細胞生物学: 停止したリボソームからペプチド鎖を遊離させる | Just One of Those Things

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昨日に引き続き、20号目のネイチャーのハイライトより。

 

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細胞生物学: 停止したリボソームからペプチド鎖を遊離させる
Nature 557, 7705
2018年5月17日   

真核生物では、タンパク質の合成と分解は厳密に調節されている。細胞は立ち往生したリボソーム(タンパク質合成が停止している)を認識すると、これらのリボソームを構成要素である40Sサブユニットと60Sサブユニットに解離させる。この60Sサブユニットの触媒中心にはtRNAに結合した新生ペプチド鎖が残っており、この新生ペプチド鎖は、60Sサブユニットが新しいリボソームで再利用される前にリボソーム品質管理複合体によって取り除かれなければならない。しかし、この新生鎖を分解するには、tRNAから切り離す必要がある。新生鎖の凝集を避けるにはこの段階が重要で、凝集が起こると酵母ではタンパク質毒性ストレスに、マウスでは神経変性につながることがある。R Deshaiesたちは今回、出芽酵母のVms1がペプチジルtRNAヒドロラーゼであることを明らかにしている。Vms1は、タンパク質合成の完了後にタンパク質をリボソームから遊離させる真核生物の終結因子1と同じように作用するものの、これらの2つの酵素は別のクレードに属している。

Letter p.446
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リボソームの品質管理経路について集中的な研究が行われているにもかかわらず、ユビキチン化された新生鎖が分解される前にtRNAが加水分解される仕組みは不明だったのもが、解明されました。
 
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細胞生物学:ペプチジルtRNAヒドロラーゼであるVms1とANKZF1が、停止したリボソームから新生鎖を遊離させる
Nature 557, 7705 |  Published: 2018年5月17日 |
 
リボソームの監視経路は、mRNAや新生ペプチド鎖の配列内にある構造エレメントのために、一時的に停止したり、完全に動けなくなってしまったりしたリボソームを走査している。出芽酵母のリボソーム停止の一部は、GTPアーゼであるHbs1により検出され、Hbs1には、アーキア-真核生物の終結因子1スーパーファミリーの一員で触媒活性を持たないDom34が結合している。Hbs1–Dom34とATPアーゼRli1は、停止したリボソームを40Sサブユニットと60Sサブユニットに解離させる。ただし60SサブユニットにはペプチジルtRNA新生鎖が結合したままで、これがRqc1–Rqc2–Ltn1–Cdc48–Ufd1–Npl4からなるリボソーム品質管理複合体を引き寄せる。E3ユビキチンリガーゼLtn1によってユビキチン化された新生ペプチド鎖は、ATPアーゼCdc48–Ufd1–Npl4によって60Sサブユニットから引き離され、26Sプロテアソームに受け渡されて分解される。この新生鎖の分解ができなくなると、タンパク質の凝集が起こり、酵母ではタンパク質毒性ストレスに、マウスでは神経の変性につながる。リボソームの品質管理経路について集中的な研究が行われているにもかかわらず、ユビキチン化された新生鎖が分解される前にtRNAが加水分解される仕組みは不明だった。今回我々は、Cdc48アダプターのVms1が、ペプチジルtRNAヒドロラーゼであることを明らかにする。古典的な真核生物の終結因子1と同様に、Vms1の活性は保存された触媒性グルタミンに依存している。進化的解析から、酵母のVms1は真核生物の終結因子1ホモログのクレードの最初の1つであることが分かり、我々はこれをVms1様終結因子1クレードと名付けた。
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論文の前文のほとんどが説明されている状態であるので、今回はリボソーム自体のものを参考に取り上げました。このようにして、名前が付けられていくので、ポストゲノム当時は覚えるのが大変でした(苦笑)。さすがに覚えきれないので、2004年に改定された放送大学のテキストを購入して読んで、頭の中を整理したものです。
 
さて、明日は21号めに入り、微生物学より細菌たんぱく質についてのものをとりあげます。
 
 
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