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虐待・DVを防ぐには 加害者更生支援の現場から見えたこと
2019年2月21日 19時36分 NHK

子どもが命を落とす深刻な虐待事件が全国で後を絶ちません。なぜ虐待は起きるのか。どうすれば防げるのか。加害者を立ち直らせようとする民間団体の支援現場を取材しました。
 
横浜市では、虐待やDV=ドメスティック・バイオレンスなど身近な人に暴力をふるってしまった人たちが参加する更生プログラムが行われています。
 
NPOが8年前から実施していて、心理学を学んだスタッフがプログラムを進めます。
 
プログラムの参加費用は1回3000円で、およそ50人が参加していて、毎週、10人前後のグループに分かれて、自分がふるった暴力などについて話し合います。
 
■虐待やDVに「無自覚」な人も
 
取材をした日には「妻を正しいほうに導いてあげていると思ってDVをしていた」、「自分は親や先生に殴られて育ったので暴力もしつけや教育だと思い込んでいた」などと参加者がみずからの行為を語っていました。
 
NPOによりますと、参加者の中には自分が虐待やDVをしたことを自覚していなかった人も多いといいます。
 
自分の行為を語ったり、ほかの参加者の話を聞いたりすることで、みずからの暴力の重大さに気付いてもらうことがプログラムのねらいです。
 
また、この日は千葉県野田市で10歳の女の子が亡くなり、両親が逮捕された事件についても話し合い、「自分も同じような状況に陥っていたかもしれない」などという意見が出ていました。
 
NPOによりますとプログラムにはこれまでにおよそ500人が参加し、8割の人は自分の行為を見つめ直すなど何らかの改善がみられたといいます。
 
一方で、途中で来なくなってしまうなど状況が改善されない人も2割ほどいるということです。
 
■野田氏の事件以降 問い合わせが急増
 
NPOには野田市の虐待事件以降、「暴力をやめたい」、「子どもに暴力をふるう夫にプログラムを受けさせたい」といった本人や家族からの問い合わせが、ふだんの7倍近くに急増しています。
 
こうしたプログラムを受けられる場所は全国的に少ないということで、九州などから参加する人もいます。
 
また、参加する人のほとんどは本人や家族が自分でプログラムを捜し出し、参加を申し込んでいて、行政機関から紹介されて来る人は少ないといいます。
 
このためNPOは、支援を受けたくても受けられない人がまだ大勢いるのではないかと考えています。
 
NPO法人「女性・人権支援センターステップ」の栗原加代美理事長は「虐待やDVは別居や離婚しただけでは解決とは言えず、加害者が更生することが不可欠だ。しかし、支援に結び付いているのは一握りの人たちで、取り組みはまだ十分ではない」と指摘しています。
 
そのうえで「更生に向けた取り組みを全国に広げて、行政機関などと連携し加害者がプログラムにつながる体制を作っていく必要がある」と訴えています。
 
■プログラム参加の男性は
 
横浜市で行われている更生プログラムに、去年から通っている40代の会社員の男性は、小学生の長女に対し幼い頃からたたいたり、蹴ったりする暴力を繰り返し、時には止めに入った妻にも手を上げていたといいます。
 
長女は去年、児童相談所に数か月間、一時保護されました。
 
男性は当時について「子どもたちが自分の思いどおりに行動せず、“しつけ”だと思ってやっていた。自分もたたかれて育ったので、悪いという認識は全く無く、子育てとはそういうものだと思っていた」と振り返っています。
 
男性は、インターネットで更生プログラムの存在を知った妻から参加を強く勧められましたが、最初は反発したといいます。
 
それでもプログラムに参加し、自分の経験を頭の中で整理して話したり、ほかの参加者の経験を聞いたりしたことで、みずからの虐待に気付いたといいます。
 
男性は今、プログラムで教えられたことばを携帯電話の待ち受け画面に載せたり、手帳に書き留めたりしています。
 
妻や子どもとは別居していますが、みずからの行為を謝罪し、定期的に連絡を取っています。
 
男性は「スタッフのことばやほかの人の経験を聞いて、自分は加害者だと自覚するようになりました。子どもたちに一生の心の傷を残してしまい、とんでもないことをしたと思っています」と話しています。
 
また、プログラムへの参加を勧めた妻も、男性の変化を実感しているといいます。
 
妻は「以前までは自分の考えと少しでも違うとすぐに間違いだという感じで、こちらの意見も聞かずに感情が高まって、どなったり手が出たりしていましたが、考え方に柔軟さが出てきて、落ち着いて一呼吸おいて話してもらえるようになりました。子どもたちにも泣きそうになりながら謝罪していて、心から申し訳なく思っているのが伝わってきます」と話しています。
 
一方で、妻は夫の暴力に悩んでいた当時、相談した行政窓口や児童相談所では、民間の更生プログラムは紹介してもらえなかったということで、「加害者に立ち直ってもらいたいと願う家族は大勢いると思うので、こうした支援を広く紹介してもらいたい」と話しています。
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