がん「動く」仕組み解明 | Just One of Those Things

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転移抑制への応用や転移予防に期待されています。


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がん「動く」仕組み解明 転移抑制への応用期待 神戸大教授ら
神戸新聞NEXT 5月5日(火)7時30分配信


 神戸大学バイオシグナル研究センター(神戸市灘区)は、生物の体内で細胞が動くのに、細胞膜の張り具合(張力)が重要な役割を果たしていることを明らかにし、張力センサーとなるタンパク質を初めて発見した。がん細胞の転移にもかかわるメカニズムといい、英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー電子版に4日発表した。(武藤邦生)


 細胞生物学を専門とする同センターの伊藤俊樹教授、辻田和也助教らによる成果。


 体を構成する細胞は通常、適切な場所に存在するよう、運動が制御されている。しかしがん細胞では運動が過剰になり、転移が起こるとされる。


 運動が活発化するメカニズムを調べるため、伊藤教授らはサルやヒトのがん細胞を使って実験。細胞膜に存在する「FBP17」というタンパク質が、正常の細胞に比べて張りが弱いことを感知すると、運動の原動力となる分子を片側に集中させていた。それによって細胞が特定の方向への推進力を得ることが分かった。


 正常な細胞には十分な張りがある一方、がん細胞は張りがやや弱まった状態と考えられるという。FBP17の働きを抑制するなど、新たながん治療に応用できる可能性もあるといい、伊藤教授は「張力と細胞のがん化の関係を明らかにしていきたい」と話す。

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このネイチャー・セル・バイオロジーとは、Nature誌の姉妹誌で、メール受信設定していれば、定期的に論文のニュースが届きます。


詳細は英文ですが下記で見ることが出来ます。


Feedback regulation between plasma membrane tension and membrane-bending proteins organizes cell polarity during leading edge formation(英語)Nature Cell Biology(2015年5月4日)
http://www.nature.com/ncb/journal/vaop/ncurrent/full/ncb3162.html


毎日新聞では、下記の用に報道されています。


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<がん細胞>動き制御のたんぱく質 転移予防に期待 神戸大
毎日新聞 5月5日(火)10時55分配信


 がんの培養細胞を使った実験で、細胞膜の膨らむ力(膜張力)を感知するたんぱく質が、がん化した細胞の動きを制御していることを神戸大自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センターの伊藤俊樹教授(細胞生物学)らの研究グループが突き止めた。がんの早期発見や転移の予防への応用が期待されるという。英科学誌「ネイチャーセルバイオロジー」の電子版に5日、掲載された。


 実験では、膜張力の弱いがん細胞内では、膜を曲げる性質のあるたんぱく質「FBP17」が活発に膜を細胞内に引き込むなどして膜を伸縮させ、細胞の動き出す方向を決めていることが分かった。


 既に細胞の動きに膜張力が関わっていることは判明していたが、分子レベルで細胞の動く仕組みが解明されたのは初めて。伊藤教授は「細胞が動くにはFBP17が不可欠。安定した正常な細胞とがん細胞では、膜張力に違いがあることも強く推定される」と話す。研究が進めば、膜張力の強弱でがんを早く見つけたり、細胞の動きを抑えて転移を防げたりする可能性があるという。【松本杏】

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これまでは「細胞のDNAがなぜ傷つくのか」といったがん細胞発生のメカニズムや、 「なぜ無尽蔵に分裂をするのか」という増殖方法についての議論がほとんどでした。


動きと分裂の関係性まで解明されると、 治療(主に分子標的薬などの薬)の新たな要素になるのではと期待しています。


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