新しい 作者と出会える 楽しみも
本格ミステリ作家クラブ選・編
『ベスト本格ミステリ2012』
講談社ノベルズ 2012.6.6発行
- ベスト本格ミステリ2012 (講談社ノベルス)/講談社
- ¥1,344
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)
2011年に発表された本格ミステリの短編と評論
から、本格ミステリのプロフェッショナルが選び抜い
たベスト作品集!
★ここだけの話
第12回本格ミステリ大賞が決定しました。
小説部門で受賞したのは、
城平京 『虚構推理 鋼人七瀬』
皆川博子『開かせていただき光栄です』
の2作品です。
おめでとうございます。
さて、毎年この時期に発行される、プロの作家が選ぶ
本格ミステリの短編集が今年も出ました。
収録されているのは、小説9作品と評論1作品です。
小説をちょっとだけご紹介します。
・長岡弘樹『オンブタイ』
自動車事故で視覚を失った主人公と、それは不思議な
ヘルパーが登場。
「二人羽織」を連想してしまいます。
・麻耶雄嵩『白きを見れば』
まだ駆け出しの女性探偵、高徳愛香が孤立した山荘で
遭遇した殺人事件の謎解きをします。
ただ最後に正解を出すのは、彼女ではなく貴族探偵。
高徳愛香という名前は四国4県の県名の各1文字を
並べてつけたようです。
・青井夏海『払ってください』
著者お得意の助産師探偵シリーズの1作です。
赤ちゃんという新しい命の誕生と家族関係を見事に
描いています。
・東川篤哉『雀の森の異常な夜』
烏賊川市のシリーズなので過去に読んだことがありま
したが、再度読んでみてグイグイと惹きこまれていく
感覚を覚えました。
この作者の作品は、どれも満足出来ます。
・貴志祐介『密室劇場』
テレビドラマ化された自称防犯コンサルタント榎本径の
シリーズです。
ワトソン役の青砥純子の迷推理とアングラ劇団員たちの
キャラクターがおもしろさを引き立てています。
・柳広司『失楽園』
シンガポールのラッフルズ・ホテルが舞台です。
太平洋戦争の直前の各国の思惑と駆け引き。
そしてスパイの活躍。
怪傑ハリマオを思い出してしまいました。
・滝田務雄『不良品探偵』
学園ユーモアミステリです。
天才か馬鹿かわからない高校生探偵が後輩とともに女子
生徒が起こした殺人事件を推理します。
・鳥飼否宇『死刑囚はなぜ殺される』
死刑囚だけが収監されている刑務所で2つの死体が発見
される。
なぜ、死刑執行の前に殺されなければならないのか。
凶器は一体どこに隠されていたのか。
この作者はいつもおもしろい作品を提供してくれます。
・辻真先『轢かれる』
幼い時の母娘心中の真相が明らかにされていく。
母は本当に自分を殺そうとしたのか。
父は誰だったのか。
悪い人がいない小説です。
私がいつも必ず購入しているのは、麻耶雄嵩、東川篤哉
です。
鳥飼否宇もよく買ってきます。
時々こうしたいろいろな作者を集めた短編集を読むと、
普段読んだことのない作者を知ることができて、まるで
お見合いの席のような感じがしました。
長いお付き合いの始まりが待っているかもしれません。