●藤崎翔 『神様の裏の顔』角川書店 | 新・駅から駅までウォーキング

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藤崎翔 『神様の裏の顔』
          角川書店 2014.9.30発行
 



神様の裏の顔/KADOKAWA/角川書店
¥1,620
Amazon.co.jp





★本の内容(Amazon.co.jpより)


神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝
去した。
その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した―
と思いきや、年齢も職業も多様な参列者たち
が彼を思い返すうち、とんでもない犯罪者で
あった疑惑が持ち上がり…。
聖職者か、それとも稀代の犯罪者か―驚愕の
ラストを誰かと共有したくなる、読後感強烈
ミステリ!!


第34回横溝正史ミステリ大賞受賞作。


★ここだけの話


作者は元お笑い芸人だそうです。
この本の中で、独自の推理を繰り広げるのが
やはりお笑い芸人の一人で、もしかしたら等
身大の作家自身かもしれません。


神様のような元教師が亡くなり、その通夜の
会場での出来事が書かれています。
残された娘と何人かの参列者の視点で、彼ら
の周囲に起きた過去の7件の事件が語られま
す。
それぞれが故人の犯行であった可能性が高く
なっていきます。
しかし、冷静に一つ一つ考えていくと、やは
り故人が関係ないという結論に達します。
それでは一体誰が7つの事件を引き起こした
のか。
作者のトリックが最後になってやっと明らか
になります。
なるほど。
読み返してみれば「確かにそうだった」とわ
かるのですが、一回読んだだけでは難しいで
すね。


それほどビックリする場面はありません。
通夜の席というたった数時間の出来事だけで
す。
それでも濃厚な内容に仕上がっていると思い
ます。


気になったところは、故人となった元教師の
娘が喪主をつとめているのですが、そこに同
席している従妹の由香里についてです。
この場合、彼女の両親や兄弟姉妹はどうなの
でしょう。
全然出てきませんが、一番近しい親戚なので
当然通夜にも出席しているはずです。
天涯孤独の身とも違うようです。
気になる箇所はいくつもありますが、全体を
通してなめらかにみんなの解釈が行なわれて
いきますので、ひっかかりはむしろ少ないで
す。
この本は4時間で一気読みしてしまいました。