●大村友貴美『奇妙な遺産 村主准教授のミステリアスな講座』光文社 | 新・駅から駅までウォーキング

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大村友貴美
『奇妙な遺産 
    村主准教授のミステリアスな講座』
           光文社 2014.9.20発行 
 




奇妙な遺産 村主准教授のミステリアスな講座/光文社
¥1,944
Amazon.co.jp






  
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)


東京・国友塾大学で教鞭を執る村主周一郎准
教授は、人並みはずれた西洋史オタク。
講義内容に合わせ、襟付きマントやバルーン
パンツなど、往時の華やかな衣装で熱弁をふ
るう。
ある日、大学構内にある小劇場で、OBの演出
家・長谷川の死体が発見される。
死亡する直前に彼と会っていた村主は、その
とき受け取った原稿に謎の数字が書かれてい
たことに気づく。
事件を知り、駆けつけた元教え子・橋下純香
とともに、村主は真相究明に乗り出す。
「歴史」に迫るように、「生きた人間が起こ
す事件」の真相を探る、歴史をこよなく愛す
る男の推理とは?
血塗られた伝説、怪しげな宝探し、不可思議
な暗号…横溝賞作家が贈る、知的でユーモア
あふれる連作ミステリー。


★ここだけの話


この本には短編が5作品載っています。
いずれも村主周一郎准教授が主人公=探偵役
で、語り手が異なるという設定です。


1作目『ブラッディ・ウーマン』に登場する
「わたし」は元教え子の橋下純香で、事件の
解明に一緒にあたります。


2作目『聖なる殺人の書』の「わたし」は、
女性経営者の陣屋洵子。
犯罪者の立場から書かれています。


3作目『永遠のトレジャーハンター』の場合
田宮洋平が「わたし」です。
特に大きな事件が発生するわけではないので
すが、宝探しを続ける田宮に対し、「人生は
誰にとってもトレジャーハンターで、宝はい
つでも身近にある」と教え諭して終わります。


4作目『エデンの蛇』だけは「わたし」が出
てきません。
伊豆諸島の鳥居島を訪れた村主周一郎がオー
ベルジュを営む夫婦を、最終的には助けた形
となります。


そして5作目『奇妙な遺産』。
「わたし」は再び1作目に登場した橋下純香
です。
急逝した伯母の残した暗号を村主周一郎とと
もに解き明かし、伯母の深い愛情を感じると
いう内容です。

この最後の作品が一番心にしみました。
謎を解き明かすほどに、どれだけ姪のことを
考えてくれていたのか、とても深い味わいの
ある作品でした。


コスプレは奇抜な発想ですが、うまくイメー
ジできないとおもしろくありません。
西洋史に関しては、わかりやすく書かれてい
て、それが事件解明の糸口に結びついていま
す。
決して歴史の謎を解くといった内容ではあり
ませんので、誰でも軽い気持ちで読めると思
います。