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昨日の朝に朝日新聞で取り上げられていたものです。

 

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iPS備蓄計画、山中伸弥所長に聞く 日本人の5割カバーは2、3年後

2017年12月6日05時00分 朝日新聞デジタル
 
 多くの人と免疫の型が合う再生医療用のiPS細胞を製造、備蓄する京都大iPS細胞研究所(CiRA)のストック計画で、2~3年後には50%超の日本人に使える種類が準備できる見通しになった。山中伸弥所長が5日、朝日新聞のインタビューで明らかにした。


 今後、日本人の80~90%に使えることを目指す一方、状況次第では見直しの可能性も示唆した。

 

 ストック計画は、再生医療の実現に向けて国が10年で1100億円投じる事業(2013~22年度)の基盤事業。計画の今後について、月内に開かれる見通しの文部科学省の作業部会で山中所長も出席して議論する。

 

 iPS細胞を患者一人ひとりからつくると、培養や品質検査に時間と費用がかかる。ストック計画では、検査済みのiPS細胞を増やして研究機関や企業に配り、様々な組織の細胞に変えて移植に使ってもらう。

 

 他人の細胞を移植すると免疫による拒絶反応が起きる。計画では、原料となる血液の細胞を、免疫の型が他人とよく合う人に提供してもらい、患者と型を合わせられるようにする。

 

 こうした型を持つ人はまれで、今年度までに「日本人の30~50%」、来年度からの5年で最終的に「日本人の大半」と型が合わせられる種類の準備が目標。今年度末までに3種類を準備でき、約30%をカバーできる予定だという。

 

 山中所長は「50~60%カバーできる約20人の提供者を見つけているが、iPS細胞をつくるのが遅れている。製造完了は2~3年後になる」と述べた。


 ■提供者探し、想像以上に大変

 

 山中所長らがヒトからの作製に成功したと発表して10年。「10年前は世界で誰もやったことがなく、雲をつかむような話だったが、5年で何が課題か極めてはっきりした」。山中所長はインタビューでこう語った。

 

 拒絶反応が起きにくいタイプのiPS細胞をすぐに提供することを目指すストック計画。重要なのが「細胞の血液型」とも言われる「HLA」というたんぱく質の型だ。数万種類あるHLAの組み合わせで決まる。通常は1人が父親と母親から受け継ぐ二つの型を持つ。簡単には一致しないが、まれに二つの型が同じで一定数の他人に拒絶されにくい人がいる。そういった人に提供してもらった血液からiPS細胞を備蓄する。

 

 CiRAは日本赤十字社と協力し、日本骨髄バンクに登録する人の中から、拒絶されにくい型を持つ人を探すなどして、50%をカバーする約20人の提供者を確保した。「日本人の2人に1人と合わせられるようになるのは、医療現場にとって非常に大切」と山中所長は強調した。

 

 だが今後、提供者探しはだんだん難しくなる。2015年にできた1種類目は、最も多い型を持つ日本人をカバーでき、日本人の17%に有用だ。この提供者は約150人に1人の割合で見つかる。次に多い型が2種類目で、カバーできるのは7%。3種類目以降も割合はどんどん低くなり、合計で目標の約80%になる75種類目は、0・2%しかカバーできない。しかも提供者は数十万人に1人しかいない。山中所長も「今後は想像以上に提供者を見つけることが大変だと分かってきた」と話す。


 ■承認・特許問題、克服しないと

 

 治療に使うため、厚生労働省の承認を得ようとする際、安全性を示すデータがどこまで必要かという前例もない。例えば数十種類のHLA型のiPS細胞から数十種類の目の細胞ができたとき、すべての細胞で動物実験などをして確かめると多額の費用と時間がかかる。

 

 また、iPS細胞をつくる方法に関する特許は、CiRAが全てを持っているわけではなく、別の企業が持つ特許にからむ可能性もある。ストックの細胞を使った再生医療が実現すると、特許使用料が発生するかもしれないが、条件はまだはっきりしていない。

 

 こうした点も山中所長は課題に挙げ、「克服しないと今までやってきたことが全部無駄になってしまう」と懸念を示した。

 

 現在、iPS細胞を使った治療は、理研チームが患者に試したことがあるだけで、有効性や安全性は十分証明されていない。iPS細胞を使う再生医療製品ができても、普及するにはすでに出回っている治療法を、価格面や治療成績で上回る必要がある。

 

 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の松山晃文センター長は「iPS細胞の研究は、日本が世界を牽引(けんいん)する数少ない領域だが、医療応用に向けた国際競争が激しい。まずは、iPS細胞ストックによって、多くの患者が安価で安全な医療を受けられることを実証してほしい」と語る。(阿部彰芳、合田禄、西川迅)


 ◆キーワード

 <iPS細胞> 血液や皮膚の細胞からつくることができる万能細胞。無限に増やせ、体の様々な細胞になれる。人の組織に変えて移植する「再生医療」のほか、これを使って薬の候補を探し出す「創薬」への応用が期待されている。ストック計画のiPS細胞を目の細胞に変えて網膜の病気を治療する臨床研究を今年、理化学研究所などが始めたほか、神経の細胞に変えて脊髄(せきずい)損傷の患者を治療したり、心臓の筋肉の細胞に変えて重い心不全の患者の手術に使ったりするための準備が進む。

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提供適応者になるかどうかはわかりませんが、適応者とわかれば、惜しみなく提供しようと考えているところです。

 

山中教授、がんばです。

 

 

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