●伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』幻冬舎 | 新・駅から駅までウォーキング

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伊坂幸太郎
   『アイネクライネナハトムジーク』
          幻冬舎  2014.9.25発行 
 



アイネクライネナハトムジーク/幻冬舎
¥1,512
Amazon.co.jp





  
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)


ここにヒーローはいない。
さあ、君の出番だ。
奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、
他力本願で恋をしようとする青年、
元いじめっこへの復讐を企てるOL……。
情けないけど、愛おしい。
そんな登場人物たちが紡ぎ出す、数々のサプ
ライズ! !
伊坂作品ならではの、伏線と驚きに満ちたエ
ンタテイメント小説!


★ここだけの話


タイトルは、あのモーツァルトとは関係なく、
ミュージシャンの斉藤和義氏とのつながりだ
ということが「あとがき」に書かれていまし
た。
ですからクラシックとの関連はありません。

さらに言うと、今回の作品には泥棒や殺し屋
すら出てきませんので、伊坂作品には珍しく
丸みを帯びた短編集として仕上がっています。


とはいえただの短編集ではありません。
6編すべてで、登場人物が絡み合っているの
です。

19年の間に起きる、家族や恋人にまつわる
話が、とてもいい感じにつながっています。
長編小説にも書きかえられるだけの内容も持
っていて、人と人とのつながりがよくここま
で書けているなという印象でした。


全体を通じて何回か登場する場面があります。
男性から大声でどなられている女性を助ける
方法。
これは仲裁に入る時、「どこのお嬢さんか知
らないでどなっているのですか」と気の毒そ
うに男性に語りかけるという方法です。
なるほど!
いいかもしれません。
おもしろいことに世代が変わっても、本のう
えでは通用してしまいました。
人を傷つけないことの大切さのようなものが
随所に感じられました。


伊坂作品の愛読者からは、彼の別の一面を見
られる作品であるとうれしい評価がくだされ
るのではないでしょうか。


いろいろ楽しませてくれる伊坂幸太郎になっ
てきましたね。