脳炎ウイルスで10人死亡=病院に受診者殺到―インド南部 | Just One of Those Things

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インド南部に渡航する人は、そういないと思いますが、とりあえず取り上げます。

 

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脳炎ウイルスで10人死亡=病院に受診者殺到―インド南部

5/22(火) 16:42配信 時事通信


 【ニューデリー時事】インド南部ケララ州で、発熱や頭痛、めまいなど急性脳炎の症状を引き起こすニパウイルスに感染し10人が死亡したことが22日、明らかになった。

 

  地元主要紙は、ほかにも感染した疑いがある死者が出ており、発熱などの症状が表れた患者数百人が病院に殺到していると報じた。

 

  州衛生当局者は取材に対し、「州北部に住む家族5人が死亡した。このうち1人が家の敷地にある古い井戸を掃除していて、感染源とみられるコウモリと接触した」と説明。地元紙によると、家族の治療に当たった看護師らも死亡した。州当局は感染拡大を防ぐため、死者との接触があった90人以上を隔離したという。

 

  ケララ州では、発熱などを訴える患者の受け入れを拒否する私立病院も出始め、ビジャヤン州首相は「事態は収拾に向かっている。パニックを起こさないように」と平静を呼び掛けた。州を管轄する在チェンナイ日本総領事館によると、日本人から症状に関する問い合わせはない。

 

  ニパウイルスは豚やコウモリから人への感染例が知られている。1998年にマレーシアで初めて確認され、インド国内でも2001年に感染の報告がある。 
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 日本には存在しない輸入感染症ですが、発症すると重い脳炎を起こします。1998〜99年にかけてマレーシアで流行し、265名の患者が発生して105名が死亡しました。この流行は豚での流行がヒトへの感染源になったことが明らかになっています。この時にはシンガポールでも流行し、11名の患者が発生しました。


 その後、インド、バングラデシュでも流行していて、これまでの患者総数は475名で251名が死亡しています。バングラデシュでは、これまでに9回も流行していて、オオコウモリの唾液や尿中に含まれるニパウイルスに汚染した果物からの感染が疑われています。また、患者からの二次感染による患者発生が半数を占めています。


 ニパウイルスは、パラミクソウイルス科へニパウイルス属に分類されるウイルスで、オオコウモリ(ジャワオオコウモリ、ヒメオオコウモリ、コイヌガフルーツオオコウモリ、ヨアケコウモリ、インドオオコウモリなど)がウイルスを保有しています。


 類縁のコウモリがオーストラリア、中国、カンボジア、インドネシア、マダガスカル、パプアニューギニア、タイ、ティモール等に分布していて、実際にウイルスを保有していることもわかっています。「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)では4類感染症に分類されます。


 4〜18日の潜伏期間ののち、発熱、頭痛、筋肉痛などのインフルエンザ様症状で始まり、次いで脳炎症状(眠気、失見当識、けいれん)が現れ、1〜2日で昏睡に陥ります。発症した場合の致死率は50%程度です。感染しても発症しない不顕性感染も多いと考えられています。

 

 臨床症状だけではほかのウイルス性脳炎と区別できません。実験室検査により診断できます。

 

 ウイルスに対する特効薬がないため、対症療法によります。リバビリンが実験的には有効ですが、臨床での治療効果に関しては未知です。

 

 発症すると重い脳炎を起こしますが、ニパ脳炎が疑われるのは流行地への渡航歴がある場合です。マレーシアでの流行ではブタからの感染が明らかですが、バングラデシュでの流行は感染動物の組織や体液、血液との接触によると考えられています。

 

詳細は下記にて。

ニパウイルス感染症とは - 国立感染症研究所

 

次に恒例のネイチャーを定時に取り上げます。

 

 

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