寄り道ギャラリー1分間(その130)
ジャン=フランソワ・ミレー
『春(ダフニスとクロエ)』1865年
(国立西洋美術館蔵)
★ちょっとひとこと
ジャン=フランソワ・ミレー(1814~1875)は
シェルブール近郊のグリュシーの生まれ。
19歳の時シェルブールの肖像画家ムシェルの下で
絵画を学び、奨学金を得てパリに出た。
1840年に初めてサロンに出品し、肖像画1点が入選
した。
この頃はプッサンをはじめ過去の画家たちの絵を熱心
に研究している時期でもあり、いろいろな主題の作品
を描いている。
ミレーにとって最初の農民生活を主題とした作品は、
1848年の『箕をふるう人々』で、ここから新しい展開
を見せることになる。
パリからバルビゾンに移り住み、テオドール=ルソー
などと親交を結びながら、農民の姿を次々と発表して
いった。
『種播く人』『落穂拾い』『晩鐘』など誰にでも馴染み
のある作品揃いだ。
ミレーはアルザス地方の銀行家から「四季」を主題と
した4点の制作を依頼され、そのうちの「春」が上の
絵である。
古代ギリシャの小説「ダフニスとクロエ」を題材に
して制作している。
内容は、牧人夫妻に育てられた捨て子の2人が、紆余
曲折の末にめでたく結ばれるというもの。
農民を描いていた時代に、こうした神話的、牧歌的な
作品も描いていたことになる。
尚、「冬」を描いた作品は、ミレーの作品を多数集めて
いる山梨県立美術館が所蔵している。
ミレーの作品はセガンティーニをはじめ多くの画家に
影響を与えたと言われているが、とりわけゴッホに
及ぼした影響は極めて大きい。
寄り道ギャラリー1分間(その130)
‥ミレー(2)
2011.4.24 & 2011.7.23