希少種指定 悩める現場の事情 | Just One of Those Things

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なかなか難しい問題に直面しているようです。


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外来種の急増、悪質業者による乱獲…希少種「300種追加指定」の難しい現場
産経新聞 4月29日(水)15時35分配信


 環境省が平成32年までに、捕獲や譲渡が禁じられる国内希少野生動植物種(希少種)として300種を追加指定する。現時点で指定されているのはヤンバルクイナやイヌワシなど89種だが、あと5年で現在の4倍以上に増えることになる。地球温暖化による環境破壊など、地球は大きな問題を抱えている。国内の自然界では今、何が起きているのか。壮大な目標の背景には、希少種指定をめぐるさまざまな事情があるようだ。



 ■指定は年間50種に急増


 「希少種を指定するのも大変なんですよ」


 環境省の担当者は、こんな本音を漏らした。これまで指定してきたのは89種で、年間では多くても3種程度。中には指定をしていない年もあるという。それが、今後は毎年、50種ほども指定を進めていくことになる。


 そもそも希少種とは、絶滅の恐れのある3597の野生生物種を掲載した「レッドリスト」のうち、近い将来に絶滅の危険性が高いものや外来生物などを駆除しない限り野生での存続が困難な「絶滅危惧I類」に属するものの中で、絶滅の恐れが極めて高いとして環境省が指定した野生の動植物のことをいう。平成5年に施行された希少種保護のための法律「種の保存法」のもとに指定する。


 それほどまでに指定を急ぐ理由として、温暖化や物流の国際化が進んだことにより外来生物の生息域が拡大したり山間部の乱開発が各地で行われたりしたことにより、もともとそこにいた固有種が急激に減ったことが挙げられる。


 そうした背景から、希少種の追加指定を求める動きは国会でも起こっていた。26年4月から省内に新たに希少種の保全を担当する「推進室」が立ち上がり、26年度には希少種の調査やデータ管理などに約1億円の予算がついたほどだ。だが、新たな組織ができたとはいえ、指定がとんとん拍子に進むかといえば、どうもそうではないらしい。


 環境省の調べでは、今や日本の野生動植物の約3割が絶滅に向かう可能性が高いという。ただ、絶滅危惧種はその保護が法律で決められているわけではなく、保護の対象として定めるには希少種指定が必要になる。


 「それほど絶滅危惧種が多いのなら、すべて指定してしまえばいいのでは?」


 そんな疑問をぶつけたら、担当者から苦笑とも失笑ともとれる反応が返ってきた。それが冒頭の言葉だ。



 ■動植物と人間の共存前提


 すべてを希少種に指定できるなら話は早い。だが、そうすることで少なからず弊害も生じる。影響を受ける代表格が「農家」だという。自然界に生息する野生動植物が希少種に指定されると、意図的な捕獲や譲渡はもちろん、生息地が保護区として指定されることもあるため、農業も規制の対象となる。


 保護区はすでに、全国で9地区(885ヘクタール)が指定されている。保護区指定が加速度的に進めば、農家はそれまでのように自由に農業を行うことができなくなってしまう。


 「環境保護団体や野生生物に関心の高い人からは『希少種の指定を急いでくれ』という声もあるが、それぞれの立場で生活があり、すべてを希少種に指定することは難しい。生息する個体数や地域の人たちの生活への影響などをきちんと調べ、バランスを見ながら指定しないといけないんです」


 担当者は、一気に指定を進められない理由をこう説明した。やはり、自然の動植物と人間との共存が前提で、この見極めが大事なようだ。



 ■外来生物の急増も背景に


 環境省は3月、政府が世界自然遺産登録を目指している「奄美・琉球」(鹿児島、沖縄)に分布するトカゲモドキ属の5種と植物6種をはじめ、小笠原諸島(東京)に分布する固有種のカミキリやタマムシなどの昆虫類16種、陸産貝類14種の動植物計41種を希少種に指定した。同省によると、原始的なヤモリの仲間であるトカゲモドキは、手足に吸盤がなく地上で生活するという特徴がある。外来種のマングースが捕食したり、ペットにしたりするための違法採取が問題となっていた。


 小笠原諸島などは、「ダーウィンの進化論」で知られる東太平洋上の赤道下にあるガラパゴス諸島のように本土にはいない、まさに希少種が存在する。だが、近年は温暖化による環境の変化などによって、駆除の対象となる外来生物の生息域が急速に広がり、その個体数が減っていた。


 環境省は今後、国内で絶滅危惧種の半数を占める植物を中心に指定を進めていくという。



 ■池の水吸い取るケースも


 法律で希少種と定められると保護のための予算が措置されるため、環境省は指定した保護区に電気線を張り巡らすなどして、敵となる外来生物の侵入を防いでいる。ただ、こうした保護対策には税金が投じられており、離島などではさらにその経費が膨らむため、どこまで費用をかけるかが難しいところだという。


 希少種に指定してしまえば法律で取り締まることができるようになるのだが、実はそれまでが大変という。


 「希少種指定は情報の管理に、特に神経を使うんです」と担当者は強調する。希少種の指定前に情報が漏れると、捕獲して高値で売ろうとする業者などが訪れ、乱獲や密漁により、一気に個体数が減ってしまうケースもあるからだ。実際に、希少種が海外のインターネットサイトで売られていたり、希少種のいる池の水をバキュームカーで吸い取っていったこともあったりしたという。


 ひと言で「希少種保護」といっても、その裏にはさまざまな問題が複雑に絡み合っている。

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様々な問題が複雑に絡み合っているのはエネルギー問題も同じことが言えます。


今回の問題といい、まぁ・・・、難解な問題ですね。


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