門井慶喜『こちら警視庁美術犯罪捜査班』
光文社 2013.10.20発行
- こちら警視庁美術犯罪捜査班/光文社
- ¥1,575
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)
三田村豪気は、警視庁捜査二課美術犯罪捜査班
に所属する新米刑事。
やる気と体力は人一倍だが、美術にはとんと
疎い。
美貌の上司・岸すみれの薫陶のもと、にわか
仕込みの知識を駆使して、違法スレスレの詐欺
的ビジネスを続ける美術品販売会社の犯罪を
暴こうとするが…。
★ここだけの話
この本は5つの短編で構成されています。
主人公の刑事2人が5件の美術犯罪に立ち向か
うという内容なのですが、実は事件の黒幕は
いつも同じ美術品販売会社の社長です。
しかも彼は、岸すみれ警部補の離婚した元夫で
す。
この設定は現実には難しいと思いますが、小説
の上では、とてもおもしろく書かれています。
ところで少し気になった点が2つあります。
1つ目は警視庁のある場所の説明が一定でない
こと。
時には「霞が関」と書き、時には「桜田門」と
書いています。
本来、住所で言えば霞が関なんですが、かなり
はずれの位置にあり、普通は桜田門と言う方が
ポピュラーではないかと思います。
2つ目は、岸すみれが学生時代に描いた複製画
(ゴッホの模写)が犯罪に使われた場面です。
いかに昔に描いたとはいえ、自分の制作したも
のをすっかり忘れているなんて、ちょっと無理
があります。
そうした病気でもない限り、ありえないことだ
と思いました。
美術に対しては、それほど深いツッコミはなく、
2人の刑事のかけ合いと岸すみれ警部補の家庭
事情を知るところにおもしろさがあるように感
じられました。
また、この本に載っているような美術品の詐欺
には、十分な注意が必要だと教えてくれている
ようです。