助詞の話──「勝ち負け」を示す「ニ」と「デ」 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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 下記の仲間。 
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【17】 
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950899196&owner_id=5019671 

mixi日記2016年月日から 

 テーマサイトは下記。 
【格助詞の質問】 
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9384588.html 
==============引用開始 
「野球の試合で負ける」「野球の試合に負ける」これは両方とも正しいですか? 
「口喧嘩で勝つ」「口喧嘩に負ける」???? 
では 
「トランプで勝つ」とは言うような気がしますが「トランプに勝つ」とは言いませんよね。もしくはちょっと意味が違ってくるような気がします。 
これはどうしてでしょうか? 
==============引用終了 

 これは参った。 
 助詞の話や「ニ」と「デ」の話はいままでに何度か書いている。 
●助詞に関する話 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3159.html 

【助詞の話──場所を示す「に」と「で」】 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1210.html 
【場所を表わすニの働き 二の特殊用法? 】 
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12162885042.html 

【助詞の話4「ニ」か「デ」か】 
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=52303109 

 前に見たのは場所を示す「ニ」と「デ」や、時間を示す「ニ」と「デ」。 
 今回のは何を示すのだろう。そこからかぁ……。おそらく下記だろう。 
https://kotobank.jp/word/%E3%81%AB-590835#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89 
==============引用開始 
デジタル大辞泉の解説 

に[格助・接助・終助・並助] 
[格助]名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。 
4 動作・作用・変化の結果を表す。「危篤に陥る」「水泡に帰する」 
5 動作・作用の目的を表す。「見舞いに行く」「迎えに行く」 
==============引用終了 
『大辞林』も似たようなもの。どちらかわからないのは、当方がバカだから? まぁ、〈5 動作・作用の目的を表す。〉にしておこうか。 

https://kotobank.jp/word/%E3%81%A7-573220#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89 
==============引用開始 
デジタル大辞泉の解説 

で[格助・接助] 
6 動作・作用の手段・方法・材料などを表す。…を使って。「電話で連絡する」「テレビで知ったニュース」「紙で作った飛行機」 
==============引用終了 
 こっちはこれだろう。ただ意味が特定できても、何も解決しない(泣)。 

 だって、元々の疑問は下記でしょ(少しだけかえる)。当然のことだけど、「負ける」「引き分ける」etc.……のときも使える。 
  野球の試合{ニ/デ}勝つ 
  喧嘩{ニ/デ}勝つ 
  トランプ{△ニ/デ}勝つ 
 なぜ「トランプ」だと「ニ」が△になるのか……。これは難問。 

 庭サイト(敬称略)におうかがいを立ててみる 
http://www.geocities.jp/niwasaburoo/07kakujosi.html#7.3 
==============引用開始 
③対象 「到着点」と同じ方向性がある 
     人にかみつく 人に頼る    仕事に慣れる 
     人に親切だ  仕事に熱中する 地理に詳しい   
==============引用終了 

 ちなみに、辞書の例文も、庭サイトの例文も「デ」にはできない。 
 この「ニ」は特殊なものって気がする。 
 仮に「勝ち負けのニ」とでも呼ぼうか。 
「勝ち」や「負け」に関わるいろいろな動詞が使えそうだ。 
  野球の試合{ニ/デ}{勝つ/圧勝する/負ける/惨敗するetc.……} 

 紛らわしいのは「対象」の「ニ」も「勝ち」や「負け」に使えること。 
  ライバル ニ{勝つ/圧勝する/負ける/惨敗するetc.……} 
 見分け方は簡単。「対象」の場合は「デ」にできない。 

 前に見た「先生ニ電話をもらう」と似ている印象がある。 
【続々 「先生にお電話をいただきました」と「先生にお電話を差し上げました」】 
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9365661.html 
==============引用開始 
 やはり、このニの用法は特殊なもの、という気がします。 
「特殊」と言うか、俗語的なもの、と感じています。 
 主な理由は下記の2点です。 
1)幼児語的な響きがある 
 〈1〉で書いたとおり、「言葉足らず」に感じます。 
2)「いただきました」との相性が悪い 
「先生ニ電話をもらった」に比べ「先生ニ電話をいただいた」のほうが異和感が強くなります。これは、敬度の高い表現との相性が悪いということではないかと。 
==============引用終了 

「勝ち負けにニ」の場合は俗語ではないが、省略と混用から生まれたような気がする。 
 省略の原形は 
  ライバル ニ試合デ勝つetc.…… 

 これが省略と言うか短縮されて、「試合ニ勝つetc.……」になった。当然「ライバル ニ勝つetc.……」って言い方が影響を与えている。 
 ただし、「勝ち負けのニ」が使える「○○ニ」は限られる。 
  勝負/試合/喧嘩……あと何があるだろう。「試合ニ勝って勝負ニ負ける」なんて慣用表現もあるな。 
 一般の言葉の場合は「○○ニ」にはしにくい。 
 結局このあたりは、慣例(使用例の多寡)に関わってくるような。 
  トランプ/野球etc.……は、「勝負事」ではあってもかなり異和感がある。このくらいの考え方で許してもらえないかな。 


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