●鯨統一郎『笑う娘道成寺 女子大生桜川東子の推理』光文社 | 新・駅から駅までウォーキング

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メモ焼酎で 冴える歌舞伎の 新解釈本


鯨統一郎『笑う娘道成寺 女子大生桜川東子の推理』
                   光文社 2012.5.20発行 

笑う娘道成寺 女子大生桜川東子の推理/鯨 統一郎
¥1,470
Amazon.co.jp


★本の内容(Amazon.co.jpより)


夜ごとバーに集まるヤクドシトリオこと私立探偵の
工藤とライターの山内、マスターの島。
そして、美貌の大学院生桜川東子とバーのアルバイト
に入った歌舞伎好きの阪東いるか。
焼酎のつまみに語られるのは、往年の銀幕スターへの
思慕と、巷を賑わす未解決事件。
トリオの頓珍漢な推理を尻目に、いるかが事件と
歌舞伎との類似点を指摘すると、すかさず東子が
新解釈で名推理を披露!
頼もしい二人の応酬にヤクドシトリオ、ますます立つ
瀬なし。


★ここだけの話


鯨統一郎と言えば、何といっても1998年のデビュー作、
「邪馬台国はどこですか?」が最高におもしろかった
です。
この時の主人公は早乙女静香でした。
文庫書き下ろしで出版され、何回も読み返したことを
覚えています。


さて、女子大学院生桜川東子のシリーズは、これで
4冊目となりました。

今回は新キャラクターの阪東いるかを加え、歌舞伎に
新解釈を施します。
次の6つの、どれも有名な歌舞伎の場面で、桜川東子
が新しい解釈を披露します。
「女殺油地獄」
「曽根崎心中」
「白浪五人男」
「勧進帳」
「忠臣蔵」
「娘道成寺」
同時に現在進行中の類似した事件に、この解釈を適用
し、見事に解決に導くという内容です。


歴史や伝説に対し、大胆な新説や新解釈を使って興味
を引く作品に仕上げています。
でも堅苦しい歴史推理といったものではなく、どちら
かというとサラッと読めるユーモア推理の形式をとっ
ています。
連作短編のシリーズですので、1編ずつ気楽に読む
ことができます。


この本を読むメリットは、歌舞伎にちょっとだけ詳し
くなる、往年の映画スターや歌手を多数思いださせて
くれる、そしてこだわりの焼酎の銘柄が紹介される、
と盛りだくさんです。


何かもの知りになったような気分にさせてくれるお得
な本です。