JR北海道は、2025年春のダイヤ改正で旭川~網走を結ぶ特急「大雪」2往復について、快速化を検討していることが判明しました

 

JR北海道は、快速化の理由として利用客が都市間バスやマイカーへ転移していることを挙げており、ワンマン化により運転要員のスリム化が図られ、特急料金不要で速達性が提供できることをメリットとして挙げています

ただし、これは表向きの理由で本当の理由は別にありそうです

 

石北本線を走る特急列車…「オホーツク」「大雪」…には、2023年春改正時からキハ183系に代えて、「おおぞら」で活躍していたキハ283系が運行を始めました

ご存じの方も多いように、同車は2011年に石勝線内で減速機の垂下に起因して脱線火災事故を起こしています

 

その後、JR北海道がスピードから安全最優先の方針を打ち出し、特急列車の最高速度が130km/hから120㎞/hへ引き下げられました

そんななか、キハ283系だけは車体の剛性に問題があったのか、他の特急型車両よりもさらに10km/h低い、110㎞/hに最高速度が抑えられました

 

キハ283系の最終増備は2001年であり、もっとも新しい車両でも今年で製造から23年が経過しています

一般的な車両では、そこまで老朽化が進む年数ではありませんが、同車は軽量化を突き詰めた構造であるが故に、思った以上にガタが来ているのかもしれません

 

そこへさらに、2030年度末に予定されていた北海道新幹線の札幌開業が”未定”になってしまいました

北海道新幹線が札幌まで開業すれば、札幌~函館間を結ぶ「北斗」はお役御免になるため、同列車に使用されているキハ261系1000番台を石北本線へ転用することができます

 

誰もが、キハ283系は北海道新幹線の開業でキハ261系1000番台が転用されるまでのつなぎと思っていただけに、JR北海道としても”アテが外れた”ような状態かと推察されます

YouTube上でも、石北本線内を走るキハ283系が激しく揺れる様子を収録したものが投稿されており、「大雪」の快速化で、なるべくキハ283系を延命して継続使用したい考えが見え隠れします

 

2017年春改正時に従来の「オホーツク」の運転区間を短縮する形で登場した「大雪」

1992年3月改正で消滅した歴史のある列車名が復活したことで、ファンからは好意をもって迎えられましたが、僅か8年で消滅の危機を迎えることになりました

 

なお、札幌~網走間を直通で結ぶ「オホーツク」は従来通り運行が継続されますが、ますますOKD~MMB間の空路を利することになりそうです

 

▲「おおぞら」時代のキハ283系

2023年も押し迫った12月29日のこと、当ブログの管理人は岡山駅に降り立ちました

その目的は、置き換えが間近に迫った381系を記録(乗車&撮影)することに他なりません

 

何しろ紀勢本線の沿線で生まれ育った管理人にとって、381系は鉄道趣味の原点といえる車両なわけです

実は、5月のGW時に幸いにもパノクロの最前列…1号車1番A席…が確保できたこともあり、人生で初めて「やくも」に乗車し、米子・松江エリアを訪れました

 

その時は、中国地方をぐるっと一周する旅程を優先したこともあって、「やくも」用の381系に用意された各種リバイバル塗装のうち、「スーパーやくも」編成とはタイミングが合わず、国鉄色しか記録することができませんでした

 

さらに、2023年11月5日からは、紫色の”スーパー編成”以外に施されていたグレー地に緑色と黄色の帯を纏う通称”緑やくも”も運行を開始しました

これにより、273系への置き換えを直前に控えたこのタイミングで、「やくも」に充当される381系において、歴代カラーリングが揃い踏みとなる奇跡的な状況が生まれたわけです

 

しかし、昨年12月の『381系特急やくも「リバイバル塗装車両」今後の運行計画について』と題されたプレスリリースにおいて、スーパーやくも色が24年4月5日に、国鉄色と緑やくも色についても6月30日限りで運用を離脱することが明らかになりました

 

ゆったりやくも色については、繁忙期に備えた波動用として、しばらく残存することが仄めかされいますが、24年6月15日以降はすべての「やくも」で273系への置き換えが完了します

 

そうした事情に私のハートは強く突き動かされ、年末年始の休暇を使い、「ひかり」509号で岡山駅に着いたところまでは順調だったわけです

「ひかり」で岡山駅に到着する前に、伯備線が落石により不通となっている旨の悲痛なアナウンスがありました

 

おでかけネットを確認すると、方谷駅構内で落石が発生し、岡山駅を14時5分に発車する「やくも」17号から発車がストップしています

15時半頃に、運転再開の見込みは早くても17時半頃になることが判明したものの、その後ズルズルと再開時刻は後ろ倒しになり、18時頃にはすっかり疲れてしまいました

 

ここに来て、1日目の岡山以遠の予定をキャンセルし、急遽駅直上にあるヴィアイン岡山に投宿しました

せっかく今日はホテル一畑の温泉でゆっくりしようと思っていたのですが、相手が自然現象である以上は仕方ありません

 

どうせ岡山で泊まることになるなら、焦って駅弁を買わずに、どこかへ食べにいけばよかったですね

ちなみに、ようやく18時50分頃になって「やくも」17号が約5時間遅れで発車していくのをホテルの部屋から確認できました

 

そして、部屋から「やくも」が見れたということは、つまり私にアサインされた部屋がトレインビューであることを意味します

 

▲700系7000番台E編成「こだま」838号

 

温泉に入れなかったのは残念でしたが、翌朝カーテンを開けると、部屋の窓からは素晴らしい景色が飛び込んできました

やはり平成初期生まれの管理人にとっては、山陽新幹線=500系「のぞみ」&700系「ひかりレールスター」なんですよね

 

 

かつては”國鉄廣島”と揶揄されていたのも今は昔

広島地区に続いて、岡山地区でも227系の投入が始まり、273系の投入とあわせて、いよいよ”國鉄岡山”も終焉が間近に迫っています

 

 

広島地区へ投入された0番台がカープ顔負けの鮮烈な赤に”Red Wing”の愛称を引っさげているのに対して、岡山地区用の500番台は”Urara”の愛称が与えられ、桃や桜をモチーフにしたピンクのテーマカラーが特徴です

 

 

昨日も岡山駅で見かけましたが、あかいアンパンマン列車に1両だけ一般色が組み込まれた編成がありました

アンパンマン列車は、あか編成ときいろ編成が4両ずつ用意されていないので、増結しようとすると一般色を連結するしかありません

 


それでは、気を取り直してスーパーやくも色が充当される「やくも」5号に乗車して出雲市へ行くと思いきや…
 

 

「サンライズ出雲」91号に乗って出雲市まで向かいます

わざわざ岡山まで来たのに、なぜ「サンライズ出雲」に乗ることになったしまったのか?

それには深いワケがあります

 

当初の予定では、今ごろ私は松江にいるはずで、スーパーやくも編成が充当される「やくも」20号のロザを確保していたわけです

「やくも」20号に出雲市から乗ろうと思うと、岡山から「やくも」1・3・5号のいずれかに乗車しないと間に合いません

 

ところが、年末の帰省ラッシュ真っ只中に空席があるはずもなく、僅かに1号のハザに空席がある以外は、夕方の便まで満席が続いています

1号の岡山発は7時05分発で、早起きする自信がなかったので、早々と私の中の選択肢からは除外されました

 

「やくも」に乗るのは諦めて、大人しく倉敷の美観地区と水島臨海鉄道でも乗りに行こうかとe5489を見ながら旅程を練り直していると、「サンライズ出雲」91号のノビノビ座席に空席を発見しました

岡山駅の発車は8時51分で二度寝するにはもってこいの時間帯ですし、終点・出雲市駅の到着は13時07分なので、「やくも」20号にも間に合います

 

 

ということで、人生で3度目の”サンライズエクスプレス”に揺られて、一路出雲市駅を目指します

これまでの利用は2回とも「サンライズ瀬戸」の方だったので、285系で岡山~出雲市間を移動するのは初めてで、もちろんノビノビ座席に乗るのも初めてです

 

こちらのノビノビ座席ですが、寝台車ではなく普通車指定席扱いなので、寝台料金は不要で、運賃+指定席特急料金でリーズナブルに利用することができます

 

 

この日の「サンライズ出雲」91号(以下、91号)には、JR西日本所属の0番台車のトップナンバー(I1編成)が充当されていました

普通席扱いのノビノビ座席が大部分を占める車両ですが、車端部にはシングルが2室設けられているので、形式はモハ”ネ”285形500番台となります

 

 

乗車中には気付きませんでしたが、定期列車の下り「サンライズ出雲」では、「サンライズ瀬戸」と併結する関係で、ノビノビ座席が12号車となるところを、単独運行となる91号に限って5号車となります

 

 

通路を片側に寄せて、カーテンに覆われた”座席”が並ぶ様子は、かつて”Bハネ”で一夜を過ごした思い出を想起させてくれるものです

寝台電車であることを踏まえると、”Bハネ”と呼ばずに、先輩である583系に敬意を表して”電ハネ”と呼んだ方がいいのかもしれません

 

 

ノビノビ座席には1番から7番まで座席番号が振られており、A・B席が下段、C・D席が上段となっています

私がe5489を見た時は、C席を僅かに2席残すのみだったので、選択の余地はありませんでした

 

 

昨日の落石騒ぎで待ちぼうけを喰らった疲れで、A・B席とC・D席のどちらが上段なのか、調べることさえしなかったのですが、無事に?眺めいい上段に収まりました

窓側には、枕元灯、読書灯が備わり、ドリンクホルダーには紙コップも用意されています

 

読書灯は壁面にあるスイッチを使うことで、ユーザーサイドでON/OFFができますが、枕元灯は深夜帯以外は点灯したままのようです

なお、各個室にはコンセントが用意されていますが、ノビノビ座席は通路側に業務用と思しきコンセントしかありません

 

また、寝台列車では定番ともいえる浴衣やスリッパも用意されておらず、あくまでも”寝台”車ではなく、”座席”車であることが窺えます

 

 

臨時列車ということもあって、91号は定期列車の合間を縫うようにして走ります

岡山→出雲市間だけを比べてみても、定期の「サンライズ出雲」が3時間24分なのに対して、当方の91号は4時間16分と、1時間近く余計にかかっています

 

単線区間のみならず、複線区間にある美袋駅でも運転停車を行い、後続の「やくも」5号に道を譲ります

同じ特急電車同士とはいえ、線形の険しい伯備線内では振り子電車の381系にスピード面で太刀打ちできません

 

美袋駅の駅舎は1925年の開通当初に建設されたもので、ほぼ100年の歴史を感じる重厚な建物です

一瞬だったので、91号を追い抜いて行く「やくも」5号の写真は撮れませんでした

 

 

備中高梁や新見でまとまった数の下車があったので、隣の座席を見渡せるようになりました

先述したように、あくまでも座席であることから、フローリングにカーペットを敷いてあるだけなので、床面はかなり硬いです

 

私のように短距離・短時間の乗車で二度寝をするくらいなら気になりませんが、これで東京から一晩を過ごすのは体力的に厳しい…熟睡できない…ような気がします

いくぶん空いてくれば気になりませんが、Bハネよりも人間同士の距離が近く、セキュリティの欠片もないため、いくら寝台料金不要とはいえ、管理人のように神経質な性格の人間は避けた方がいいかもしれません

 

不思議なことに、天板にカーテンレールはあるのに、隣の座席との間にカーテンはありません

通路と座席の間にカーテンを付けるのであれば、こっちに付けた方が寝顔を見られずに済むのに…と思えてなりません

 

 

そのデザインやコンセプトが高く評価された285系は、グッドデザイン賞とブルネル賞奨励賞を受賞しています

同じくJR西日本が生み出した281系もブルネル賞の優秀賞を受賞していますね

 

飛行機の最終便よりも遅く出発し、始発便よりも早く目的地に到着するのが「サンライズ瀬戸・出雲」のダイヤではセールスポイントとなっています

そのセールスポイント故に、定期のサンライズはスジが立っており、東京を出るとすぐに寝支度を整えないと睡眠不足になってしまいます

 

特に、これまで管理人が乗車したことのある「サンライズ瀬戸」の場合は、終点の高松まで乗ったとしても乗車時間は9時間半でしかありません

「サンライズ瀬戸」に2回乗ったことがある割には、寝るのに精いっぱいだったので、今回は車内をゆっくり見物することができました

 

▲B個室ソロのある3号車廊下

 

▲シングルを中心に車端部にはシングルツインもある

 

ノビノビ座席を除くと、サンライズエクスプレスには5種類の個室があります

その中でも一番部屋数が多く、ポピュラーなのがB個室シングルで、寝台料金は7,700円となっています

 

サンライズエクスプレスが登場する前は、1人用のB個室としてはソロが用意されていたほか、JR西日本オリジナルの個室としてシングルツインが「トワイライトエクスプレス」や24系時代の「出雲」に連結されていました

シングルツインはサンライズエクスプレスにも継承されましたが、シングルは同列車の登場と軌を一にして初めてお目見えしました

 

改造車も含めて、このB個室シングルが他列車に波及することはありませんでしたが、同じB個室であるソロよりも居住性に優れているため、寝台料金にして1,100円の差額は納得いくものかと思われます

かくいう私も、初めてのサンライズ乗車で、シングルに空室があったのに、なぜかソロに乗ってしまい、その圧迫感に辟易とした苦い思い出があります

 

 

寝台列車らしく、洗面所は各車両に設置されている…と言いたいところですが、B個室ソロの設けられている3(10)とノビノビ座席のある5(12)号車に洗面所はありません

デザインやレイアウトそのものは、同じくJR西日本の681・683系と似通ったものではありますが、シンクは枕木方向ではなく、レール方向に設置されています

 

 

285系がデビューした当時、1・4・6・7号車のトイレは洋式と和式が1ヶ所ずつでしたが、2013年から2016年にかけて行われたリニューアル工事の結果、すべて洋式に変更されました

できれば、ウォシュレットも付けて欲しかったところですが、さすがにそこまで望むのは贅沢でしょうか?

 

 

こちらは2号車に設置されているバリアフリー対応便所です

どうしても地上の建物と比べて、車体幅に制約のある鉄道車両においては、2000年代以降に円弧状にしたバリアフリー対応便所が主流になりましたが、こちらは潔くスパッとした直線基調のレイアウトになっています

 

 

3号車の4号車寄りにはミニラウンジが設けられており、スツールが8脚並びます

285系よりも遡ること2年前に登場した283系では、きのくに線走行時にオーシャンビューとなるようスツールやソファが全て海側の一方向を向いていますが、こちらは左右両方向を望めるような配置になっています

 

すぐ横には共用のシャワーブースや自販機が設置されているため、先にシャワーを浴びているお客さんを待ったり、眠れない時に飲み物を片手に夜の車窓を眺めたりする時に重宝する空間です

なお、すぐ横はドア一枚を隔ててすぐにソロとなっているため、大声での酒盛りは厳禁です

 

 

肝心の自販機ですが、お茶・ミネラルウォーター・エナドリ・コーラ・コーヒーの5種類しか販売されていません

それなりに大きな自販機なので、もう少し品数を増やして欲しい…できればアルコール類も…ところですが、最近は自販機さえ撤去される傾向にあるので、”あるだけマシ”なのかもしれません

 

 

シャワーブースの利用料金は330円で、制限時間6分となっており、髪の長い人だと時間が足りなくなるかもしれません

このシャワーブースを利用するには、同じくミニラウンジ内に設置されている自販機でシャワーカードを購入する必要がありますが、給排水タンクの容量との兼ね合いもあり、先着20人限定です

 

どうしてもシャワーが浴びたい場合は、始発駅から乗車しないと、すぐに売り切れてしまいます

A個室シングルDXであれば、専用のシャワーブースが用意されているので、シャワーカードの確保に気を揉まなくても済みますが、寝台券がプラチナチケットですからねぇ

 

 

更衣室にはきちんとドライヤーもありますが、実際に使ってみた人の感想では、風量がそれほど強くないようですね

なお、シャンプーとボディソープは備え付けられていますが、タオルはありませんので、注意が必要です

 

写真は撮りそびれましたが、安来で「やくも」16号と離合しました

すれ違ったのは何の変哲もないゆったりやくもでしたが、「サンライズ出雲」から眺める381系というのも、直に見納めですね

 

車窓からぼんやりと宍道湖を眺めていると、程なくして車内チャイムが鳴動し、終点・出雲市駅に定刻に到着しました

定期の下り「サンライズ出雲」であれば、岡山→出雲市間は3時間24分ですが、臨時の91号については4時間16分と、1時間弱余計にかかります

 

無論、定期のサンライズならともかく、こちらの臨時便には車内に急いでいるような素振りの人などおらず、サンライズを満喫したいのであれば、この臨時便がおすすめです

ちなみに、今年の3月のダイヤ改正で「サンライズ出雲」91号の所要時間はさらに伸びて、東京駅の発車時刻に変更は無いながらも、出雲市駅の到着時刻が13時07分から13時39分へ変更されました

 

かつて、「日本海」や「あけぼの」が奥羽本線内で”ヒルネ”扱いを行っていましたが、今回のように夜を越さないノビノビ座席の利用はそれを追憶できるものでした

願わくば、今度は東京からシングルDXで乗り通したいですね

 

 

出雲市駅では、隣の2番のりばに「やくも」20号となる”スーパーやくも”が停車中でした

”スーパーやくも”塗色が23年2月に復活してから今年の4月5日引退するまでに、「サンライズ出雲」91・92号が運行されたのは僅かに3シーズンしかなく、かなり貴重なシーンをカメラに収めることができました

 

 

これだけでもお腹いっぱいになりかけていたのですが、さらに岡山からの「やくも」7号に運用変更があったようで、”緑やくも”編成が充当されており、サンライズ×スーパーやくも×緑やくもの奇跡的とも言える共演シーンが出雲市駅で展開されました

 

伯備線の落石で予定が狂ってしまいましたが、そんなマイナスの出来事を全て吹っ飛ばしてくれる絶景で、2023年を最高の形で締めくくることができました

昨日のことになりますが、JR東海より東海道新幹線を走るN700S系車両に個室を導入することが発表されました

導入予定の個室は2026年度中にサービスを開始する予定で、レッグレストやユーザーサイドで空調や照明を調整できるなど、グリーン車を上回るアコモデーションとなる予定です

 

山陽新幹線では700系E編成にセミコンパートメントが設置されていますが、東海道新幹線を走る車両に個室が設けられるのは、100系新幹線が引退して以来、およそ四半世紀ぶりの復活になります

プレスリリースによると、この個室は1編成につき2室が設置され、喫煙ルームや車販準備室を転用する形でスペースを捻出するようです

 

このため、編成定員1,323人の大原則を崩すことなく、プライベート空間として個室を提供できる予定ですが、喫煙ルームや車販準備室は車端部に設置されていることから、乗り心地で通常の客室に劣ることになりそうです

 

なお、料金については未定となっていますが、東海道新幹線では政治家や著名人の利用も多いので、プライベート空間に対する堅調なニーズが想定されることから、強気の値段設定でも人気は出そうですね

ところで、プレスリリースの最後に、「新幹線の新たな座席のあり方については、引き続き検討を進めます」という一文を敢えて記載しているところに、JR東海としては個室以外の隠し玉を用意しているのでしょうか?

 

▲N700S系のグリーン車 さらなるハイグレードな個室はどんな仕上がりになるだろうか?

本日より、岡山と出雲市を結ぶ特急「やくも」に42年ぶりの新型車両となる273系が導入されました

273系で運行される「やくも」は、いまのところ全15往復中6往復で、6月15日まで引き続き381系と共演することになります

 

しかし、パノラマ型グリーン車のクロ380形を連結していた編成は、スーパーやくも色も含めて4月5日いっぱいで運用から退きました

後継車両である273系の情報が続々と公開されるなか、381系の引退が間近迫っていることは明々白々だったので、昨年は5月のGWと年末に「やくも」を追い求めて島根県を訪れました

 

 

皆さん方がXなどで公開・投稿しているような”映える”ような写真はなく、駅撮りばかりですが、せっかくなので何枚か管理人の撮影した写真を紹介しておきます

まずは、昨年の5月に撮影した時の写真ですが、この時は出雲市駅に着いた途端に暴風雨に見舞われました

 

 

「やくも」に愛着のある方には申し訳ないのですが、小さい頃から紀勢本線を行き交う車両を見て育った管理人にとって、このカタチは「スーパーくろしお」なんですよね

 

 

クロ380形の塗装パターンは、「スーパーくろしお」用のクロ380形と少し違っており、ナチュラルグリーンの細帯が前面まで回り込んでいます

やや色調は異なるものの、ライト周りのディープレッドが1989年に登場当初の「スーパーくろしお」を彷彿とさせてくれます

 

 

「スーパーくろしお」の場合、繁忙期に白浜で付属編成を増解結して9両編成で運行する時がありましたが、ここ最近の「やくも」は最長でも7両編成での運行でしたね

 

 

1時間も待てばスーパーやくも色が充当される「やくも」5号がやって来るので、駅舎内になる土産物店で時間を潰して、再びホームへ上がりました

神話の国へ向かう車両らしくパープルを基調にした専用編成は、停車駅を絞り込んだ速達型の「スーパーやくも」用として1994年12月に登場しました

 

 

2006年3月改正時に「スーパーやくも」の列車名が「やくも」へ吸収される形で消滅したため、ゆったり化されるまで”SUPER”の部分だけを消した状態で運用されてましたね

2007年頃まではこの塗装で運行されていたはずですが、不思議と「やくも」という列車に縁がなく、平成初期生まれの管理人も実物を見たのは初めてです
 

 

「やくも」5号として出雲市駅に到着した車両は、折り返し「やくも」18号にはならずに、いったん西出雲の車庫へ引き上げるため、ゆっくり写真を撮る時間がなく、結局クロ380形の方は撮影できず仕舞いでした

「273系がデビューしたら、また山陰(出雲)へ行こう」と思っていたのですが、もう一回スーパーやくもが見たくなったのと、11月からはリバイバル塗装第四弾として緑やくもも登場したことから、年末年始の休暇を使って、再び島根県を訪れました

 

 

「サンライズ出雲」91号に乗って出雲市駅に降り立つと、スーパーやくも編成が充当される「やくも」20号と並びました

JR西日本によると、このスーパーやくも塗装については「リバイバルを希望する声が多く寄せられたため」実現したそうで、273系への置き換えを前にして、図鑑でしか見たことのなかった塗装を復刻して下さったことは感謝しかありません

 

 

サロ381形からの改造で生まれたクロ380形は全部で7両が製造され、その内クロ380-1・2・3・4・5が「スーパーくろしお」用、クロ380-6・7が「スーパーやくも」用でした

前面にLEDによるヘッドマークが装着されているのは、「スーパーくろしお」用のクロ380形と共通仕様です

 

 

 

緑やくもと並ぶと1990年代後半から2000年代前半にかけての、「やくも」「スーパーやくも」がW主演で陰陽連絡を担っていた時代にタイムスリップした気分になります

 

 

こちらは暮れも押し迫った翌日の大晦日に撮影した写真で、緑やくもだった7号は本日ゆったり編成で、昨日とはまた違った光景に改めて出雲まで来た甲斐がありました

 

 

引退を間近に控えて、381系に施された歴代全カラーリングが復刻されたのは奇跡に近いですし、確とこの目に焼き付けておくことができました

 

 

 

3番のりばに停車中のゆったり編成ですが、1号車はきちんと回送幕になっていましたが、7号車は臨時幕になっていますね

このカラーリングが復活しただけでも奇跡的なのに、ちゃんとスーパーやくも幕で走らせてくれるあたりがまた泣かせてくれますよね

 

 

「くろしお」びいきの管理人とはいえ、381系でもっとも好きなのはこのカラーリングです

とにかくカッコいいの一言に尽きますね

 

 

 

381系が「やくも」として走るのはあと2ヶ月ほどですが、一足早くクロ380形は形式消滅しました

改造車ではあるものの381系の一員として、「やくも」系統のイメージアップに貢献した功績は大きいのではないでしょうか?

昨日(2月14日)の話題になりますが、JR西日本より山陽新幹線内で「こだま」として活躍する500系新幹線について、短編成化改造を行ったN700系で置き換えることが発表されました

500系新幹線といえば、デビュー時は国内最速の300㎞/h運転を行い、世界的に類を見ない円筒形の車体とカワセミのクチバシからインスピレーションを得た流線型のスタイリングが老若男女を問わず人気を集めました

 

そんな500系新幹線も花型の「のぞみ」運用からは2010年に退き、それからは8両編成に短縮され、いつの間にか営業運転を行う新幹線車両としては国内最古参の存在となっていました

2024年度から2026年度にかけてJR西日本がN700S系を4編成追加投入するため、それによって捻出された同数のN700系5000番台車(スモールA車)を短編成化改造し、500系の置き換え用に充当します

 

現在、500系V編成はV2~V4、V7~V9編成の6編成が在籍していますが、その内4編成がN700系によって置き換えられます

残り2編成については、2027年度以降も営業運転を続ける予定で、完全引退の時期は未定ながらも、現役を続ける時間はそう長くはなさそうです

 

なお、改造されるN700系については、外装は変更されず、現行の1~3・8~11・16号車を活用する形で8両編成に生まれ変わります

8~10号車のグリーン車についても、横4列配置を変更することなく、普通車指定席として活用する方針で、500系V編成の6号車が元グリーン車と同じように、限りなくロザに近い”ハザ”が引き続き連結されます

 

▲六甲トンネルを抜けて新神戸駅へ入線する500系

2023年6月30日、特急「南紀」号に使用されているキハ85系が引退の時を迎えました

1992年春のダイヤ改正で従前のキハ80系を置き換える形で運行を開始したキハ85系は、持ち前のハイパワーで名古屋~紀伊勝浦間の所要時間を大きく短縮し、飛躍的に向上したアコモデーションも相まって、紀勢本線のイメージアップに大きく貢献しました

 

そんなエポックメイキングな車両の最後を見届けるべく、管理人は新宮駅へ向かいました

実は、この日は昼過ぎまで和歌山市内へ出張しており、ラストランに乗車するのは無理だと思っていたのですが、「業務終了後に直帰してもよい」との有難い指令を受け、クルマを飛ばしてそのまま新宮駅へ馳せ参じたわけです

 

 

 

新宮駅に到着すると、改札口に設置されているLED発車標に、キハ85系の長年の活躍を労う文章が流れており、思わず涙ぐみそうになりました

全体の内容は下記YouTubeからご覧ください

 

 

ここで見過ごしてはいけないのは、今回引退するキハ85系はJR東海の車両で、新宮駅の管轄はJR西日本ということです

他社の車両に引退に際して、ここまで新宮駅が力を入れて惜別のメッセージを用意してくれていることに驚きを禁じ得ません

 

 

いつもはキハ85系が停まっているはずの新宮駅の留置線には、明日からキハ85系に代わって「南紀」の運用に就くHC85系が既にスタンバイしていました

通常、「南紀」の運用は名古屋側に1編成、新宮側に2編成を配して、3運用4往復という形をとっていますので、今日中にもう1編成がここへ送り込まれてくるはずです

 

 

新宮駅から3008D「南紀」8号に乗り込みました

動画からキャプチャなので画質が荒いのですが、車窓に北越紀州製紙の工場を眺めつつ、熊野川の鉄橋を渡ります

 

ちなみに、この熊野川の鉄橋は和歌山県と三重県の県境だけでなく、JR西日本とJR東海の会社境界でもあり、さらに紀勢本線の電化区間と非電化区間を分かつ存在でもあります

厳密には、会社境界線と架線終端標識は新宮駅の鵜殿方となります

 

 

実際に乗車すると、いつもの、そして普段通りの「南紀」なんですよね

いつもと違うのは、私を始めとした乗客がこぞってスマホやカメラでキハ85系の雄姿を記録しよう

 

キハ85系のセールスポイントである大きな窓から、梅雨時で霞む紀伊半島らしいリアス式海岸をぼんやり眺めつつ、列車は熊野市、尾鷲、紀伊長島と停車して、紀勢本線を北上していきます

 

途中、ウトウトしている瞬間に聞き慣れないエンジン音にハッとなり目を開けると、大内山駅でHC85系の送り込み回送と行き違いました

キハ85系のラストラン当日の車内の様子と共に、HC85系をレンズに収める好機だっただけに、ウトウトとしていた自分が悔やまれます

 

 

いつもの車窓なんだけれども、それをキハ85系の窓から眺めることができるのは今日が最後です

そして、ふかふかの座席に座って、カミンズサウンドに酔いしれることができるのも今日が最後です

 

 

参宮線が分岐する多気駅に到着前の車内放送で、車掌さんよりキハ85系の紹介や明日から新型車両に切り替わる旨のメッセージがありました

しかも、この日乗務していた車掌さんは凄く優しい方で、事前に「まもなくしますと、多気駅到着前の車内放送を行います」と告知して下さったおかげで、ばっちりこの放送を録音することができました

 

 

新宮駅を出発してから、およそ2時間で松阪駅に到着しました

ホームへ降り立つと、先頭車両付近にはキハ85系の最後の姿を見届けようと、大勢の人が集まっていました

 

このまま終点の名古屋まで乗車してもよかったのですが、私は途中の松阪駅で降りて、下りキハ85系の最終便となる「南紀」7号で新宮へ戻ります

名古屋で一泊して、翌7月1日のHC85系一番列車となる「南紀」1号で戻って来るプランも検討しましたが、そこはやはり去り行くキハ85系の方を優先したくなるのが人情というものです

 

 

 

松阪駅の5番のりばには、明日から使用するであろうHC85系用の乗車位置案内がありました

所々にマスキングテープが貼り付けられていますが、英字表記部分が丸見えになっており、「南紀」用の乗車位置案内であることがバレバレですね

 

 

跨線橋に上がると、HC85系のポスターがありました

ここ最近の「南紀」は、高速道路にやられっぱなしなので、この世代交代が紀勢東線の活性化に貢献するとよいのですが…

 

 

「南紀」7号の到着まで1時間20分の待ち時間があるので、近鉄電車を撮影します

JR側のホームと違って、この時間帯でも本数が多いので、カメラを振り回していて退屈しません

 

 

松阪駅から「南紀」7号に揺られて、今しがた辿ってきた道を引き返します

キハ85系が充当される営業列車としては、これが真の最終便であり、同列車の新宮駅到着をもって1989年に「ひだ」として登場してから足掛け34年に渡る活躍に幕を下ろすことになります

 

私が「南紀」7号で確保した座席は、2号車の指定席です

キハ85系に詳しい諸兄ならすぐお気づきかと思いますが、横方向に並んだ方向幕が示すように、2号車にはキハ84形300番台車が連結されていました

 

キハ85系には、もともと「ひだ」用として製造された量産先行車及び1次車と、「南紀」用として製造された2次車がありますが、このキハ84形300番台車は後者に属する車両です

キハ85系「南紀」への最後の乗車は、やはり「南紀」用として生を受けた車両にしておきたかったので、2号車を指名買いしたわけです

 

 

せっかく松阪駅まで来たことですし、コンビニ弁当で夕食というのも虚しいので、あら竹さんの元祖特選牛肉弁当で遅めの夕食にします

20時前後だと、普段なら既に店じまいしているあら竹さんですが、この日だけは特別に牛肉弁当とモー太郎弁当を調製しており、ホームまで出来立てを届けてくれました

 

 

 

キハ85系には、小さい頃から「南紀」で数えきれないほどお世話になっているので、いまさら見るべきところもないのですが、てくてくと車内を歩いてみることにします

 

キハ85系が登場した当初、洋式便所のある車両はグリーン車に限られていましたが、交通バリアフリー法の施行を受けて、和式便所と洗面所が対に設置されていたスペースに、幅広の間口を備えたバリアフリー対応便所が設けられました

今でこそN700系のように円弧状になっている便所は珍しくありませんが、改造された2003年当時はずいぶんと奇抜に映ったものです

 

 

”変態連結”なる言葉がX(Twitter)を賑わせるほど、キハ85系は先頭車両や中間車両を織り交ぜての自由自在な編成が一つの魅力でした

ある一定のパターンがありながらも、固定編成を組む電車とは違って、繁忙期には使える車両をくっ付けていくように増結していくため、時に先頭車両ばかりが連なる様子もファンの目を楽しませてくれました

 

 

 

私がいま乗車している編成も、5両編成中4両が先頭車両を占めるキハ85系”らしさ”全開の編成で、貫通扉を開け放った連結面ではヘッドマークを間近に観察することができます

キハ85系を始めとして、383系や373系で優等列車へのヘッドマーク装着を堅持してきたJR東海ですが、HC85系ではヘッドマークが廃止されたため、キハ80系時代から受け継いだ那智の滝をモチーフにしたヘッドマークも今日限りで見納めです

 

 

私の乗り込んだ車両は、1992年2月に日本車両で製造されたキハ84‐304で、同年3月14日のダイヤ改正より「南紀」での運用を開始しました

2001年3月ダイヤ改正時に、キロ85形を始めとした「南紀」用の2次車群は「ひだ」運用にコンバートされ、「南紀」は1次車のみで組成されたモノクラス編成に変更されました

 

モノクラス化されたとはいえ、繁忙期のみキロハ84形が連結される体制がとられ、2009年春改正時に通年連結とされたことから、この頃はまだ特急列車としての風格が感じられたものです

ところが、少子高齢化や高速道路の延伸に、コロナ禍による利用状況の低迷が追い打ちをかけ、2020年11月1日より再度モノクラス化され、「南紀」の歴史上初となる最短2両での運行がスタートしました

 

引き続き、需要に応じての増結や臨時列車の運行はなされたものの、2両で走る姿はさすがに見ていて寂しく、列車の行く末が心配になってきます

 

 

三瀬谷を発車して程なくすると、列車は急停車しました

車内放送によると、滝原~阿曽間で鹿と衝突し、車両点検のため、しばらく停車することになりました

 

 

30分近い緊急点検の結果、運行の継続には支障がないと判断され、列車は再びC-DMF14HZ形エンジンの力強い唸りとと共に動き始めました

キハ85系には、このカミンズ製の14L直列6気筒E/gが各車両に2基ずつ搭載され、先代のキハ80系より動力性能は大きく改善されました

 

さすがに、キハ187系やキハ261系のような450PS以上のエンジンを搭載した車両に比べると加速は大人しいかもしれません

それでも低速域から高速域まで図太いトルク感のある加速は、今日限りで引退してしまう車両とは思えない健脚ぶりです

 

 

ラストランだからということが影響しているのか、この日に限っては自由席よりも指定席の方が乗車率が好調だったので、ここで少し自由席車(キハ85形0番台)の車内を目に焼き付けておきましょう

 

 

キハ85系といえば、何と言っても”ワイドビュー”の愛称に象徴されるように、車内からの眺望性が何よりも重視され、座席部分は通路から200㎜かさ上げされたセミハイデッキ構造となっています

車窓を堪能できるよう大きくとられた側窓は、下端がアームレストとほぼ同じ高さで、実際に着座してみると、視界の広さには驚かされます

 

 

シートピッチは、在来線特急車両の普通車としては破格の1000㎜が確保され、これは後に登場した373・383系にも継承されています

さらに、普通車であっても床にはカーペットが敷かれ、フットレストまでもが設置されるまさに大盤振る舞いともいえるアコモデーションで、普通車としてはトップクラスの居住性が提供されています

 

 

量産先行車及び1次車の普通車座席…CR59/CR59A型…は、バックレスト後方部分がFRP製のバックシェルに覆われています

同世代の651系や2000系にも同じ意匠が見られることから、1990年前後に流行ったデザインなのでしょう

 

 

途中、鹿と衝突した影響で約20分遅れて新宮駅の1番のりばに到着しました

新宮駅に到着する前に、「これにて、キハ85系お役目終わりとなります。本日までご利用頂きありがとうございました」という車内放送がありました

 

ラストランの車内放送にしてはこざっぱりしているなと思い、念のために車内で待機していると、再びワイドビューチャイムが鳴動しました

実は、この時乗務されていた車掌氏は、キハ85系デビュー初日の92年3月14日に「南紀」3号に乗務していたそうで、「最終日に最終列車に乗務できたことを誇りに思う」という締めくくりの挨拶がありました

 

きちんと自分のカメラで動画に撮っていたのですが、かなり人の顔が映りこんでいたので、投稿は控えたいと思います

 

 

夕方に「南紀」8号で新宮を発った時は小雨でしたが、「南紀」7号で戻ってきた時には雨脚が随分強くなっていました
 

 

降りしきる雨に車体を打ち付ける水雫が、まるで涙雨に思えてなりません

 

 

 

 

1番のりばに到着した「南紀」7号ですが、普段であれば留置線に引き上げるところを、この日に限っては返却回送のため、一旦入れ替え作業を行い、3番のりばへ入線しました

2・3番のりばのLED発車標には、「~キハ85系を愛でる皆様へ~」とファン向けのメッセージがスクロールされており、新宮駅はなかなか目頭の熱くなる憎い演出をしてくれます

 

 

普段なら人影もまばらであろう深夜の新宮駅ですが、まもなく日付が変わろうかという時刻なのに、ホームはキハ85系最後の姿を見届けようとする人でひしめき合っていました

やがて、場内信号機が進行現示へと変わり、回9014Dとなった5両編成のキハ85系は名古屋車両区へ向けて旅立ちました

 

 

2023年6月30日を以って全ての営業運転を終えたキハ85系は、7月8・9日に名古屋~高山間で運行された団体列車「さよならキハ85系」号が正真正銘のラストランとなりました

2024年1月時点で、名古屋車両区に残っていた車両はすべて西浜松へ廃車回送済みで、美濃太田車両区に留置されている1両と京都丹後鉄道へ譲渡された4両以外は解体される運命にあるようです

 

JR東海の最高傑作とも評される車両だけに、引退が惜しまれてなりません

ありがとうキハ85系 さようならワイドビュー南紀

気が付けば、2023年も終わりに近づいてきました

だからというわけではありませんが、夏くらいから記事の更新をサボっていたので、個人的に気になる2023年下半期の気になる鉄道ニュースをまとめてみました

 

●南海・泉北高速、経営統合へ

去る12月20日に南海電鉄より、2025年度の早期を目標に泉北高速鉄道と経営統合を図ることが発表されました

昨年の4月には、南海電鉄が泉北高速の株式を100%取得して完全子会社化しており、沿線人口の減少やコロナ禍後の生活様式の変化により、利用者数の大幅な伸びが期待できない中で、グループ内の経営効率の改善を図る狙いがあります

 

また、経営統合により初乗り運賃の二重払いが解消されるため、通勤・通学定期については値下げが行われます

現在は独自のカラーリングやロゴを纏う泉北高速の車両ですが、経営統合後は南海のカラーリングに統一されるのでしょうか?

 

既に、今年登場した泉北高速の9300系は、イニシャルコストの低減を狙って南海電鉄の8300系と共通設計となっており、泉北高速のオリジナリティは徐々に姿を消していくことが予想されます

 

▲泉北高速のオリジナルカラーは見納めに…?

 

●立山トンネルトロリーバス、来シーズン限りで引退

富山県と長野県を結ぶ山岳観光ルートとして国内外から人気の高い立山黒部アルペンルート

ロープウェイやケーブルカーなど様々な乗り物を駆使して、険しい地形を克服していますが、室堂駅と大観峰駅の間の立山トンネルでは日本で唯一の存在となったトロリーバスが運行されています

 

2018年までは関電トンネルにもトロリーバスが運行されていましたが、翌19年シーズンよりBEVバスに切り替えられ消滅しました

運行事業者である立山黒部貫光によると、修理部品の調達が困難になったといい、25年4月からは関電トンネルと同様なBEVバスに取って代わります

 

ところで、24年6月30日より欅平と黒部ダムを結ぶ黒部宇奈月キャニオンルートが一般開放されますが、トロバスの運行が24年11月いっぱいなので、僅か5ヶ月間だけではあるものの両者を体験することができます

 

▲立山トンネル中央にある交換所で離合するトロリーバス

 

●VSE、12月10日完全引退

2022年3月のダイヤ改正時に定期運用から離脱した50000形VSEですが、このほど12月10日のツアーをもって完全に引退しました

まるで芸術品のような秀麗さを持つ車両が18年ほどの活躍で、その生涯に幕を下ろしてしまったことが残念でなりません

 

小田急にとっても特別な存在であることから、海老名のロマンスカーミュージアムでの保存が検討されているようですが、VSEの引退に伴い同車からは連接車体の特急車両は消滅しました

ここからは、趣味人の願望でしかないのですが、できれば先輩のいる長野で第二の人生を歩んで欲しいと切に願っています

 

 

▲/▲▲引退が惜しまれる小田急ロマンスカー50000形「VSE」

 

●THE ROYAL EXPRESS 瀬戸内クルーズトレイン

JR西日本・四国・貨物の協力のもと、初めてとなる四国への運行が話題を呼んでいる伊豆急のロイヤルエクスプレスですが、このほど行程が発表されました

来年の1月から3月にかけて6回催行されるツアーは、いずれも岡山発岡山着の3泊4日となっており、最終日は高松港から新岡山港まで水戸岡デザインの「おりんぴあどりーむせと」に乗船します

 

2名1室でツアー料金は、もっとも安いプランで96万円からなので、管理人のような一般庶民には縁の世界といえそうです

なお、プレスリリースにはロイヤルエクスプレスを牽引するEF210形電気機関車が描かれており、同車が営業用の旅客車両を牽引する初のケースとなりそうです

 

●小浜線に観光列車「はなあかり」登場

10月25日には、JR西日本より24年10月から運行を始める観光列車「はなあかり」の詳細が発表されました

福井県の敦賀駅と兵庫県の城崎温泉駅の間を、小浜線・京都丹後鉄道・山陰本線経由で結び、24年3月に開業する北陸新幹線と呼応して、広域観光を促進する狙いがあります

 

車両は「はまかぜ」に使用されているキハ189系のうち、3両1編成を全車グリーン車のハイグレード仕様へ改装します

さらに、1号車はグリーン車のさらに上をいく”スーペリアグリーン車”とし、室内には2人用のセミコンパートメントが10室設置されます

 

内外装のデザインは、「WEST EXPRESS 銀河」や273系「やくも」に引き続き、イチバンセンの川西康之氏が手掛けます

なお、運行区間についてですが、四半期ごとにJR西日本管内の他線区を走る予定としており、「銀河」のように山陽・山陰地区を走る姿を見ることができそうですね

 

▲観光列車「はなあかり」へ生まれ変わるキハ189系

 

●鶴見線にE131系投入

本日12月24日より、鶴見線にE131系がお目見えしました

既に車両は一般公開されており、これまでの房総地区や相模線、宇都宮線へ投入された車両と違って、拡幅車体ではなく、建築限界の関係なのかストレート車体を採用していることが特徴です

最終的には、3両編成×8本の24両が投入され、現在走っている205系をすべて置き換えます

 


▲続々と仲間が増えていくE131系

 

●阪急京都線 座席指定サービスPRiVACE始動

昨年の10月に阪急電鉄から発表されたプレスリリースで明らかになった京都線への座席指定サービス

今年の11月には、名称がPRiVACE(プライベース)に決定し、2024年夏頃から運行開始予定であることが発表されました

 

京阪のプレミアムカーを嚆矢として、JR西日本が新快速にAシート導入するなど、追加料金を支払ってもゆっくり座って移動したいというニーズの高まりを受けて、同社では初めてとなる座席指定サービスの導入に踏み切ることになりました

PRiVACEには、PrivateとPlaceを掛け合わせた造語で、移動時間を単なる移動としてでなく、プライベートな自分時間を過ごして欲しいという意味合いが込められています

 

イメージ図を見ると、ドアは車両中央に1ヶ所だけ設置され、ドア横には京阪のプレミアムカーのようなガラスサイネージの行先表示を目を惹きます

一方、車内へ目をやると、シートモケットは阪急の伝統ともいえるモスグリーン色になっており、落ち着いた木目調のインテリアで、独自色を演出しています

 

このPRiVACE車両は、新たに京都線へ導入される2300系のほか、既存の9300系の一部にも連結予定で、大阪梅田方から4両目に設定されます

 

▲大阪梅田駅で発車を待つ阪急電車