ゲノミクス: パン酵母のゲノム進化 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、16号目のネイチャーのハイライトより。

 

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ゲノミクス: パン酵母のゲノム進化
Nature 556, 7701
2018年4月19日 


パン酵母として知られる出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、生物学研究における古典的なモデル生物である。P Winckerたちは今回、生態学的起源および地理的起源が多様になるように採取した出芽酵母の1011の天然分離株について、ゲノム塩基配列解読、de novoアセンブリー、表現型解析を行った結果について報告している。個体群構造の解析から、出芽酵母が単一の「出中国」起源を持ち、その後数回の独立した栽培化事象を経たことが裏付けられた。また、出芽酵母のパンゲノム(種として保有する全遺伝子)の構築に加え、個体群全体にわたる遺伝的多様性、進化、選択の特徴も明らかになった。さらに著者たちは、今回の集団ゲノミクス情報資源を用いて形質の遺伝率や関連を検討することで、この情報資源の有用性を実証し、出芽酵母における今後のゲノム規模の関連研究の基盤を提供している。


Article p.339
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ネイチャーに論文を載せるだけでも大変な状態の中、パン酵母のゲノムでハイライトに載るとは、世界情勢は緊迫している世の中と言うのに、科学の世界は平和的で実にいいですね。^^

 

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ゲノミクス:出芽酵母の1011の分離株におけるゲノム進化

Nature 556, 7701 |  Published:  2018年4月19日  |


集団ゲノミクスの大規模研究は、自然個体群の表現型多様性を調べるのに不可欠である。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の1011の分離株について、全ゲノム塩基配列解読および表現型解析を行った結果を報告する。これらの結果を総合することで、この酵母の表現型において種規模の全体像を形作るゲノムバリアントの正確な進化的描像が得られた。ゲノム解析から、この種が単一の「出中国」起源を持ち、その後数回の独立した栽培化事象を経たことが裏付けられた。栽培化を経験した分離株は、倍数性、異数性、ゲノム量に高い多様性が見られるが、野生分離株におけるゲノム進化は主に一塩基多型の蓄積によって駆動されていた。共通して見られる特徴はヘテロ接合性の広範な消失であり、これが、主として無性なこの種における個体間多様性の不可欠な供給源になっている。実験的に特定された機能的多型を含む一塩基多型の大半は、非常に低い頻度で存在していた。ゲノム規模の関連によって特定されたバリアントで最も数が多かったのはコピー数変化であり、これは一塩基多型よりも大きな表現型効果を有していた。今回の情報資源は、この古典的なモデル系における今後の集団ゲノミクスおよび遺伝子型–表現型研究の指針となるだろう。

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更に広げるなら、”ぬか漬け”の”ぬか”のゲノムを調べるのが効果的かと思われます。(国内では一番古い)福岡県の一番古いぬか漬けには、新種の株があると、世界で登録されていますので、いかがでしょうか? んー、なんて平和的なんでしょうw

 

まぁ、本日の日記には硬く重たい内容を書いていますので、息抜きになるかもしれません。^^

 

今日は、難しい話はやめて起きましょう、と、考えていますが、ご要望があれば、追記します。

 

ちなみに、”単一の「出中国」起源”についてのデータを探しましたが、見つかりませんでした^^; なので、Full Text をつけます。

 

https://www.nature.com/articles/s41586-018-0030-5

 

明日は、コンピューティング、通信、センシング、画像化の技術に関する、工学の論文を取り上げます。

 

 

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