場所を表わすニの働き 二の特殊用法? | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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 直接的には下記の続きだろうな。 
【場所を表わすニの働き 二の特殊用法? 資料編】 
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12162697906.html 

 少しわかってきたような。問題になるのは下記の3つだろう。 
 分類に関しては庭先生のサイトの言葉を借りたうえで簡便化する。こういうをウカツにやるととっても失礼になります。良い子はマネをしないように。 
http://www.geocities.jp/niwasaburoo/07kakujosi.html#7.3 
 ↓ ↓

https://niwasaburoo.amebaownd.com/posts/5731664

 

①目的地・到着点(物理的・抽象的移動)※「ヘ」に近い 
②存在の場所 物理的・抽象的 ※「デ」に近い(ことが多い) 
③対象(方向性がある点は「到着点」と同様) 

 

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2019-11-17追記https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12546188890.html

 ④を加えて下記のようにするべきだろう。

①目的地・到着点(物理的・抽象的移動)※「ヘ」に近い 

 学校{ニ/ヘ}行く。
②存在の場所 物理的・抽象的 ※「デ」に近い(ことが多い) 

 ベンチ{ニ/デ}座る。

③対象(方向性がある点は「到着点」と同様) 

 母ニ話す。 

④授受動詞の主格の対象となる相手※「から」に近い

 先生{ニ/カラ}電話をもらう。

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 この3つに分けて考え、〈「デ」に(置きかえることが)できる〉ものは②存在、という考え方を基本にしたい。ただ、例外も多い。そもそも存在の典型的な動詞の「ある」「いる」は「デ」と相性が悪い。 
 たとえば「類語辞典」で〈「に」と結びつく動詞〉としている例。 
「ある」「いる」のほかは、「住む」「勤める」「座る」「立つ」「泊まる」「止まる」etc.……。一応「デ」にできるが、自然度?はいろいろ。 
 庭先生サイトだと、「家にいる」「結論に問題がある」「この病気は子どもに多い」……全滅(泣)。 
 このままではマズいので、少し屁理屈をこねる。 
 おそらく典型的な②存在は「ニ」で、「デ」は使えない。 
 存在系になると、両方使える。 
「この病気は子どもに多い」はちょっと違う。後ろが形容詞だし。 
「地球にやさしい」だと「~にとって」だから③対象だが、「子どもに多い」はまた別物。言いかえるなら「ガ」が近いかも。 
 こういった例外があるのを承知で前に進む。(←オイ!)。ってことで、元ネタの例文を見ていく。 

〇 自宅「に」こもる →②存在 「デ」にできる 

〇 庭「に」水をまく →②存在 or ①目的地・到着点 
 ②存在のニュアンスなら「デ」にできる。ただし、「まく」を「存在」と考えるのはむずかしそう。やはり①目的地・到着点(③対象かもしれない)だろう。ただ、「デ」にできるから……「特殊用法」に近いのかもしれない(後述)。 

X 庭「に」朝顔に水をやる  
〇 庭「で」朝顔に水をやる 
 一見、「デ」が広い範囲で、「ニ」が狭い範囲……の例に見える(「東京でホテルに泊まる」など)が、どうやら違う。「庭ニ水をやる」にはしにくい。「朝顔ニ」は③対象。 
 これが「駐車場ニ車を止める」「駐車場デ入口の近くニ車を止める」だと微妙。庭先生サイトは①目的地・到着点にしている。類語辞書は②存在にしている。「デ」と互換性があるので②存在にしておく(後述)。 

〇 墓前「に」参る  
X 墓前「で」参る 
「参る」がどういう意味かによる。「墓(前)にお参りをしにいく」という意味なら①目的地・到着点(「ヘ」にできる)。その解釈はいささか強引で、フツーは③対象だろう(「デ」にできない)。 

〇 山頂「に」立つ 
△ 山頂「で」立つ 
 ②存在。ただし「デ」にはしくい。 
X 山頂「に」逆立ちする 
〇 山頂「で」逆立ちする 
 こういう例を見ると、「ニ」にできるか否かを「場所」の種類で考えるのは無理があることがわかる。 
 場所(的なものであること)は大前提だけど、問題は動詞のほう。存在系の動詞か否かがポイントになる(はず)。 

〇 東京「に」住む 
△ 東京「で」住む 
 これも②存在。やはり「デ」にはしくい。 
X 東京「に」生活する 
〇 東京「で」生活する 
 なぜかこうなる(笑)。 
 ただし、「 東京ニ生活する 」はXとは言えない【特殊用法】だと思う。 
 さらに言うと、「暮らす」だと、「デ」が自然。「ニ」は【特殊用法】に近い? 

X 湯河原の別荘「に」仕事する 
X 湯河原の別荘「で」仕事する←◯だろう 
 これは当方が【特殊用法】と呼んでいるもの。 
「ベニスに死す」「阿寒に果つ」の類い。古風な印象があって、文語調(仮称)と相性がいい。「東京ニ生活する」よりも「東京ニ生活す」のほうが自然な感じがある。 

 さて、【特殊用法】のほかによくわからないものがいくつかある。以下はほぼ仮説。 
■庭{ニ/デ}水をまく 
 もしかすると、これは3つOKのパターンかもしれない。 
 車を駐車場{ニ/ヘ/デ}停める 
 庭{ニ/ヘ/デ}水をまく 

 ってこと。 
「ニ/デ」を比較して考えると、②存在のニュアンスが強くなる。 
「ニ/ヘ」を比較して考えると①目的地・到着点のニュアンスが強くなる。 
 イメージとしては、駐車場から離れた場所で発話するなら「ニ/ヘ」。駐車場の近くや駐車場の中で、発話するなら「ニ/デ」。 
 水をまく場合でも、仮に家の中から水をまく(そんなバカな)なら「ニ/ヘ」。庭の中にいて水をまくなら「ニ/デ」。 
 ニはどちらにも使える。さすがゴミ箱(笑)。 
 ゴミ箱つながりで、「公園{ニ/ヘ/デ}ゴミを捨てる」なんてのもある。これも外部から捨てるなら「ニ/ヘ」。公園内に入った状態だと「ニ/デ」になる、ただし、「ゴミ箱{ニ/デ}捨てる」までいくと、なぜか「デ」には異和感が……。 

 

【20220710追記】

 やはり〈時間を表わす「ニ」〉も加えたほうがいいかも。

 下記がわかりやすい。

デとニ 「定時で」と「定時に」goo2021-11-07


     


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