『醜悪な花嫁』
今日は人生最大の記念日よ。貴方は罪深き花婿で…私は醜悪な花嫁。神聖なる神の祭壇で、貴方は何の躊躇いもなく、偽りだらけの愛を誓った。復讐…いいえ…天罰を…私の、この手で与えてあげる。喉元に突き立てたナイフを、貫くことは怖くなかった。深紅の花びらに纏われて…驚いた貴方の顔が、あまりにも愉快で…滑稽で…嬉しかったわ。ほら…よく見ていて…はしたないほど、恍惚に歪んだ私の顔を。ねぇ…もっと見つめていて…浅はかで…救いようのない悪あがきを。紅熟していく純白のドレス。綺麗でしょう?抱き上げてくれなくてもいい…誓いのキスも…指輪も要らない…だけど目をそらさないで…醜悪な妻の死に様を…見届けるのが貴方の定め。ざわめく音が遠のいて…霞む視界に映る貴方の瞳が、僅かに滲んで見えたのは…きっと…バカな女の…最期の甘い夢だった……――