進化学: フィリピンにおけるヒト族の最古の証拠 | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、19号目のネイチャーのハイライトより。

 

----------------------------------------------------------
進化学: フィリピンにおけるヒト族の最古の証拠
Nature 557, 7704
2018年5月10日  

フィリピンでの古代ヒト族の活動は数十年来ささやかれてきたが、これまで、確実な年代測定が行われた唯一の証拠は6万7000年前の足の骨1つのみだった。今回、ルソン島北部で行われた発掘調査で、解体の痕跡が認められるサイ類の骨格と、それに関連する石器が多数発見され、それらの確実な年代が約70万年前と推定された。今回の知見は、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)が出現するはるか以前にホモ・エレクトス(Homo erectus)などの古代ヒト族がフィリピンまで到達していたか、もしくはさらに古い先住的ヒト族が島嶼部東南アジアに存在したことを示唆している。

Letter p.233
----------------------------------------------------------
 
今までヒト族の進化学は取り上げてきませんでしたが、ヒトゲノム解読プロジェクトが完成して以降、科学技術も発展しているので、進化学も10年前から比べれば、かなり進んでいます。
 
----------------------------------------------------------
進化学:70万9000年前以前にさかのぼるフィリピンの既知で最古のヒト族活動記録
Nature 557, 7704 |  Published: 2018年5月10日 |

60年以上前、フローレス島、スラウェシ島、ルソン島といった東南アジアの島々で石器および大型動物相の遺骸が発見され、これによって当時、ホモ・エレクトス(Homo erectus)がこれらの島々に定住したのは中期更新世であると提唱された。しかし、2003年にフローレス原人(Homo floresiensis)が発見されるまで、ウォーレシアの島々に古代ヒト族が存在したとする主張は、層序学的状況が明らかな地層からのin situ化石や石器が発見されておらず、そうした遺跡の確実な数値的年代測定法が存在していなかったため、仮説にすぎなかった。結果として、これらの主張には概して懐疑の目が向けられていた。本論文で我々は、フィリピン・ルソン島北部にあるカガヤンバレーのカリンガで最近行われた発掘調査の結果を報告する。この調査では57点の石器が出土し、これらはサイ科の絶滅種Rhinoceros philippinensisの関節が分離したほぼ完全な骨格(明らかな解体の痕跡がある)と関連していた他、ステゴドン、フィリピンジカ、淡水ガメ、オオトカゲなどに属すると見られる化石動物相の遺骸も共に発見された。これら全てが発掘された粘土に富む骨層は、電子スピン共鳴法を歯のエナメル質および河成石英に対して用いることで、年代が77万7000~63万1000年前と推定された。この証拠によって、フィリピンにおけるヒト族定住の確実な時期が数十万年さかのぼり、さらには、島嶼部東南アジアでの現生人類以前のヒト族の初期の海外分散が、前期更新世および中期更新世に複数回起きていたことが示唆された。従って、フィリピンは、更新世の大型動物相のみならず古代ヒト族のウォーレシアへの南方移動において中心的な役割を担った可能性がある。
----------------------------------------------------------

 

進化学は生物学の中でも、論争が激しい分野にあたります。まぁ、見つかってよかったですね。今回、ネイチャーのハイライトに取り上げられていたので取り上げました。

 

さて、明日は、肝細胞についての論文を取り上げます。

 

 

ペタしてね