝道路

開通を間近に控えた5月下旬に、新宮市側の様子を撮影してきましたので、その様子をお届けします

 

 

 

 

新宮紀宝道路は、和歌山県新宮市の新宮北ICと三重県紀宝町の紀宝ICの間を結ぶ総延長2.4㎞の自動車専用道路です

この道路は将来的には、紀伊半島を一周する高速道路ネットワークの一部として組み込まれる予定で、新宮北IC側では新宮道路と、紀宝IC側では紀宝熊野道路と接続する予定です

 

現時点では既存の高速道路網と接続していないため、慢性的に渋滞にする新宮市内の国道42号線(大橋通り)並びに熊野大橋・新熊野大橋のバイパス道路の性格が強いです

こちらの写真は新宮市側の新宮北ICの様子で、手前に見えているのは和歌山県道231号線です

 

 

「IC番号欄が空白になっている標識は開通前しか見れないのでは?」と思って撮影してみたのがこちらの写真です

ただ、紀伊半島南端部の高速道路はミッシングリンク状態となっており、那智勝浦新宮道路にもIC番号は付与されていないことから、開通するまでに数字が割り振られるのかどうかは分かりません

 

 

路線延長2.4kmの新宮紀宝道路ですが、途中1ヶ所に紀宝鵜殿ICが設置されますが、ハーフインターチェンジとなっています

つまり、紀宝鵜殿ICから新宮紀宝道路へ入り、紀宝ICへ向かうことができない構造になるはずです(間違えていたらごめんなさい)

 

 

新宮紀宝道路の1/3を占めるのが、こちらの熊野川河口大橋です

 

熊野川を渡って和歌山県と三重県を結ぶ橋には、1935年に完成した熊野大橋と1979年に完成した新熊野大橋があります

前者は戦前の開通であることから一方通行となっている上に、水面から高さが低いことから、2011年の紀伊半島大水害の時に熊野川が増水した時は冠水して、通行できなくなりました

 

今回の新宮紀宝道路並びに熊野川河口大橋の完成によって、増水時の冗長性が確保されるほか、国道42号線の渋滞緩和にも貢献することでしょう

まだ正式な開通日は発表されていませんが、折しも南海トラフ地震の臨時情報が発表されており、命の道としての活躍が期待されます

先日、実家のあれやこれやを片付けていると、「ひかりレールスター」がデビューした当時のパンフレットが見つかりました

 

 

インテリジェント・サルーンのキャッチコピーを引っ提げて、”レール上を駆け抜ける流星”をイメージしたスタイリッシュなロゴマークが特徴的な「ひかりレールスター」は2000年3月のダイヤ改正で登場しました

 

国鉄の分割民営化以降、福岡空港の便利すぎる立地に山陽新幹線を保有するJR西日本は対航空機のシェア争いのなかで、0系を改造した「ウエストひかり」を登場させました

ビュッフェ車の連結や車内で映画鑑賞ができるシネマカーと、なりふり構わず航空機からお客さんを分捕ってやろうという積極策が展開されていました

 

そんななか、1995年1月に発生した阪神淡路大震災で山陽新幹線が不通になったことから、関西~福岡間は航空機が優勢な状況が続いていました

1997年3月に登場した500系「のぞみ」に続いて、対航空機の切り札としてJR西日本が生み出したのが「ひかりレールスター」です

 

 

「ひかりレールスター」専用として製造された700系E編成は8両編成で、16両編成のB・C編成とは違って、500系に似たライトグレーをベースに、陽光溢れる山陽路をイメージしたサニーイエローをラインを配した独自のエクステリアに仕上がっています

 

車内はモノクラスとなりましたが、普通車指定席については横4列配置のサルーンシートとなっており、シートピッチやフットレストの有無を除けば、グリーン車並みのアコモデーションが提供されています

供食設備はバッサリとカットされましたが、4人用のセミコンパートメントが設けれたほか、緊急時を除いて車内放送が行われないサイレンスカーが導入され、ハード・ソフトの両面で「ウエストひかり」から進化が見られます

 

 

車内設備で面白かったのは、乗換案内ができる「旅指南」ではないでしょうか?

デッキに設置された端末で、時刻表や乗換案内が検索できるもので、いわばYahoo乗換案内の先駆けともいえます

当時はようやくガラケーでiモードのサービス提供が始まった頃で、タッチパネルで乗換案内が検索できる旅指南は時代の最先端をいくものでした

 

最盛期は定期列車が1日25往復運行されていた「ひかりレールスター」も、九州新幹線全線開業による山陽新幹線との直通運転開始に伴い、N700系7000・8000番台車を使用する「さくら」「みずほ」に発展的解消を遂げる形で徐々に本数が削減されていきました

いまや「ひかりレールスター」の定期列車は、早朝の新下関→岡山の片道1本(590号)のみの設定で、絶滅危惧種となっています

 

700系E編成については、JR西日本の社長会見において、短編成化されるN700系により、2027年までに全16編成中、半数にあたる8編成が500系共々置き換えられることが明らかになりました

レールスターの全面置き換えはまだ先のことになりそうですが、平成を彩った名車の引退はやはり寂しく感じますね

梅雨空も鬱陶しく感じる6月下旬の某日のこと、ふと太地駅の花壇に紫陽花が綺麗に咲いているのを見つけました

国道脇であり、少々アングルは苦しいものの、きのくに線を走る列車と紫陽花の共演をファインダーに収めることができそうです

 

 

被写体として選んだのは、283系オーシャンアローが充当される「くろしお」36号です

側面がホワイト&グレーで地味な287・289系よりも、283系の方が紫陽花と絡めた時に被写体としてメリハリが出ると思います

 

 

雨上がりの駅で、一輪一輪が静かに存在感を主張している紫陽花とオーシャンブルーの車体との一瞬のランデブーをスナップすることができました

本日7月31日、オーシャンアローはデビューから28年目を迎えました

7月24日に行われたJR西日本の社長会見の場において、同社の保有する500系新幹線について、2027年を目途に営業運転を終了することが発表されました

1997年に登場した500系新幹線は、TGVと並んで当時世界最速の300km/h運転を実現した車両です

 

同車の特徴は何と言っても、トンネル微気圧波を低減するために、先頭車両の半分以上が流線形となっている点であり、円筒形の車体断面やグレー系の塗装も相まって、そのジェット戦闘機のようなエクステリアはちびっ子から大人まで幅広い人気を集めていました

 

しかし、そのカッコいいロングノーズの代償として、先頭車両の座席配置が300系や700系と異なること、定員確保のために先頭車両に客用扉が1ヶ所しか設けられておらず、ダイヤが乱れた際の運用面で少なからぬ混乱を来していました

2007年に300km/h運転が可能で、なおかつ車体傾斜装置を備えたN700系が登場すると、徐々に500系は「のぞみ」運用から退き、2010年2月28日を以って東海道新幹線内での運行、並びに「のぞみ」での運用が終了しました

 

合計で9編成(W1~W9)製造された500系ですが、W2~W9の8編成については、8両に短縮された上で、新たにV2~V9の編成記号が与えられ、2008年12月から0系を置き換える形で、山陽新幹線内で「こだま」として再スタートを切っています

なお、W1編成については短編成化改造は行われずに、1号車が京都鉄道博物館で、16号車が日立製作所笠戸事業所で保存されています

 

8編成が改造された500系ですが、既にV5・V6編成は廃車になっているため、残りは6編成となっていました

今年の2月14日にも500系の去就について発表があり、

・2024年度から2026年度にかけて、N700系4編成を16両から8両へ改造

・2026年度末までに6編成ある500系のうち、4編成を上記の短編成化されたN700系で置き換える

の2点が明らかになっていました

 

さらに、今回の発表では、

・500系の営業運転を2027年で終了すること

・短編成化されるN700系は合計で14編成となること

・500系6編成に加えて700系”レールスター”8編成を置き換えること

の3点が判明しました

 

これまでは500系の置き換えだけに言及されてきましたが、ここにきて16編成在籍している700系”レールスター”についても、2027年までに半数の8編成がN700系によって置き換えられることになりました

平成初期生まれで関西で育った人間からすると、新幹線といえば500系「のぞみ」と700系「ひかりレールスター」だったので、「平成は遠くになりにけり」と感じてしまいます

 

なお、500系については2027年の完全引退までに、惜別企画が実施される予定です

 

▲2027年に完全引退する500系新幹線

 

▲雨降りの姫路駅で発車を待つレールスター

本当はもっとこまめに更新をかけたいのだけれども、何だかんだで記事の更新ができず、気になる情報が頭の中でグルグル回っている状態なので、たまにこのブログしている「気になる鉄道ニュースをまとめてみた」を久しぶりに書こうと思います

 

たまにこのタイトルの記事を書いていますが、あまりにも不定期過ぎるが故に、前に書いたのがいつなのか管理人でも思い出せません

ということで、まずはJR東日本の話題からスタートです

 

●JR東日本高崎支社 EL・DL運行終了へ

既に1ヶ月以上前の6月9日のことになりますが、JR東日本より高崎支社所属の電気機関車とディーゼル機関車について、2024年秋に運行を終了すると発表しました

今回引退する機関車は、EF65形が1両とEF64形・DD51形が2両ずつの計5両で、これまでSL列車の補助機関車や「DL・ELぐんまよこかわ」などで活躍したほか、カシオペア紀行の先頭に立つ姿も見られました

 

今後、SL列車の補助機関車の役目はGV-E197系へ引き継がれる予定で、この発表に先立って5月14日に上越線内で同車が12系を牽引する試運転も行われました

引退を前にして高崎支社では、9月15日から23日にかけて、「EL・DLぐんま」号などが10往復運行されます

 

ところで、今回の発表では田端のEF81形については特に言及されていませんが、気掛かりなのは「カシオペア」の処遇です

1999年の登場から四半世紀が経過して老朽化していること、2017年にはフラッグシップの座を四季島へ譲っており、客車列車であるが故に機関車の廃止と呼応して、引退する可能性があります

 

JR東日本が運営しているWebサイト「日本の旅、鉄道の旅」内のカシオペア紀行の予約ページが更新されていない状態が続いていましたが、7月16日のデビュー25周年記念運転を皮切りに、特設サイトの設定や旅行商品の販売が行われることになりました

 

もう少し鉄路を駆け抜ける最後の客車寝台列車の活躍を見ることができそうですね

 

▲登場25周年を迎える「カシオペア」

 

●ひたちなか海浜鉄道 JR東日本からキハ100形を導入へ

7月3日にひたちなか海浜鉄道はJR東日本から既存車両の置き換えと観光列車用としてJR東日本からキハ100形を3両導入すると発表しました

置き換えの対象となるのは、キハ20形とラストナンバー車として知られるキハ205形と三木鉄道から移籍してきたミキ300形です

 

特に、キハ205形については1964年に製造された国鉄生まれの車両であり、いすみ鉄道のキハ28形が引退したいまとなっては国内で活躍する最古参の気動車であることから、引退前に一度は乗車みたいところですね

 

●伊豆急THE ROYAL EXPRESS JR東海管内で運行へ

5月30日には、伊豆急が保有・運行している観光列車THE ROYAL EXPRESSがJR東海管内を運行するという驚愕の発表がありました

今回のツアーは2024年の11月から12月にかけて、横浜を発着地とする3泊4日のツアーを計6回催行し、料金は1室2名で75~82万円となっています

 

北海道や四国への運行時と同じく、ずいぶん強気の値段設定ではありますが、”富裕層”には決して高くないのでしょう

横浜発着のため、熱海駅以東の運行はJR東日本、同駅以西の運行はJR東海が担います

 

それにしても、今回は伊豆急から車両をチャーターするとはいえ、頑なに「観光列車は運行しない」という方針を貫いてきたJR東海に姿勢の変化に驚かされます

 

●ドクターイエロー運行終了へ

6月14日ですが、JR東海は東海道・山陽新幹線の検測車両である923形0番台車…通称”ドクターイエロー”…を老朽化のため引退させる方針であることを明らかにしました

ドクターイエローには、JR東海所有のT4編成とJR西日本所有のT5編成の計2編成が在籍しており、このうち前者が2025年1月に、後者が2027年に運行を終える予定です

 

ダイヤが非公開であることや、通常の営業用車両とはまったく違う黄色い出で立ちに、いつしか「見ると幸せになれる新幹線」と呼ばれる存在になりました

初代ドクターイエローは0系がベースでしたが、2代目の現行モデルは2001年に登場し、700系がベースとなっています

 

700系については、山陽新幹線内を主に「こだま」として走るE編成レールスターを残すのみで、東海道新幹線内では既に見ることはできません

それ故に、全列車が最高速度285km/hのN700系列で運行される東海道新幹線内において、ドクターイエローの最高速度は270km/hでしかなく、営業列車よりも足が遅いことも引退の原因といえそうです

 

後継車両については、検測機器を搭載したN700S系を17編成導入し、営業運転を行いながらドクターイエローが行っていた線路や架線の検測を行えるようになります

専用の検測車両を用いずとも、お客さんを乗せた状態で検測ができるようになるのは技術の進歩あってこそですね

 

▲有名な瀬田カーブを往くドクターイエロー

 

●JR西日本、12系客車を廃車へ

5月28日に京都鉄道博物館より、宮原支所所属の12系客車を展示される旨のプレスリリースが発表されましたが、タイトルが”さよなら展示”となっており、文中には2024年夏に廃車予定と明記されています

2021年5月にはSL「北びわこ」号の運行も終了し、めぼしい稼働実績といえば米原訓練、網干訓練くらいしかありませんでした

 

引退を前に6月27日から7月2日にかけてSLスチーム号の客車が12系へ変更されるほか、7月4日にはC56形160号機に12系5両を連結し、SL「北びわこ」号を再現する企画が予定されています

 

▲主にSL「北びわこ」号で活躍していた近ミハの12系

 

●JR東日本&西日本 在来線車両の部品共通化の検討を開始

7月5日にことになりますが、両社の連名で在来線車両の部品共通化の検討を始めたことが明らかになりました

発表内容を見ると、コロナ禍で打撃を受けたものの旅客輸送量は緩やかに回復傾向にあるものの、少子高齢化により生産人口は減少を続けており、車両メーカー側リソースも有限であることから、車両製造時の生産性の向上や設計プロセスの効率化を目指すことを目的としています

 

まずは、モーターや行先表示器、パンタグラフの共通化からスタートさせて、先頭形状やドア枚数など各社異なる仕様については、今後検討していくと言及するに留めています

もしかしたら、今後103系や205系のように再び関西と関東で同じ通勤電車が走る日がやって来るかもしれませんね

 

●智頭急行、「スーパーはくと」後継車両の導入を検討へ

関西~鳥取間を智頭急行経由で結ぶ「スーパーはくと」ですが、5年後を目途に後継車両の導入を目指して乗り入れ先のJR西日本と協議中であることが明らかになりました

同列車に使用されているHOT7000系は、智頭急行の開業した1994年から2002年にかけて製造され、初期の車両は今年で車齢30年目に入り、2008年から2009年にかけてリニューアル工事が実施されているとはいえ、老朽化が進んでいます

 

HOT7000系がJR四国の2000系をベースに製造されたことを考えると、次期「スーパーはくと」用車両もJR四国の2700系ベースになりそうですが、クルマも気動車も電動化へ大きく舵を切りつつあることを踏まえると、JR東海のHC85系に制御付き振り子装置を付加したような車両になるかもしれません

HC85系が難なく120km/h運転をこなし、キハ85系の後継車両として過不足ない活躍を見せていることから、「スーパーはくと」の後継車両がピュアエンジン車になる可能性は低そうです

 

▲前照灯がLED化される前のHOT7000系

 

●JR四国、ハイブリッド車両導入へ

半年以上前の話題になってしまいますが、2月にJR四国から老朽化の進むキハ40系列の後継車両としてハイブリッド車両を導入することが発表されました

メカニズム的には、ディーゼル発電機とバッテリーからの電力でVVVFを介してモーターを駆動するシリーズ式で、JR東日本のHB-E300系やJR東海のHC85系と同じ構造となります

 

エクステリアは、JR四国のコーポレートカラーである水色…四国の空や海をイメージした…を纏ったカラーリングで、まずは量産先行車として4両2編成が2025年12月に落成予定です

2000系の置き換え用である2700系はピュアエンジン車としたJR四国ですが、環境への影響やメンテナンスの負担軽減を図るために、ハイブリッド車両を導入に踏み切りました

 

量産先行車は単行運転の不可能な2両1ユニット構成となっていますが、量産車が登場する際に両運転台の車両も製造されるのか気がかりです

JR北海道は、2025年春のダイヤ改正で旭川~網走を結ぶ特急「大雪」2往復について、快速化を検討していることが判明しました

 

JR北海道は、快速化の理由として利用客が都市間バスやマイカーへ転移していることを挙げており、ワンマン化により運転要員のスリム化が図られ、特急料金不要で速達性が提供できることをメリットとして挙げています

ただし、これは表向きの理由で本当の理由は別にありそうです

 

石北本線を走る特急列車…「オホーツク」「大雪」…には、2023年春改正時からキハ183系に代えて、「おおぞら」で活躍していたキハ283系が運行を始めました

ご存じの方も多いように、同車は2011年に石勝線内で減速機の垂下に起因して脱線火災事故を起こしています

 

その後、JR北海道がスピードから安全最優先の方針を打ち出し、特急列車の最高速度が130km/hから120㎞/hへ引き下げられました

そんななか、キハ283系だけは車体の剛性に問題があったのか、他の特急型車両よりもさらに10km/h低い、110㎞/hに最高速度が抑えられました

 

キハ283系の最終増備は2001年であり、もっとも新しい車両でも今年で製造から23年が経過しています

一般的な車両では、そこまで老朽化が進む年数ではありませんが、同車は軽量化を突き詰めた構造であるが故に、思った以上にガタが来ているのかもしれません

 

そこへさらに、2030年度末に予定されていた北海道新幹線の札幌開業が”未定”になってしまいました

北海道新幹線が札幌まで開業すれば、札幌~函館間を結ぶ「北斗」はお役御免になるため、同列車に使用されているキハ261系1000番台を石北本線へ転用することができます

 

誰もが、キハ283系は北海道新幹線の開業でキハ261系1000番台が転用されるまでのつなぎと思っていただけに、JR北海道としても”アテが外れた”ような状態かと推察されます

YouTube上でも、石北本線内を走るキハ283系が激しく揺れる様子を収録したものが投稿されており、「大雪」の快速化で、なるべくキハ283系を延命して継続使用したい考えが見え隠れします

 

2017年春改正時に従来の「オホーツク」の運転区間を短縮する形で登場した「大雪」

1992年3月改正で消滅した歴史のある列車名が復活したことで、ファンからは好意をもって迎えられましたが、僅か8年で消滅の危機を迎えることになりました

 

なお、札幌~網走間を直通で結ぶ「オホーツク」は従来通り運行が継続されますが、ますますOKD~MMB間の空路を利することになりそうです

 

▲「おおぞら」時代のキハ283系