●森晶麿『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』早川書房 | 新・駅から駅までウォーキング

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森晶麿 『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』
             早川書房 2012.12.15発行 


黒猫の薔薇あるいは時間飛行/早川書房
¥1,575
Amazon.co.jp


★本の内容(Amazon.co.jpより)


黒猫の渡仏から半年。
付き人はポオをテーマに博士論文に挑むが、
つい黒猫のことを考えてしまう。
そんなとき、作家・綿谷埜枝の小説に
「アッシャー家の崩壊」の構造を見出す。
その小説を研究するには、
一晩で消えた薔薇の謎を解く必要があるらしい。


一方、パリで研究を始めた黒猫は、
恩師の孫娘マチルドから、ある音楽家の音色が
変わった原因を調べてほしいと頼まれる。
日本とパリでそれぞれ謎を解くふたり。
でも隣を歩くのはいつもの相手ではなくて……。


待望の黒猫シリーズ第3弾。


★ここだけの話


黒猫シリーズ3作目となります。


主人公はまたしても名前の出てこない2人。
24歳にして美学の教授になった天才、「黒猫」と
あだ名で呼ばれている男性。
エドガー・アラン・ポオを研究している博士課程の
女性=「付き人」。
彼らは「教授と付き人」という関係を保ったままの
どこかしらせつない感じの2人です。



今回は「黒猫」はパリで、「付き人」は日本でとっても
おしゃれな謎ときと向かい合います。

全体のテーマとしては薔薇、植物、庭園。
さらに時間、音楽がからみあいます。
また、ポオの「アッシャー家の崩壊」と関連付けて、
万葉集が登場します。


途中、「黒猫」の美学の講義もありますが、どちらか
と言えば、恋愛小説の要素が強くなっているような
気がします。


ただ2人にはそれぞれ想いをよせる人物が登場します。
「黒猫」にはマルチド、「付き人」には戸影くんです。
次回2人の関係は縮まるのか、それとも複雑な恋愛
関係に突入してしまうのか、とても気になるところ
です。


著者のブログにおじゃましたところ、浜松に生まれ、
早稲田大学を卒業、日本大学の大学院に学び、今は
四国の町に住んでいるとのこと。
日頃、美学のことなど考えない生活をおくっている
ため、この小説を書くことで思考を突き詰める機会に
しているそうです。


やはり人に読んでもらう文章を書くには、かなりの
緊張感をともないますよね。
特に内容にウソやでたらめなことなど書けませんから。
知っていることを増やす。
そのために私はあちこちと出かけております。


さてこの黒猫シリーズ。
まだまだ終わらないでくださいね。

こうした雰囲気のミステリは、他にはありません。

現実では育児をしながら、とびっきりおしゃれなアイ
デアを考えてくれることを望んでやみません。