彼女(のこと)を愛している〈2〉──彼女のことを感心していた 彼女に感心していた | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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 下記の仲間。 

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【17】 

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950899196&owner_id=5019671 


mixi日記2016年08月16日から 


 直接的には下記の続きだろうな。 

【「彼女を愛している」と「彼女のことを愛している」の違い 教えて! goo 辞書】 

http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12022556601.html 


 テーマサイトは下記。 

【「○○の事を感心していた」って日本語、変ですか?】 

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9381882.html 

==============引用開始 

こんにちは。 

30歳女性です。 

先日、今お付き合いしている彼の実家に行ったのですが、その後彼からメールが来て、「今日はありがとう。母も話の中で○○の事を感心していたよ。」と言われました。 


言いたい事は分かるのですが、日本語が変ですか? 

「○○に感心していたよ。」とかなら分かるのですが、「○○の事を感心していた。」って不自然な気がします。 

細かい事かもしれませんが・・・。 


どう思われますか? 

==============引用終了 


 そうか。うなってしまった。 

 〈1〉と同じと考えることはできる。 

「彼女に感心していた」と「彼女のことを感心していた」はほぼ同じ。ニュアンスも大きくはかわらないけど、どうしてもと言うなら……ちょっと強引な考え方をする必要がある。 

 後者のほうが、「いろいろなことをわかったうえで」「何もかもひっくるめて」のニュアンスになる。 

 なぜなら、「のこと」は〈㋐ある物事に関連する事柄〉のニュアンスも含むから。 

 たとえば「彼女に感心していた」は、単純にそのままの意味。 

 これが「彼女のことを感心していた」だと、複雑な家庭環境のことや、ずいぶん前に電話をもらったときの印象etc.……を含めたうえで「感心していた」。 


 ただ、少し違う気もする。 

 当方も「彼女のことを感心していた」にはほんの少しだけど異和感がある。 

 あえて理由を探すと……。 


1)なんでヲなんだろう 

「のこと」がないときは「彼女ニ感心していた」なのに、「のこと」があると「彼女のことヲ感心していた」が自然に感じる。と言うより、ニが使えないのはどこか不自然だからなのでは。さらに言うと、「~ヲ感心する」もちょっとヘンな気がしてくる。 

 たぶん、「感心する」を他動詞的に使うのはおかしいからでは……とは思うが、自他の話に踏み込むと泥沼が待っているのでパスする。 

【自動詞と他動詞〈1〉~〈5〉】 

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2936.html 


2)そもそも、「感心する」と「のこと」は相性がよくないのでは 

「すばらしい演技ニ感心する」 

 とは言えても、「すばらしい演技のことヲ感心する」は相当不自然。「感動する」あたりも同様だろう。「感動する」も「のこと」と相性が悪い上に「~ヲ感動する」とは言いにくい。 

 そう考えると「彼女のことヲ感心していた」はやはりおかしいのでは。 

 どういう動詞が「のこと」と相性がよくないのかは、ちゃんと考えてみないとわからない。 


 ちなみに「彼女(のこと)をほめていた」なら、「のこと」はあってもなくてもいい。「彼女(のこと)を愛している」と同様だろう。




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