阿子島香 編『北の原始時代(東北の古代史①)』(吉川弘文館 2015年)読了。
東北の古代史シリーズ第1弾。
古代史、特に原始時代ともなるとこれまでなかなか興味を持てず手を付けてこなかったのだが、東北の歴史を学び直すにあたっては、原始時代も押さえておかなければならないだろう。
原始時代の何が手を出しにくい原因なのか。
1つには、政治史と言えるものがほとんど出てこない、ということが挙げられるのではないだろうか。
歴史は、どんな人物がどのようなことをした、というような、特定の人物を中心とした物語があってこそ覚えやすいし、興味を持つものと思うが、原始時代にはそれがない。
なのでどうしても頭に入ってきづらいところがある。
本書を読んでみて、その点は改めて実感した。
だからといって面白くないか、というとそんなことはない。
東北の地に遥か昔に住んでいた人々がどのようなものを食べ、どんな家に住み、どんな道具を使い、どのような暮らしをしていたのか、そして当時の東北の自然環境などはどうだったのか、といったことを知ることは、その後現在に至るまでの東北人の気質・性格といった特徴を知る上で非常に重要であると思う。
自分達の遠い先祖はどのような人達だったのか、長い年月で培われてきた東北人としての性格が、現在の自分達の思考や行動にどんな影響を与えているのか、ということは実に興味深く、歴史を勉強するときにもとても参考になることだろう。
自分の住んでいるところの歴史を知ることは大事、と改めて思わせてくれた1冊。