●井上夢人 『ラバー・ソウル』 講談社 | 新・駅から駅までウォーキング

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メモ小説を 読みながら聴く ビートルズ本


井上夢人 『ラバー・ソウル』
             講談社 2012.6.6発行 


ラバー・ソウル/講談社


¥1,995
Amazon.co.jp



★本の内容(Amazon.co.jpより引用)


洋楽専門誌にビートルズの評論を書くことだけが、

社会との唯一の繋がりだった鈴木誠(すずきまこと)。

36年間、女性など無縁だった男が、美しいモデルに

心を奪われた。

偶然の積み重なりは、鈴木の車の助手席に、

美縞(みしま)絵里(えり)を座らせる。

――大胆不敵かつ超細密。空前の純愛小説が幕を

開ける。


★ここだけの話


第一印象。
その緻密な構成にビックリしました。
唖然としました。


この小説を一言で表現すると、「ミステリ仕立ての
恋愛小説・ビートルズを添えて」となるでしょう。
ビートルズの6作目のアルバム「ラバー・ソウル」
の全曲と、同時期に録音された「デイ・トリッパー」
と「恋を抱きしめよう」の2曲が各章のタイトルと
なっており、それらの歌詞が小説の展開に重要なポイ
ントとなっているのにはビックリしました。


主人公鈴木誠はモデルの美縞絵里に生涯ただ一度の恋
をし、その彼女を護るために犯罪の手助けをします。
鈴木誠の手記として綴られた内容は、彼女をかばう
目的で犯人は自分だと書かれています。
そして最後は、彼女に哀願されて自殺する結果となり
ます。

最終章に至って彼の死の直前の幸福感と苦しみからの
解放を知り、一人の女性を護る一方通行の恋愛小説
なんだなと思いました。


また、初めに登場するポール・アンカの「ユー・アー
・マイ・ディスティニー」は、この後、何人かの運命
が変わっていくことを暗示しているように感じられ
ます。


私は作者の井上夢人氏と同じ1950年の生まれです。
学生時代にまさにビートルズの洗礼を受け、その後も
何かと影響を引きずっています。


「ラバー・ソウル」を聴きながら「ラバー・ソウル」
を読む。
これは今最高の贅沢かもしれません。