拒絶反応起きにくいiPS細胞 ゲノム編集で作製成功 京都大 | Just One of Those Things

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iPS細胞から作った目の角膜移植 条件付きで了承 国の部会」より。

 

それ以前のまとめは「再生医療シンポジウム「車より安いiPS細胞を」山中教授」にて。

 

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拒絶反応起きにくいiPS細胞 ゲノム編集で作製成功 京都大
2019年3月8日 4時11分 NHK
 

 

 

遺伝情報を自在に書き換えることができる「ゲノム編集」という技術で、移植した際に免疫による拒絶反応が起きにくいiPS細胞を作製することに成功したと、京都大学のグループが発表しました。
 
京都大学iPS細胞研究所の堀田秋津講師らのグループは、遺伝子を自在に書き換えることができる「ゲノム編集」という技術を使って、免疫による拒絶反応の原因となる細胞の表面のタンパク質を改変したiPS細胞を作り出しました。
 
改変したiPS細胞は、移植した際の拒絶反応が起きにくくなったことを動物での実験などで確認したということです。
 
iPS細胞を使った再生医療は、拒絶反応を起こしにくい特殊な免疫のタイプの人から作ったiPS細胞を集めて行われていますが、この方法で改変したiPS細胞を7種類作り出せば、日本人の95%以上に適用できるということで、グループでは安全性などを確認して、今後、再生医療に使えるよう研究を進めたいとしています。
 
堀田講師は「このiPS細胞を患者さんに届けられるようにしてきたい」と話しています。
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下記はリンクで取り上げようと思いましたが、読売さん、削除されるのが早いので転載です。

 

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日本人の95%以上に対応…「拒絶」起きにくいiPS、京大研究所が作製
2019年3月8日 ヨミドクター

 遺伝子を自在に改変できるゲノム編集を利用し、免疫による拒絶反応が起きにくい新たなiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製したと、京都大iPS細胞研究所が発表した。
 
 この技術を使って免疫の型が異なるiPS細胞を7種類作製すれば、日本人の95%以上で移植後の拒絶反応を抑えることができるという。論文が8日、米科学誌セル・ステム・セル電子版に掲載される。
 
 iPS細胞は患者自身の細胞から作れば、移植に使っても免疫に異物とみなされず、拒絶反応は起きない。他人由来のiPS細胞を使う場合、患者の免疫の型と合わないと拒絶反応が起こる。同研究所の堀田 秋津あきつ 講師(遺伝子工学)らは、酵素をはさみのように利用して細胞の遺伝子を切り貼りするゲノム編集の技術を利用。細胞の免疫型を決める一部の遺伝子を壊すことで、多くの人で拒絶反応が起きにくいiPS細胞を作る方法を考案した。従来のiPS細胞より拒絶反応が減ることをマウスの実験で確認した。
 
 これまで同研究所は、比較的多くの患者に合う免疫型を持つ人からiPS細胞を作り、移植用に備蓄する計画を進めてきた。同研究所が提供できるiPS細胞の免疫型は現在3種類あるが、日本人の90%をカバーするには140種類そろえる必要があり、コスト面などから困難だった。
 
 今回の方法は、狙った遺伝子以外に影響が出た場合に想定外の副作用が起きたり、感染症にかかりやすくなったりする恐れがあり、実用化には課題が残る。堀田講師は「安全性を担保する手法を確立し、2020年度にも実際の医療に使えるiPS細胞を今回の手法で作製したい」と話す。
 
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個人的には京都新聞さんの報道が好きです。

 

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ゲノム編集で拒絶抑制、iPS細胞作製に京都大成功
2019年03月08日 09時10分 京都新聞

 遺伝子を自由に書き換えられる技術「ゲノム編集」を使って拒絶反応を起こしにくいiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製する技術を開発したと、京都大iPS細胞研究所のグループが発表した。同研究所で進めている再生医療用iPS細胞のストック計画に応用すれば、7種類のiPS細胞で日本人の95%以上をカバーでき、大幅な効率化につながるという。米科学誌セル・ステム・セルに8日、掲載される。
 
 同研究所は、拒絶反応を起こしにくいタイプのドナーから作ったiPS細胞を備蓄しているが、日本人の9割をカバーするためには140種が必要となる。2013年度からストック計画を開始したが、現状は3種で3割のカバーにとどまっている。
 
 同研究所の堀田秋津講師らは、ゲノム編集を活用し、免疫細胞が異物と認識する目印となるiPS細胞の膜上のタンパク質をなくす技術を確立した。一方で、免疫細胞の一種であるナチュラル・キラー細胞は、目印のタンパク質がないことに反応するので、一部のタンパク質だけは残した。
 
 ゲノム編集したiPS細胞からできた血球細胞をマウスに移植するなどしたところ、免疫細胞からの攻撃を一定回避していることを確認できた。
 
 堀田講師は「ストックに応用にするには安全性の確認や、作製技術の改良など課題はある」と話した。
 
 ◇選択肢の拡大も、ニーズ見極めを
 
 ゲノム編集を活用して、移植時に拒絶反応が起こりにくいiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作る技術が開発された。ドナーから作ったiPS細胞を患者に移植する再生医療の実現に向け、選択肢の拡大が期待できる。ただ、技術革新が日進月歩のなか、将来的にどれだけニーズが見込まれるか。現状で判断できないことは多い。
 
 京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、数年後には100万円程度の価格で患者自身から作製したiPS細胞(マイiPS)の提供を目指すと表明している。実現の可能性には議論もあるが仮にマイiPSが普及した場合、ドナーの細胞を用いるiPSストックとどう使い分けるのか。解決するべき問題は残る。
 
 ゲノム編集のストックに応用するとしても技術的な課題がある。神奈川県立保健福祉大の八代嘉美教授(科学技術社会論)は「がん化のリスクなどをどう評価するか。価格を抑えるには、そうした手法の研究が重要」と指摘する。
 
 免疫反応に関する懸念も聞こえる。京都大の河本宏教授(免疫学)は「ナチュラルキラー細胞による拒絶反応は、今回の手法では最大6割の患者に起こり得る」と指摘。また、研究グループが考案した方法でiPS細胞からできた組織は、免疫細胞との連携がうまくいかず感染症への抵抗力が低くなる可能性があるという。その上で「産業界からは、約10種類のiPS細胞ストックなら使いやすい、という声が出るかもしれない」と述べる。
 
 iPS細胞を使った再生医療は、未知の領域だ。今回の研究を含めさまざまな技術を開発することは、iPS細胞を使った医療の底上げを図るためにも意義はある。研究の進展と合わせて、医療への応用にそれぞれの技術をどう生かせるか。じっくり見極めることが重要となる。
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京都大のプレスリリースは出ていないようですね・・・。

 

 

次に、究極に溜まりに溜まったネイチャーを取り上げます。

 

 

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