なにがイヤって、真冬にハーレーのエンジンをかけることだろう。
ほら、私のハーレー、電子制御されている、
いまどきのインジェクション車と違って、
ちょい旧なキャブ車じゃん(99年モデル)?
乗り手がスロットル操作して、
うまい具合にエンジンをかけなきゃいけない。
そのときに味わう緊張感。
胃がキリキリするような、ストレス。
たぶん、これと同じくらい嫌いなこと挙げてみろって言われても、
なかなか思い出せない。そのくらいイヤ。


ストレスを少しでも減らそうと取り付けた、バッテリー・チャージャー。
その日のブログはこちら


別冊リツコング-ここにあった


スポーツに乗る前日、これに専用のコネクタを刺して、
自宅のコンセントからバッテリーを一晩充電できるすぐれもの。


別冊リツコング-まだまだサイン


これ、刺したばかりの、「ただいま充電中」な黄色いランプ。


別冊リツコング-GOサイン


およそ一日で「充電完了」の緑ランプに。


今日は車検に出すため、鎌倉の友人の店 まで走る予定だった。
食欲番長(兄貴)のハーレー(彼のもちょい旧なスポーツスター)も
私のと同時期に車検が切れる。
2台でツーリングがてら行こうかってことで。


朝10時半、自宅を出ようかってとき、番長からメールが入る。


「バッテリーが上がった」


マジか。(;°皿°)


さっそくひとり脱落。


真冬にエンジンかけるの、本当にイヤよねー!


彼のオートバイは、ハイエースに積んで行くことに。


別冊リツコング-積んだ


そして私のスポーツは……。


ききき、緊張……。


お願い、エンジンかかって!


カカカカカカカカカカカ。


この音、きゃぁ、いやだ(汗)。リトライ!


カカカカカカカカカカカ。


マジかよ。えーい、もう一度!


カカカカカカカカカカカ。


何度やっても全然ダメで、セルを回す音が弱ってくる始末。


充電したのにおかしい。


「燃料コックがオフになってるよ!」と、傍で見ていた番長。


マジ(汗)!?


昨年、NHKの生放送 に出演したとき、
業者さんが私のスポーツをスタジオに運んでくれた。
そのとき、ご丁寧に燃料コックをオフにしてくれたようなのだ。
あ、ありがとうございます。
ていうか、それに気づかないなんて、
私ったらなんて初歩的なミスを(汗)!


ナンとかほんとギリギリ、エンジンはかかりまして、
最後の方は「たのむ!」「お願い!」「マジで!」と、
半べそ神頼み的な感じだったけど(笑)。


別冊リツコング-あとでな


クレジットカード、免許証、現金2千円とケータイだけ持って、

番長とは現地集合。
本当は2台のオートバイで走りたかったけどね!


番長と別れたあとも、トラブルがあった。
アイドリングを調整する、“アイドル・アジャスト・スクリュー”が、
なんと、ぽろっと取れちゃった……(汗)。

常にふかし続けていないとエンストする状態に……(大汗)。


さらにはこのごろ軽やかなXR230に乗っていたから、
久しぶりにまたがったスポーツの重たさにびびった。
家を出て、一個目の角すらうまく曲がれなくて、
だいぶ膨らんでしまった。わっ!


なんで私は、こんな面倒くさいオートバイに乗り続けるのだろう。
エンジンがかかりづらくて、曲がりづらくて、ひたすら重い、
このオートバイのどこがいいのだろう。
第三京浜に乗るまで、数回エンストさせながら、
私は真顔でずっと考えるのだった。


わかったことは、「勢い」だった。
23歳の私は、勢いだけで、このオートバイを手に入れた。
ほしい、ほしいったら、絶対にほしい!
一目惚れしてしまった、ハーレーのスポーツスターというオートバイを、
いままでがんばってこさえた貯金、ほとんど全部はたいて、
何のためらいもなく、「ぽん」っと買ってしまったのだった。


その勢いがなければ、私はこの重たくて融通の利かないオートバイに
乗ることは一生なかっただろう。
「ハーレー」という文字は、私の人生にはなかった。
ということは、「いまの私」もなかった。
あの人にも、この人にも出逢わなかっただろうし、
なにより、いまの仕事につくことはできなかった。
旅のエッセイストになって、本を何冊も出せたのは、
このオートバイがあったからこそ。


新車で乗り出して、14年目。

今回で7回目の車検。
その間、私はいったい何人の男と付き合ったり別れたりしただろう(汗)。
ハンドルを握りながら、私の身体の上を通り過ぎていった男たちの
顔をひとりひとり思い出したのだった。
男はたくさん変わったかもしれないけど(汗)、
私はこのスポーツと、ずっと一緒だった。

だから、いいんだ。
また車検を通して、もうちょっとだけ、このオートバイに乗ろうと
青く澄み渡った空を眺めながら、私は思った。


別冊リツコング-到着


たぶんね、このオートバイ、手放すとするでしょ。
そうしたら、毎年のように、
新しいオートバイ、ぽんぽん買い換えると思うんだ。
アレも乗りたい、コレも乗りたい。
「一目惚れした~」、なんて言いながら、
翌年にはころっと興味、なくなったりして。
もともとそういう薄情な女なんだよ、私なんか(汗)。


別冊リツコング-さすがだね


妹到着後、10分くらいして番長がやって来た。


「ハラ減ったな」


うん。奇遇だね。私もぺこぺこ!


別冊リツコング-ランチ中


ミヤッチが教えてくれた、近所の中華屋。


別冊リツコング-取れちゃったの


「よくこの状態で走ってこれたな」


だからエンストしまくったって(汗)。


ぽろっと取れたアイドル・アジャスト・スクリューを
取り付けてくれたミヤッチ。


別冊リツコング-どっち向いてんの


営業部長という役職が着いた バカ犬 マロ。


なんかでも、今日はおとなしかったね。
落ち着きがあったっていうか。
4歳になって少しは大人になったのかな(笑)。


別冊リツコング-こっち向いてよ


写真撮るときそっぽ向くのは相変わらずだけど(笑)。