渡部由輝『東北人初の陸軍大将 大島久直』(芙蓉書房出版 2019年)読了。
まだまだ地元のことは知らないことが多い。
本書の主人公・大島久直のことも全く知らなかった。
秋田県は、それほど人材を輩出している県であるとはお世辞にも言い難く、首相ですらたったの1人である上、その道ではすごい人でも全国的な知名度が全然なかったりする。
そんな中で、東北人初の陸軍大将となった大島久直とはどのような人物なのか。
地元出身の人物という点と軍事という点から興味があり、読んでみた。
大島久直の事績は勿論、明治の四大戦争(戊辰、西南、日清、日露)についてもおさらいできる。
久直が、桂太郎とは戊辰戦争以来、山県有朋や児玉源太郎とは西南戦争以来、また乃木希典とも親しい間柄であったというので、それは興味深かった。
さて、明治39年2月に久直は陸軍大将に昇進するが、その当時の陸軍大将は21名。
薩長で17人と大半を占めるが、残り4名のうちの1人が久直だ(残りは奥保鞏と小川又次(ともに福岡)、立見尚文(三重))。
これら錚々たる顔触れの中に秋田出身の将軍がいる、というのは何か誇らしいものがある。
久直について他の本での評価は、上で触れたように長州の大物と親しかったこともあり「軍才は申し分ないが、長州閥に媚びて出世した」とされているようだが、本書を見ると決して「長州閥に媚びて出世」したのではなく、実力を評価されたのだということが分かる。
もっと、地元の人にもこんな人がいた、ということが知られればいいな、と思った1冊。
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