素粒子物理学: 本格化する反物質の分光測定 | Just One of Those Things

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昨日に引き続き、18号目のネイチャーのハイライトより。

 

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素粒子物理学: 本格化する反物質の分光測定
Nature 557, 7703
2018年5月3日 


電荷–パリティ対称性や電荷–パリティ–時間対称性などの基本的な対称性の検証においては、水素の反物質である反水素の研究とその特性の精査が最も重要である。2017年、CERNのALPHAコラボレーションは、レーザーに誘起される反水素の1S–2S遷移の実験的観測を報告した。ALPHAコラボレーションの研究者たちは今回、この遷移の1つの超微細構造成分の詳細な特性評価を提示している。彼らは、2か月にわたり合計約1万5000個の反原子を用いてデータ収集を行い、対象となる反水素の遷移で測定された共鳴周波数が、水素において予測される周波数と2兆分の1の精度で一致することを示した。これは、今までで最も精密な反物質の分光学的特性評価であり、反原子の分光測定法が確立されたツールであることを実証している。


Letter p.71
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まずは参考文献です。

パリティ (物理学) - Wikipedia

 

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素粒子物理学:反水素の1S–2S遷移の特性評価

Nature 557, 7703 |  Published:  2018年5月3日  |


ディラックは1928年に、量子力学と特殊相対性理論を組み合わせた方程式を発表した。この方程式の負のエネルギー解は、当初考えられたように非物理的なものではなく、それまで観測も想像もされていなかった粒子、つまり反物質を表していた。反物質粒子の存在は、1932年のアンダーソンによる陽電子(つまり反電子)の発見によって確認されたが、反物質ではなく物質がビッグバンの後に残ったのはなぜなのかはまだ分かっていない。そのため、電荷–パリティ対称性や電荷–パリティ–時間対称性などの基本的な対称性の検証を含む反物質の実験的研究や、反ヘリウム原子核などの始原的な反物質の証拠の探索は、現代物理学の研究において最重要課題となっている。宇宙の進化や、量子物理学に対する我々の理解の歴史的進展において、水素原子は基本的な役割を果たしているため、その反物質である反水素原子は特に興味深い研究対象である。現在の標準モデルの物理学では、水素と反水素のエネルギー準位とスペクトル線は同じでなければならない。最近、反水素においてレーザーによって誘起される1S–2S遷移が観測された。本論文では、この遷移の超微細構造成分の1つを、磁気的にトラップされた反水素原子を用いて特性評価し、我々の装置中の水素で行ったモデル計算と比較した。その結果、スペクトル線の形状は水素に対して予測されるスペクトル線の形状と非常によく一致し、共鳴周波数は2.5 × 10^15 Hz中約5 kHzまで水素の共鳴周波数と一致することが見いだされた。これは、前回の測定よりも2桁精度の高い2 × 10^−12の相対精度で電荷–パリティ–時間不変性と一致し、2 × 10^−20 GeVの絶対エネルギー感度に相当する。

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論文の前置きの説明、長いですねぇ(笑)これ、原文の直訳です。でも、わかりやすいかと思います。ディラックの本も過去に買って読みましたよ・・・。物理学者の知り合いがいないので学会の論文も読めませんから、現在の物理学がどのように変貌しているのか、詳しくはわかりません。勿論、ネイチャーの物理学の論文雑誌があるのですが、買えるわけもなく・・・。ネイチャーを読んで、ああそうなんだと表面(ある一面)だけしか見ることが出来ません(苦笑)。

 

過去にネイチャーでアインシュタインの相対論は科学的に証明されたことを大々的に報道して祝っておりましたので、今は量子物理学の証明に挑んでいる最中でございます。宇宙の話を持ち出されれば、ホーキング博士がもういないことが寂しゅうございますが、断念されている超弦理論の実証の挑戦をする研究者が出てくれば、また盛り上がるかとw

M理論でも盛り上がるかと思われます。ブレーンワールド(膜宇宙、braneworld)またはブレーン宇宙論(brane cosmology)と言われるものもありましたねぇ、あぁ、ホーキング博士が懐かしい。

 

明日は、超分子化学を取り上げます。

 

 

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