【打倒!パピーミル!!】福井新聞の報道から流れを見てみる:データ編その1 | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

科学オタクの主婦が危機感から一人でこねまくっております、危機管理シリーズ。災害における危機管理シリーズを続けたいところですが、命に係わるネグレクト問題を優先するとしました。

 

ネグレクトについて詳しく知りたい方は、「ネグレクトについて」をご覧ください。過去に取り上げた記事もリンクを貼り付けてあります。また、今まで取り上げた関連する記事を拝見したい方は「もしも、動物のネグレクトを見つけたら・・・(まとめ)」をご覧ください。パピーミル問題以外の一般的な問題についてのものは挙げられています。

 

今回は、福井のパピーミル問題について、福井新聞の記事を追って流れを見ていくためのデータ編です。量が多いことから、数回に分けていくことになります。今回はその第1回目です。まずは古い順から・・・。

 

----------------------------------------------------------
「子犬工場」400匹を過密飼育
坂井市内、業者を刑事告発へ
2018年3月1日 午前7時00分 福井新聞ONLINE

 犬や猫約400匹を過密状態で飼育、繁殖するなど動物虐待が疑われる施設が福井県坂井市内にあることが2月28日、公益社団法人日本動物福祉協会(JAWS、本部東京都)などへの取材で分かった。同協会は3月1日にも、動物愛護管理法違反(虐待)などの疑いで、運営する動物販売業者を福井県警に刑事告発する方針。商品を大量生産するように子犬を産ませる「パピーミル(子犬工場)」と称される施設は全国的に問題視されており、この業者の繁殖場も同様の方式とみられる。
 
 業者は、子犬や子猫を県内のペットショップなどで販売しているとみられる。
 
 犬猫を大量繁殖させ販売することは、責任感の十分でない飼い主を生みだしかねず、同協会などは飼育放棄や殺処分を防ぐため、適切に取り締まれる法改正を国に訴えている。
 
 同協会などによると、この業者は少なくとも2017年12月、坂井市の動物飼育施設で犬と猫合計385匹を飼育。狭いケージに入れたり、コンクリートブロックのマス内に50匹以上の過密状態で入れたりし、施設内には悪臭が漂っているという。1日1回しか餌をやらず、病気やけがの動物に適切な処置を行わないなど虐待の疑いが持たれている。
 
 このほか、犬を厚生労働省の省令に定める登録申請していない疑いや、狂犬病予防注射を受けさせていない狂犬病予防法違反の疑いもあると指摘している。
 
 同協会は県内の動物愛護グループなどから連絡を受けて状況を精査し、犬猫約400匹が劣悪な環境で飼育されていると判断した。刑事告発に合わせ、福井県や福井労働局などに対して指導監督申入書を提出する。飼育員の労働時間が労働基準法に抵触する可能性があるとして、福井労働局に調査と指導監督を求める。
 
 2017年12月時点で飼育員の人数は2人。「飼育員1人で20匹が限界」との見解を示す同協会は、2人で約400匹の適切な飼育は不可能で、動物愛護管理法違反に当たると指摘している。県には、多頭飼育崩壊した場合の対応策を検討しているか業者に確認するよう要請する。
 
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/299947
----------------------------------------------------------

 

上記より、「商品を大量生産するように子犬を産ませる「パピーミル(子犬工場)」と称される施設は全国的に問題視されており、この業者の繁殖場も同様の方式とみられる。」というところ、他社の報道では、同協会が「もっと酷いところもある」と指摘されています。

 

なので、気合い入れてやっていきます。調べてみると、福井新聞さんも気合い入れて、動物の虐待・ネグレクト問題に立ち向かって報道されていますので、調べていていて思わず微笑んでしまいましたが・・・終生あきらめずに立ち向かいます。

 

----------------------------------------------------------
すし詰め子犬工場、地獄の光景
マスやケージ所狭し、強烈悪臭
2018年3月1日 午前7時20分 福井新聞ONLINE

 人気のペット犬であるチワワや柴犬、ダックスフントが、繁殖のためにすし詰め状態で飼育されていた。一斉にほえだすと、けたたましい鳴き声が耳をつんざく。飼育員は無数の犬から1匹ずつ無造作につかむと、狭いケージに押し込み餌をやった。「まるで地獄」。福井県坂井市郊外で2017年12月、商品を大量生産するように子犬を産ませる「パピーミル(子犬工場)」に視察に入った県内の動物愛護グループは、あまりに悲惨な光景に目を覆った。
 
 数年前から「おびただしい数の犬の鳴き声がする」との情報が愛護グループに寄せられていた。経営者と従業員の間でトラブルが発生したと聞きつけ、愛護グループは2017年12月に2回、地元の県健康福祉センター職員とともに視察に入った。
 
 愛護グループによると県内の動物販売業者は、廃業した平屋建て宿泊施設を改装して“工場”として使用。▽メス部屋▽オス部屋▽妊娠した犬の部屋▽子犬部屋-などに分かれていた。一番多くの犬が飼育されているとみられるメス部屋に入ると、犬たちは一斉に目を見開いてほえ始めた。「強烈な悪臭が鼻を突いた」と話す。
 
 メス部屋には、コンクリートブロックを4段80センチほどの高さに積み上げた仕切りで囲われた約8平方メートルの「マス」が複数あった。1マスに最多で60匹ほどがひしめき合い、跳びはねながらほえ続けた。視察した愛護グループのメンバーは、その異様な光景を「まるで地獄。直視できる状況じゃなかった」と語る。床は網になっており、飼育員の女性に理由を聞くと「ホースで水をかけてふん尿を流し、一緒に犬の体にも水をかけて洗う」と説明したという。
 
 マスとマスの間や壁際には、スペースを惜しむように金属製のケージが3段重ねになっていた。1匹か2匹が入れられ、所狭しと跳びはねたり、くるくると回ったりしていた。皮膚病を患いマスから隔離されるように狭いケージに入れられたままの犬、白内障とみられる犬、前足を切断しながらも妊娠させられたチワワがいた。
 
 全部で400匹以上いるにもかかわらず飼育員は2人。「朝7時から深夜1時くらいまで、休みなしで世話している」と実情を説明した。餌と飲み水は1日1回。混乱を避けるためマスの周囲に積み上げたケージ内に1匹ずつ入れて与えているという。
 
 「あんなにたくさんの犬がいて、餌や水が行き届いているとは思えない」と愛護グループ。「飼育員は勤務状況から考えても切羽詰まっているのではないか。近い将来、運営できなくなる『ブリーダー崩壊』を引き起こす可能性が高い。そうなれば400匹の命はどうなるのか」と危惧している。
 
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/299947
---------------------------------------------------------

 

現場の状態を撮影された動画を福井新聞さんが提供されていますが、個々では取り上げていません。拝見されたい方は、記事元のURLを開いて、記事下の部分に動画があるのでご拝見ください。

 

---------------------------------------------------------
犬や猫虐待疑い、業者を刑事告発
日本動物福祉協会、福井県警に
2018年3月2日 午前7時10分 福井新聞ONLINE
 
 福井県内の動物販売業者が犬や猫を過密状態で飼育、繁殖するなどの虐待を行っているとして、公益社団法人日本動物福祉協会(JAWS、本部東京)は1日、動物愛護法違反(虐待)などの疑いで県警坂井西署に業者に対する刑事告発状を提出した。JAWS職員や弁護士が同署を訪れた。
 
 告発状などによると、この業者は少なくとも2017年12月、同県坂井市の動物飼育施設で、犬と猫合計385匹を狭いケージに入れたり、コンクリートブロックのマス内に50匹以上の過密状態で入れたりし、悪臭がするなどの劣悪な環境で飼育したとされる。
 
 病気やけがの動物に適切な処置を行わないなどの虐待を行った疑いもあるとしている。
 
 このほか犬を登録申請していない疑いや、狂犬病予防注射を受けさせていない狂犬病予防法違反の疑いもあると指摘している。
 
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/300499
----------------------------------------------------------

 

これが事実なら、何ともご立派なネグレクトですね。ここまでは、引用されている記事がネットで確認できたので、知っている方は多いと思います。さて、次です。

 

----------------------------------------------------------
子犬工場8回指導も依然250匹
当初は「違法状態」
2018年3月2日 午前7時20分 福井新聞ONLINE

 福井県坂井市の動物飼育施設で約400匹の犬や猫が過密状態で飼育、繁殖されていた問題で、公益社団法人日本動物福祉協会(JAWS、本部東京)は1日、改善に向け指導監督するよう県に申し入れた。県は昨年11月末から計8回指導し、飼育数が250匹まで減少、段階的に改善していると回答する一方で、指導に入った当初は「違法状態」にあったことを示唆。同協会は「さらに飼育数を減らすか、飼育員の数を増やす必要がある」とし、さらなる改善が必要との認識を示した。
 
 同協会などによると、施設を運営する業者は少なくとも昨年12月、犬と猫合計385匹を飼育。狭いケージに入れたり、コンクリートブロックのマス内に過密状態で入れるなど「パピーミル(子犬工場)」のような状態だった。
 
 同協会の職員や弁護士らが県庁の担当課を訪問。▽適正な飼育数までの削減もしくは適正飼育できる雇用人員の確保▽狂犬病予防法の順守-などを業者に指導監督するよう申し入れた。
 
 県は昨年11月末からの2カ月で計8回、動物愛護管理法に基づく立ち入り指導を行ったと説明。「成犬100匹を県外の業者に譲渡した」と業者から聞いたとし「改善に向かって動きだしており、不備がないか指導を続けていく」と述べた。
 
 「学術的に考えて飼育員1人で理想は20匹」とする協会側は、依然として250匹が飼育されている現状に問題があると指摘。県は「一時は飼育員1人で400匹だったが3人400匹、現在は3人で250匹と段階的に改善している」と答えた。
 
 狂犬病予防法に基づく登録義務については「注射は県外で受けていた。ただ指導当初は経営者が登録義務を認識しておらず違法状態だった。(指導後は)毎月20匹ずつ登録することになっており、現在40匹が登録された」と説明した。
 
 県によると、業者は犬猫を「手放さない」との考えを示している。一方で「200匹くらいまで減らし、今後繁殖は行わない」と話しているという。従業員の長時間勤務が指摘されている点に県は「遅くても午後9時ごろまでになっている」とした。
 
 昨年12月に施設を視察した県内動物愛護グループの1人は「まだ250匹もおり、犬にとって立っているのも苦痛な金網の上などで飼育されている。県外の業者に渡った100匹の行く末も心配」と危惧している。
 
----------------------------------------------------------

 

「成犬100匹を県外の業者に譲渡した」というのが真実ならば、ひょっとしたら、最近ペットショップで購入されたワンちゃんやにゃんこのパパやママがこの工場にいる子たちかもしれません。

 

それでなくても、過酷で悲惨な環境で、虐待やネグレクトを受けてきてる子たちです。そも子たちの両親はもっと酷い苦しみを味わっています。だから、せめて、虐待したりネグレクトをしたり育児放棄や遺棄をせずに、責任もって終生家族としてみてください。

 

知らなくてペットショップで購入したことについて、ご自身を責めることはしないでください。そのエネルギーを愛情に変えて飼っている子を終生可愛がって面倒をみてあげてください。

 

話がそれましたので、話を戻します。この事態について、杉本彩さんが動画を見てコメントしたものが報道されています。

 

----------------------------------------------------------
杉本彩さん、「子犬工場」に怒り
動物を「モノ」定義が問題の根源
2018年3月3日 午前7時20分 福井新聞ONLINE

 福井県坂井市の動物飼育施設で約400匹の犬や猫が過密状態で飼育、繁殖されていた問題が波紋を広げている。「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」理事長として愛護活動に熱心に取り組む女優杉本彩さんに、現場の動画を見てもらい、問題点や国内ペット事情を聞いた。
 
 ―福井にある「パピーミル(子犬工場)」状態の動物飼育施設の動画を見て。
 
 見るからにスペースと犬の数が合ってなく過密状態です。(激しく回り続ける行動など)大きなストレスがかかっていて、心身ともにかなり厳しい状態でネグレクト(必要な世話がされていない状態)だと思います。大量に子犬を生産し、流通に乗せるということ自体、人道的なビジネスではありません。こういう業者は許せません。
 
 ―県の指導で100匹以上が別の業者に譲渡され250匹になった。
 いくら100匹を譲渡しても、250匹を3人で飼育するとなると単純計算で1人83匹です。とても適正飼育できる数でないことは、誰が見ても分かるはずです。給餌、犬舎の清掃、1人で80匹以上の散歩をすることは到底不可能です。接触する時間が短いと体調の変化に気づくこともできません。
 
 また、冷たくて硬い金網のケージの中に閉じ込めたままの飼育状況も改善されたわけではありません。動物の自由が奪われたままの、福祉を無視している事実はまったく変わっていないと思います。
 
 ―大量生産が行われる理由や問題点は。
 
 動物愛護管理法自体が未成熟で、動物を命ある「モノ」として定義づけているのが、問題の根源だといつも感じます。
 
 とにかく小さくて、一番かわいい時期に、消費者に衝動買いを促すようなやり方で売られます。子犬や子猫が小さくてかわいく見える時期はあっという間です。その間の幼齢の子犬、子猫でショーケースを埋めるために、どれだけの犬猫が流通に乗らなくてはならないか想像してください。そのために大量生産されるのです。
 
 そして大量生産・大量流通・大量消費を促すビジネスには、余剰在庫、不良在庫はつきもの。命ある動物であってもモノと同じように廃棄処分という運命をたどるんです。
 
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/300939
----------------------------------------------------------

 

上記の記事については、動画を見た後で読まれると納得されると思いますので、別の機会に一緒に取り上げたものを取り上げます。

 

福井新聞さんの記事内の検索で、出てきたものものの1つが下記です。

 

----------------------------------------------------------

犬との出会い、産まれた環境を知る
迎える準備、飼い主の心構え大切
2018年3月5日 午前7時20分 福井新聞ONLINE

 飼い主と犬や猫との出会いはペットショップが圧倒的に多い。
 
 ペットフード協会(東京)によると2017年10月時点で、犬は約892万匹、猫は約952万6千匹が全国で飼育されていると推計される。犬は「ペットショップで購入」が47・1%と最も多く、次点の「業者のブリーダーから直接購入」16・7%の3倍近くに上る。猫は「野良猫を拾った」37・5%、「友人・知人からもらった」26・5%に次いで、「ペットショップで購入」が15・0%で3位となっている。
 
 ガラス張りのショーケースに子犬や子猫が並べられ、おもちゃで遊んだり、すやすやと昼寝したりする姿に、家族連れやカップルが「かわいいなあ」と目尻を下げる。
 
 そんな光景に警鐘を鳴らすのが、「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」理事長として熱心な活動をする女優の杉本彩さん。「動物を展示して販売するというビジネスの背景に、大量生産や大量消費、売れ残りの処分といった問題もあることを知っておいてほしい」と話す。不適切な現場で繁殖された犬や猫を飼うことは「悪気はなくても虐待に加担していることになる」と訴え、ショップでの購入に否定的な立場だ。
 
  ■  ■  ■
 
 福井県内在住の内藤健人さん(59)=仮名=は5歳の雄と2歳の雌のポメラニアンと暮らす。帰宅するとササッと2匹並んでお出迎え。お風呂のお湯がたまったことを知らせるタイマーがなると、内藤さんの足を2匹が前足でたたいて合図する。「お父さん、お湯が入ったよ」と言っているかのよう。2匹でケンカしたりじゃれ合ったり「ほほえましくて。熟年家族の話題の中心。この子たちのことで話が弾みます」と目尻を下げる。
 
 内藤さんは購入の際、業者を「両親犬に会える」「飼育場の見学ができる」という条件で探した。「ネットで探しまくった」結果、岩手県のブリーダーがその条件に応じてくれた。
 
 産まれてすぐ予約金を支払い名前を付ける。引き渡しは2~3カ月後。その間、両親や兄弟犬とともにのびのびと育ち社会性が育まれる。この業者からは家族構成や、昼間留守にするのかどうかなどを細かく聞かれた上「対面でしか渡さない」と言われ「逆に気に入った。信頼できるなと思った」と内藤さん。迎えに行ったときに兄弟犬とじゃれ合う姿を見て安心したという。
 
  ■  ■  ■
 
 内藤さんが業者選びに徹底的にこだわったのは、あるペットショップで「どう見てもポメじゃない子」がポメラニアンとして売られていたのがきっかけ。ネットで調べると交配管理がずさんな業者がいること、血統書がいいかげんな場合があることなどの情報が流れていた。パピーミル(子犬工場)のことも知り、対極にある「シリアスブリーダーを探した」。時間と労力を惜しまず、犬種の保存に努める業者たちだ。
 
 杉本彩さんは「どうしても犬種や猫種にこだわるなら、その犬種を愛し、守るために繁殖している優良なブリーダーから迎えてほしい」と話す。「時間をかけて飼いたい動物のことを調べ、知識を得て迎える準備をすることが大切」と飼い主の心構えにも注文をつけた。
 
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/301496
----------------------------------------------------------
 
福井新聞さん、直球に面食らっているようですね。短い時間ですが、ここ数か月の活動で把握している限り、上記の記事の内藤さんと杉本彩さんの見解は正しいです。
 
保護団体さんの元で抱えきれないほどの保護した子たちがいるのも少なくないですし、保健所やセンターの元で明日には命が消えるかもしれない子たちもたくさんいます。犬種や猫種にこだわりがないのなら、保護団体さんが開催する譲渡会や、保健所やセンターの死を待っている子たちを迎え入れてあげてください。
 
血統があっても、雑種であっても、いずれもその命は尊く、私たち人間がそうであると大昔から唱えられたように、生あるものとされる生物は皆尊いものです。人に感情があるように動物にも感情があります。
 
私は保護した子や迷い子を迎え入れていますが、実質、飼うことについては、血統つきであっても、ホームレスの雑種であっても、何一つ変わらないし、彼らから受けるものや得るものは大きいと思うのです。
 
----------------------------------------------------------
身勝手ペット殺処分、苦悩する獣医
県内10年で犬猫8748匹
2018年3月4日 午後4時00分 福井新聞ONLINE
 
 人と犬は1万5千年以上前からの「最良の友」だったとされ、猫もペットとして人気が高まっている。一方、虐待や殺処分といった負の側面も後を絶たない。福井県内で大量繁殖場「パピーミル(子犬・子猫工場)」状態とみられる施設の存在が明らかになった今、ペットとの共生を考える。
 
 殺処分のため、麻酔薬と筋弛緩剤が注射された犬や猫。体を支えている間にも力が抜けて、冷たくなっていく―。「何とも言えない感触が手に残っている。こういう思いはしたくない。動物はふびん」と話すのは福井県医薬食品・衛生課主任で獣医師の糸井泰永さん。「動物を助けたくて獣医師になったのに、死なせるのはやる方も精神的につらいですよ」と打ち明ける。
 
 収容1万3419匹、殺処分8748匹。2007年~16年度の10年間で、県内6カ所の健康福祉センターに収容され、殺処分された犬と猫の数だ。譲渡・返還され、命をつないだのは4647匹にとどまる。「動物に苦痛を強いる」と愛護団体の批判も多い二酸化炭素によるガス処分は、福井県では20年近く前から行われていないといい、すべて注射による殺処分だ。
 
 「引っ越しするから」「(動物が)病気になったから」「年をとったから」…。「本当に身勝手な理由が多かった」と糸井さんは振り返る。中には「小さいときは丸顔でかわいかったのに、大きくなったら鼻が伸びて、犬みたいになってきたから」と犬の引き取りを求めてきた人もいたという。
 
   ■  ■  ■
 
 ただ、16年度に県が収容したのは、犬157匹(捕獲65匹、引き取り92匹)、猫465匹(すべて引き取り)の計622匹。10年前に比べ3分の1に減少した。
 
 飼い主に返還されなかった収容動物のうち、犬は98・4%、猫は66・1%が譲渡された。この結果、殺処分されたのは07年度1476匹から、16年度は153匹と10分の1まで大幅に減少した。
 
 背景には、飼い猫を無計画に繁殖させて、センターに持ち込むことを繰り返す飼い主に避妊去勢を勧めたり、まずは本人が譲渡を呼び掛けるまで引き取りを拒否したりといった地道な指導がある。
 
 何より「飼い主の意識向上が大きい」と糸井さんは話す。「動物が家族の一員として、より身近になっているのではないか」。ペットがいなくなったときに警察や自治体に連絡することも定着してきたようだという。
 
■「命の教育」へ新施設
 
 今春オープンに向けて急ピッチで整備が進む福井市徳尾町の「ふくい動物管理指導センター(仮称)」。県は「人と動物が共生する福井」の実現を図る中核施設と位置付ける。
 
 新センターに収容動物の飼養管理を集約し、従来の健康福祉センターではできなかった長期間の収容を可能にする。また、不妊去勢やマイクロチップ挿入、基本的なしつけなどを施すことで、譲渡率向上を目指す。
 
 従来の動物愛護フェスティバルといった啓発イベントに加えて、「飼い方・しつけ方教室」といった飼い主教育、児童生徒に対する命の尊さを訴える教育などを展開していく計画。糸井さんは「正しい飼い方を伝えることで、不要な繁殖や捨てられる犬猫が減り、結果的に処分する犬猫がゼロになれば」と話す。
 
 センター整備を要望してきた県獣医師会の松澤重治会長は「動物の命の尊厳を守ることの大切さを県民に伝えられる施設になってくれれば」と期待している。
 
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/301382
----------------------------------------------------------
 
今回はここまで。次に続きます。
 
さて・・・。次に溜まりに溜まった恒例のネイチャーを取り上げます。
 
 
ペタしてね