エレクトロニクス: 室温励起子デバイス | Just One of Those Things

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前回に引き続き、34号目のネイチャーのハイライトより。

 

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エレクトロニクス: 室温励起子デバイス
Nature 560, 7718
2018年8月16日    

励起子は、負電荷を持つ電子と正電荷を持つ正孔からなる結合状態であり、半導体における光放出や光吸収に重要な役割を果たしている。電子ではなく励起子の操作を利用するデバイスが作製されれば、フォトニクス技術とエレクトロニクス技術を容易につなぎ合わせることができると思われる。励起子デバイスはすでに実現されているが、動作には非常に低い温度が必要である。A Kisたちは今回、二次元ファンデルワールス材料を積層させ、2つの層で励起子を分け合うことによって、室温でトランジスター的な動作を示す励起子デバイスを実証している。

Letter p.340
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2次元物質とそのファンデルワールスヘテロ構造の物性と機能開拓

ファン デル ワールス(Van der Waals)材料特性 |

 

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エレクトロニクス:ファンデルワールス・ヘテロ構造における励起子フラックスの室温での電気的制御
Nature 560, 7718 |  Published: 2018年8月16日 | 

結合した電子と正孔の対である励起子の操作を利用するデバイスは、光学的なデータ伝送系と電気的な処理系をつなぐ効率の高い相互接続の実現に大いに有望である。バルク半導体系の結合量子井戸において、励起子を用いたトランジスターの動作の実証が成功しているが、動作には低温が必要なため実用化には限界がある。最近、励起子結合エネルギーが大きい二次元半導体が見つかったことで、室温で動作する励起子デバイスや励起子回路が実現される可能性が出てきた。個々の二次元材料は励起子の拡散長が短いが、電子と正孔をヘテロ構造体の異なる層へと空間的に分離することでこの限界の克服が容易になり、メソスケールデバイスの室温動作が実現される可能性がある。今回我々は、六方晶窒化ホウ素で挟んだMoS2–WSe2ファンデルワールス・ヘテロ構造体から作られた励起子デバイスが、電気的に制御されるトランジスター動作を室温で示すことを報告する。このデバイスでは、層間励起子の寿命が長いため、5 μmにわたる距離を拡散する。さらに我々は、このデバイス内で、電気的に再構成可能な励起子フラックスの閉じ込めポテンシャルと反発ポテンシャルを形成することによって、励起子ダイナミクスを操作できることを示す。今回の結果は、今後の励起子デバイスにおいて二次元材料を集積することで室温動作が可能になることを強く主張するものである。
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WASEDA研究特区―プロジェクト研究最前線―:ナノ世界と現実世界をつなぐ―「メソ化学」のパイオニア 「実践的化学知」教育研究拠点

メソスケール材料研究所 – 早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構

 

溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、有機化学より、C-Cクロスカップリングと環化付加を組み合わせる、を取り上げます。

 

 

※多忙につき、相変わらずブログでの対応が遅れていますことを、心からお詫び申し上げます。
 


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