『吉祥天 』より。
吉祥天は、財宝などを授け幸福をつかさどる女神です。
のちに美女の代名詞にもなりました。
毘沙門天の脇侍として造られることもあります。
インドの神話の女神ラクシュミーに由来する吉祥天は、美と幸福・繁盛の女神とされ、美しい天女の姿として表現されてきました。
宝冠をかぶった福々しい顔で、美しい宝飾品や優雅な衣服を身にまとい、唐時代の貴婦人のような姿をしているのが一般的です。
多くは左手で宝珠を捧げ、右手は与願印を示します。
像形は天女形で、印相は施無畏印・与願印・宝珠や蓮華を持ちます。
構成は単独像が多く、毘沙門天の左脇侍として造られることもあります。
特徴は唐風の貴婦人の衣装を身に着けています。
毘沙門天(ヴィシュヌ神)の妃とされ、一対で造像されている例(法隆寺金堂)もあります。
また、「毘沙門天」の脇侍として、「善膩師童子(ぜんにしどうじ)」とともに、毘沙門天三尊像を構成することもあります。
胎蔵界曼荼羅では、千手観音の脇侍となります。
吉祥天への信仰は、奈良時代以降盛んになり、「吉祥悔過会(けかえ)」という法要が国家的な行事として行われるようになりました。
吉祥天を本尊として、国家鎮護、五穀豊穣を祈るものです。