後をつける 跡をつける | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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質問の内容。
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辞書によると、尾行する場合は、「跡をつける」が正しいと書いてありました。言葉の意味としては、「後をつける」でも問題ないように思いますが、やはり「跡」が正しいのでしょうか。

質問者からの補足コメント

  • 跡をつけるだと、痕跡を残すほうの意味もあるので、尾行をあらわす場合は、後をつけるほうがわかいやすかなと。痕跡を追っていくから跡をつけるなんでしょうけど、意味がとりづらい気が……。

 

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No.3ベストアンサー

  • 回答者: 1311tobi
  •  
  • 回答日時:2015/08/19 14:59

たしかにWeb辞書は『大辞泉』も『大辞林』も、尾行する場合も「跡をつける」になっていますね。

「跡をつける」でも間違いではないのでしょう。
https://kotobank.jp/word/%E8%B7%A1%E3%82%92%E3%8 …

 こういう微妙な問題の場合、辞書の記述はあまりアテになりません。
 文化庁のサイトもありますが、いろいろな解釈ができそうです。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/ko …
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あと
跡-足の跡。苦心の跡が見える。容疑者の跡を追う。跡目を継ぐ。 
後-後の祭り。後を頼んで行く。後から行く。後になり先になり。
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 一般的な表記を知りたければ、新聞社系の用字用語集を確認することをオススメします。
『記者ハンドブック』(共同通信社)の143ページには下記のようにあります。
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後〔先・前の対語、後続〕
後味、後々まで(中略)、後をつける(すぐ後ろをついて行く)(後略)

跡〔痕跡、相続〕足跡、跡形もない(中略)跡をつける〔痕跡を追う〕(後略)
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「なんらかの痕跡を残す」は「跡をつける」でしょう。
 警察犬が「(においの)痕跡を追う」なら「跡をつける」なのでしょう。
 通常の尾行なら「後をつける」のほうが一般的です。

 どちらでも間違いではないでしょうが、当方なら「後をつける」と書きます。もしくは「あとをつける」でしょうね。


 表記の問題に関して詳しくは下記をご参照ください。今回の場合は、2)でしょうね。
【「表記の話」のバックナンバー】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2902. …
 以下は一部の抜粋(重言)。
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 表記(漢字の使い分け)の問題は2種類に分けて考える必要があると思います。 

1)使い分けないと間違いになる場合 
2)使い分けるのは単なる「決め」の問題の場合 

 たとえば「謝る」と「誤る」は明らかに意味が違うので1)でしょう。 
「誤った」ことを「謝る」とは書けても、逆はありえません。このほかに「過ち」のことを考えだすと、ちょっと話がややこしくなります(笑)。 

「生まれる」と「産まれる」の場合は2)でしょう。 
 汎用性が高いのは「生まれる」でしょうから、「産まれる」と書くべきところを「生まれる」と書いても間違いではありません。単なる「決め」の問題です。ただ、逆にムヤミに「産まれる」を使うとヘンな感じになります。 
  
 世間で広く使われている新聞の表記の基準だと、「生まれる」(生む)と「産まれる」(産む)の使い分けはおおむね以下のとおりです。 
【生】〈死の対語〉 
生まれ変わり、生まれ月、生みの親、傑作を生む、新記録が生まれる、明治生まれ、利潤を生む 
【産】〈主として出産関係〉 
産みの苦しみ、産み月、卵を産む 

 上記の例のうち、「生みの親」あたりは悩ましいところかと思います。 
「傑作を生むための産みの苦しみ」はヘンじゃないか、と言われても当方は責任がもてません。 
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