奇想の島 アルカトラズと 軍艦島
島田荘司『アルカトラズ幻想』
文藝春秋 2012.9.25発行
- アルカトラズ幻想/文藝春秋
- ¥1,995
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより)
1939年11月2日、ワシントンDCのジョージ
タウン大学脇にあるグローバーアーチボルド・パー
クの森の中で、娼婦の死体が発見された。
被害者は両手をブナの木の枝から吊るされ、性器の
周辺がえぐられたため股間から膣と子宮が垂れ下が
っていた。
時をおかず第二の殺人事件も発生し、被害者には最初
の殺人と同様の暴虐が加えられていた。
凄惨な猟奇殺人に世間も騒然とする中、恐竜の謎に
ついて独自の理論を展開される「重力論文」を執筆
したジョージタウン大学の大学院生が逮捕され、あの
アル・カポネも送られたサンフランシスコ沖に浮かぶ
孤島の刑務所、アルカトラズに収監される。
やがて、ある事件をきっかけに犯人は刑務所を脱獄し、
島の地下にある奇妙な場所で暮らし始めるが……。
先端科学の知見と作家の奔放な想像力で、現代ミステ
リーの最前線を走る著者の渾身の一作がついにベール
を脱ぐ!
★ここだけの話
毎回スケールの大きさにびっくりさせられます。
島田荘司の頭の中はどうなっているのか、のぞいて
みたくなります。
第一章で起こる猟奇的な事件。
2人の刑事が事件を追いかけます。
第二章のタイトルは重力論文。
太陽系を中心とする天体の話。
そして独自の重力に関する考え方により、それは
恐竜の存在をも疑わせる内容となります。
これを書いたバーナードは、この重力理論の実践の
ため、猟奇的な事件を犯したわけです。
逮捕されたバーナードは、西海岸サンフランシスコ沖
のアルカトラズ刑務所に送られます。
そこからの脱走。
ここまでが彼にとっては多分現実で、それから先の
不思議な世界は、まるで夢を見ているような別世界と
なります。
そこが軍艦島だったわけですが……。
第二次世界大戦、原爆投下などがからんで、1人の
アメリカ人の人生が大きく変わってしまいます。
しかし戦後の日本で医師となり、幸福な生活を送れた
のでハッピイエンドと言って良いのでしょう。
日本とアメリカをつなぐ心温まる物語となっています。
アルカトラズの刑務所はというと、戦後その役割を
終え、今は国立公園として観光地になっています。
サンフランシスコから撮影した島は、すぐ近くに見え
こんな感じでした。