解析して判断:「分子の手書き文字」をパターン認識するDNAベースのニューラルネットワーク | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

30号目のネイチャーのCover Storyより。

 

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Cover Story: 解析して判断:「分子の手書き文字」をパターン認識するDNAベースのニューラルネットワーク
Nature 559, 7714
2018年7月19日  

化学勾配に従う細菌でも複雑なにおいを選別するヒトでも、分子パターンを認識する能力は生物の重要な属性である。DNAベースのニューラルネットワークは分子コンピューティングで同じタスクを実行できるが、これまでは4ビットでできたわずか4通りのパターンに限定されていた。今回L Qian とK Cherryは、これを100ビットからなる9通りに増やし、10 × 10ピクセルの格子に書かれた1~9の数字を正確に識別できるシステムを実証している。このネットワークは、「勝者総取り」の競争戦略を用いて、その出力を洗練させ、何の数字を見ているかを決める。与えた100ビットのパターンのうち30ビットを反転させても(手書き文字のばらつきに似ていても)、ネットワークは元のパターンを正確に「思い出し」、数字を認識する。この結果は、分子計算回路が記憶に似た何かに基づいて、非常に複雑で雑音の多い情報を分類できることを示唆している。

Letter p.370
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んー。これは、添付するデータはなさそうです。
 
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DNAナノテクノロジー:DNAベースの勝者総取り方式のニューラルネットワークで分子パターン認識をスケールアップする
Nature 559, 7714 |  Published: 2018年7月19日 |

単純な化学勾配に従う細菌から複雑なにおい情報を識別する脳まで、分子パターンを認識する能力は生物にとって不可欠である。このタイプの情報処理機能は、DNAベースのニューラルネットワークを用いて実現されているが、これまでは4つの異なるDNA分子で構成された4通りのパターンまでしか認識できなかった。DNAベースのニューラルネットワークの能力を向上させ得る戦略として、勝者総取り(winner-take-all)方式の計算が提案されている。以前用いられた線形しきい値回路やホップフィールド・ネットワークと比較すると、勝者総取り回路は、計算力が高く、より単純な分子実装を可能にし、パターンの数と複雑さに制約されないため、多数の単純なパターンも少数の複雑パターンも認識可能である。今回我々は、DNA鎖置換反応に基づく勝者総取りニューラルネットワークを系統的に実装したことを報告する。我々は、過去に開発したシーソーDNAゲートモチーフを用い、「勝者」選択過程に関わる協同的ハイブリダイゼーションを容易にする単純でロバストな構成要素を含むよう拡張した。この拡張型シーソーモチーフを用いると、DNAベースのニューラルネットワークが最大で9カテゴリーまでパターンを分類できることが示された。これらのパターンのそれぞれは、10 × 10パターンで100ビットを表す100個のDNA分子の組から選ばれた20個の異なるDNA分子で構成されており、この20個のDNA分子で「1」から「9」までの手書きの数字の1つがなぞられる。このネットワークは、トレーニング時に「覚えた」数字パターンに対して100ビットのうち最大で30ビット反転させたテストパターンを分類することに成功した。これは、分子回路が、記憶に類似したものを基盤として非常に複雑でノイズの多い情報を分類するというという高度なタスクをロバストに遂行できることを示唆している。
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まぁ、生物学に、この考え方は、新たな発見をしやすくなるかもしれません。ネイチャーの表紙になってカバーストーリーにまで取り上げられるのだから、よほどのことだとは思います。
 
もう一つ行きますか・・・。次は、撮像技術より、二次元材料のための高分解能電子顕微鏡法 です。
 

 

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