術後のリハビリ
一般病棟に戻ってからのことを徒然なるままに書いていこうと思います。ICUに戻った直後は、私管まみれでございました。上から書いていくと・左耳の裏にドレーン(手術した部位に管を入れて後から出てくる血液を外に輩出させるもの・胃管(鼻から胃に入っている管。栄養剤を入れたり、嘔吐しないように胃液を外に出すためのもの)・気管切開(今回の場合は顎の手術をしているので気道がむくんで呼吸困難にならないように喉に穴をあけて呼吸を確保するもの)・Aライン(動脈にラインを取って血圧などを測定するもの?専門外のため情報が正しくないかも…)・末梢静脈点滴(水分や薬を投与するためのもの)・中心静脈点滴(同上)・尿道カテーテル(術後ベッド上で安静にしていないといけないため、トイレに行かなくていいように膀胱に管を入れて尿を出します)このように7本の管にまみれておりました。また、左足にひざ下から足の先までシーネを巻かれていました。一般病棟に戻るときは、Aラインだけ抜かれ、末梢静脈点滴は一般病棟戻ってすぐ抜かれました。末梢静脈点滴は本当は残しておく予定だったんですけど、研修医の先生たちがいつもは抜くからと看護師さんに抜去に指示を出したため抜かれました。末梢静脈点滴をなんで残す予定だったかというと、6年前の時経管栄養と相性がべらぼうに悪くて、入れたらすぐに下痢を繰り返していたので術前に残しておいてほしいと伝えていたんです。が、研修医の先生たちには意図が伝わってなかったようですで、その日ベッドで一般病棟に戻ったばかりの私に対して、車椅子に乗り歯のレントゲンを撮れというのです。マジ、苦行。左足はついてはいけないので、右足のみで立って車椅子に乗らないといけないし、歯のレントゲンは高さが決まっているから立てないと難しいと言われたけど、何とか車椅子にクッションみたいなのを入れて高さを出して取りましたが、丸2日間寝たきりだった私がいきなり、自分の体を支えられるかって話ですよ先生たちの無茶ぶりはこれだけではなかったのですが、本当に知らなければ疑問にも思わないのに知っているからこそ怖いってことが何度もある入院生活でした。一般病棟に戻るとスマホも使えるので、家族に持ってきてもらって一番にやったのは、パンパンに腫れあがった顔の自撮りです6年前も術後の顔を取りたくて自撮りしました。今回は3日くらい毎日撮ってむくみの取れ具合とかを確認しました。術後5日目くらいでようやく目が開くようになりました。管自体は状態に応じてどんどん抜かれていきました。車椅子に乗れるようになってすぐ尿道カテーテルは抜かれ、出血量が減ったら耳の裏のドレーンが抜かれ、栄養剤が問題なく注入できてたら中心静脈点滴は抜かれました。さて、術後にリハビリについて今回は、ST(言語聴覚士:話す、食べるに特化した療法士さん)とPT(理学療法士:寝返り・起き上がり・座位保持・移乗・立ち上がり・移動の訓練をしてくれる療法士さん)の介入がありました。一般病棟に戻った日が金曜日だったため、介入が始まったのは翌週の月曜からでしたなので術後5日目からでした。6年前もST、PTともに介入していただいていましたが、PTさんは病院を退職しており、STさんは病棟担当を外れていました。なので、今回は6年前と違う方にお願いすることになったのですが、PTさんはまさかのお知り合い私の勤務する病棟の患者さんを担当してくれており、6年前も担当さんがお休みの時に時々介入してくれた同い年のPTさんでした若々しくとってもイケメンなナイスガイ!介入初日、私はまだ話すことができないのに身振り手振りで大興奮(笑)実は人見知りの私は、一人でも顔見知りの人が担当していくれると嬉しかったです。また、私の仕事のことをわかってくれているので、リハビリのゴールについても話やすかった。私のリハビリのゴールは、職場の駐車場から病棟に行けること。うちの駐車場はなかなか広くて、出社した順に車を駐車するシステムなので、毎回同じ場所には止められない。また、私は2分前出勤の女なので病棟から一番遠い場所にしか止められないうちの病院は高台にあり、一番遠い駐車場は病院から坂を下ったところにあるので、病院までに階段が2階分くらい登らないのいけないのです。なので、退院までに階段昇降ができるまでにはならないといけません。ですが、同じ職場なのでいつもこの辺りに止めていると言うだけで、何となくの距離感とかを理解してもらえたのがありがたかった足のリハビリについて、私一生言い続けるって思っている出来事があったんです。前置きをしておくと、私は以前勤務していた病棟で整形外科の患者さんを担当していて、足の骨折をした患者さんの看護をしたことがあるのです。今回は形成外科ではありますが、腓骨という足の骨を丸々切除しているので、整形外科に準じたリハビリを勧めるのだろうと思っていました。で、整形外科で足の骨折をした患者さんは、骨折した方の足に徐々に体重をかけるというリハビリの仕方をします。で、私が歩行のリハビリを開始してよくなったのは術後12日目のこと。(PTの介入自体は術後4日目からありました。右足のストレッチやシーネから出ている左足の指の運動などをしてくれていました)当日PTさんからは、形成外科の先生から安静度(左足にどのくらい体重をかけていいのか)の指示を確認しているんですけど、指示が出ないんですよねと言われていました。そんな中、口腔外科の先生が歩行器をもってやってきて、「歩きましょう!」と入ってきました。シーネが取れたばかりでまだ、踵が床につかない状態の私に…。焦った私は舌っ足らずな言葉で(術後7日目でレティナという気管切開しているけど話ができる状態になっていました)「全荷重(左足に体重を全部かけてること)かけていいんですか?」と聞いたら「もちろん」って言われたので、しぶしぶ歩行器を使って自分の部屋から顎の傷を見てもらうため、病棟の処置室に歩いていきましたが、ほぼ、けんけん。左足はつま先だけちょこんとつけて右足だけで歩いてました。病院スタッフなので、院内で転ぶことがどれだけ大事かは知っているので、何が何でも転ばないように慎重に歩きましたが、いかんせん「もちろん」と言ったのは歯科医師。本当に大丈夫なのか?PTさん来てくれ~と思いながら歩きました。翌日、PTさんも先生に確認してくれて、全荷重で問題ないとのことだったので安心できました。PTさんは先に足首の柔軟をしてくれたので、PTさんが介入してくれてからは床に踵をつけることもでき、安心して歩くことができました。あの怖かった、初回歩行は折に触れてはいろんな人に話すと思っています。そのあとはスムーズにリハビリは進み、歩行を開始した翌週には病棟内であれば杖歩行問題ないところまでできました。退院する週には訓練室まで杖歩行で行き帰りしたり、階段昇降、エスカレーターの乗り降りなどの練習ができるようになるまで回復しました。退院後PTの介入はなくなりましたが、退院後3週間後くらいの現在は一応手すりにつかまらなくとも1階分の階段であれば昇降できるくらいにはなりました。まだ、足首が固く踏ん張りがきかないので、外出時は杖歩行をしていますが、短距離や自宅内であれば杖なしで歩行できています。術後7日目が40歳のBirthdayだったのですが、まだ若いので回復も早いようです次はSTさんについてこちら声の良いおじさまSTさんでした。6年前のSTさんはまだ院内にいらっしゃって、昨年度末には病棟でお話もしたので、同じ人かな期待していたのですが、今年度から病棟担当を外れていたみたいで担当できなかったそうです…残念でも、このおじさまSTさんもとっても良い人で毎日お話しできるのが楽しい人でした。系列病院から今年度異動してきた方でうちの病院のシステムがわからないなんて話しながらいろいろ考えてくれる良い人ST領域の私のリハビリのゴールは電話で話すことができることです。食事に関してはしばらくは噛むことができないと言われているので、ペースト食(ミキサー食)がゴールかなと思っていました。介入が始まったのがこれも術後4日目から。その時の私の口の中は、上顎にマウスピースが入っていて、右の上下の顎をワイヤーで固定をされている状態だったので、全力で口を開いても1㎝開くか開かないかくらいでした。以前の手術のせいでもともと左側の舌は動きが鈍いのですが、今回の手術で動かさなくなっていた分、右側の良い方も動きが悪くなっていました。リハビリ開始後4日目にレティナに気切(気管切開)が変わって声を出せるようになったんですけど、まだその時は、唾液が無意識に口から垂れてしまう状態だったので、口にずっとティッシュを咥えている状態でした。舌をいじるような手術ではなかったので、レティナに変えてからも比較的に通じる言葉を話すことはできましたが、唇を使うような音は下顎がない分うまくくっつけることができず発声ができませんでした。術後すぐのリハビリでは舌を上顎につけることもできませんでした。そのせいで発音できない言葉もありました。でも、私にとって幸いなのは、人見知りではありますが、おしゃべり大好きであること。6年前に担当してもらったSTさんからも言われていたのですが、リハビリは回数をこなすことで改善するのです。ST領域において話すことは最大のリハビリ!受け持ちの看護師さんと時間が許す限り話したり、STさん・PTさんともリハビリの最中もお話したりと「話す」ことに関しては、ひたすら回数を稼げたのです。口を開いたり、舌を動かすリハビリはさぼりがちですが、ご飯食べたり話すことで少し促されるのでそれでカバーされてるかななんて思っています。退院後STだけは外来通院でリハビリを続けています。だいぶクリアに発音できているのですがどうも「き」の発音がクリアに発音ができないのです「くき」「け」に近いひずんだ音になってしまいます。そこをクリアにするのが今の目標ですが、最初に掲げていた「電話ができる」はクリアしました!!退院後、伯母や病棟責任者と電話する機会があったのですが、話を聞き返されたことはなかったです。私がなぜ電話ができるにこだわっているかというと職場復帰の際に、体力的に患者を受け持つよりもリーダー業務を多くすることになることを考えてです。当院のリーダー業務は、医師との電話連絡が必須です。なので、電話で意思疎通が図れることが職場復帰するうえで必要なこととなります。また、患者さんの名前を伝える場面もあるので、できれば職場復帰までに不明瞭な言葉がないようにしたいので「き」をクリアに言えるようになりたいなと思っています。食事に関しては、術直後は胃管から液体の栄養剤を投与していました。最初に投与していた栄養剤は6年前ほどではないですが下痢になってしまったのですが、次の栄養剤は下痢にはなりませんでした。術後8日目から口から食事を開始しました。最初はゼリー食(お茶ゼリーと高カロリーのゼリー)しかもお昼だけでした。高カロリーのゼリーがねっとりしすぎていて、舌の動きが悪くなっていた私にとって食べづらいものでした。しかも、舌で食べ物を喉の方まで運べないので、ベッドのリクライニングを40°程度に起こし寄りかからないと食べることができませんでした。その時の状況をSTさんが見ていてゼリー食より、ペーストの方が喉に流し込みやすいのではないかということで翌日からペースト食へ変更となりました。その日が金曜日でSTさんが見守る中食事をしたのですが、全然食べきれなかったです。土日も昼だけ食事は出てたのですが、徐々に食べる量が増え日曜日には完食できました。(量は半分だったのですが…)ここで、食事の目標が普通に座ってたべることができるになりました。最初のころは50°くらいにすると飲み込めなくて、先は長いなぁと思っていました。術後13日目からは三食口から食べるようになりました。このころには毎回完食できていました。(半分の量の食事量でしたけど)術後14日目の夜に先生が来てそろそろ胃管抜こうかと来たのですが、まだ半分の量だよと伝えたら翌日から全量にするねとなり、全量食べれたら抜くことになりました。私としては1日様子を見るのかなと思っていたら一回全量を完食したのを確認した後に胃管を抜かれました。もう食べるしかないので必死です(笑)まぁ問題なく毎食完食できましたが…。この胃管を抜くのにも面白出来事がありました。寝たきりの患者さんが通常入れている胃管はただ入れているだけで固定はテープだけなのですが、私のように口腔内等を手術している患者は抜けたら再挿入が困難なことが多いため、鼻の穴に1針縫って管を固定してあります。なので胃管を抜くときに縫ってある糸を切るのですが、抜いた後もどうも違和感があるのです。鏡で確認したところ、糸が残っている翌日の口腔外科の処置の際に「糸が残ってるんだよね」と伝えて取ってもらいました。研修医の先生が抜いたんだけど見えなかったのかな(笑)術後19日目入れ歯ができましたただ、この入れ歯は食べるためのものではありません。下の歯は2本しかないため、唇がどんどん内側に入ってしまうためそれを予防するための入れ歯です。これで、話すのが改善したり、それまでは唾液が垂れまくりでしたが、入れている間は垂れることがなくなりました。術後22日目、夕食中にふと座って食べれるんじゃねと思いまして、背もたれをマックスに挙げて食べてみました。そしたら、無事食べれました。嬉しくてその日の夜勤の看護師さんに自慢しちゃいました。そしたら、すごい褒められました入院している病棟の患者層は高齢者が多いようで、自分からtryする患者は少ないようで、私の看護師という職業柄や職場復帰に対するモチベーションの高さがそういう行動をとらせるんじゃないかということでした。座って食べられることは私にとっても達成したい目標だったので翌日のSTさん訪室時に第一声で「座って食べれた」と報告しました。めっちゃ嬉しかったなぁ退院後の今は、市販のペースト食と自宅で調理したものやレトルトの食品をペーストにしたものを食べています。高温の食材にとろみをつけるために当院ではスベラカーゼ・スベラカーゼライトというとろみ材を推奨してくれています。ネットで購入して、自宅で調理したものやレトルト食品に50~100mlのお湯とスベラカーゼライトを3g入れてミキサーにかけてペーストを作っています。下顎の右奥歯2本は残っているので、その2本だけは噛むのに使用してよいと言われているので、少し硬さのあるものも食べています。卵焼きやスフレ、羊羹などを小さめに切って右奥歯にそっと置くように口に入れて食べています。また、はつらつというカタログから注文もしています。リハビリについてだけでたくさん書くことがあったのは今回はここまで。次回は傷の治りについて書いていきたいと思います。