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アイアン・ハウス(IRON HOUSE)

東野さやか翻訳で、早川書房からポケットミステリー1855として

2012年に刊行された「アイアン・ハウス」は、前作の「ラスト・チャイルド」以来

2年振りのジョン・ハートの長編第4作であり、

冒頭の謝辞で著者が「この本の執筆中、逃げ出したくなったことが

一度会った。」と記しているように、これまでの著作ではあまり感じることが無かった

作者の逡巡、苦悩、そして“まよい”が行間にそのまま浮かびあがっている、

フィクションでありながら、文筆家としてのジョン・ハートの執筆中の心の動きが

窺える正直な作品である。




物語は生後間もない乳児、そして幼児時代に親に捨てられた二人の少年が

成長する過程そして、産みの親を知ることなく、全く異なる人生を歩むようになった

二人が一時も忘れたことのない“兄弟愛”についての、ジョン・ハート流の

キリスト教精神を拠り所とした、深い考察が主旋律となっている。




552ページの長編の本作、まだ読了はしていないが、

ハラハラドキドキする展開が随所に織り込まれた

良質なエンターテインメントである本作で、次の言葉が

心に残った。




主人公マイケルの弟であり、孤児院で過酷ないじめを受け続け、

マイケルの庇護が無ければ人格を破壊されていたジュリアンを

養母として引き取り,成人男性まで育ててくれたアビゲールに

マイケルが、ろくに知りもしない自分たちに何故ここまでしてくれるのかと

詰問した際、アビゲールはこう答える。

「わたしはうんと昔に、あるべき自分の姿を選択したの」

アビゲールにとってあるべき自分の姿とは

「正しいことをする勇気を持った人間よ。どんな時でも。

いかなる犠牲を払おうとも」

この言葉にマイケルは次にように本心を吐露する

「それが、さっき言ったおれたちの夢なんだ」

「産みの親が迎えにきてくれるのが。寝てもさめてもそればかり

夢見ていた。あってはならない間違いでおれたちは置きちがえられただけで、

いずれ誤りが正される時が来るとね。」

33歳に成長したマイケルは“若い”産みの母のあやまちを責めることなく

その過ちをわかってあげようとする。



「冬の小鳥」、「少年と自転車」

親に捨てられた子供は、迎えに来てくれる親を心の内で永遠に待ち続ける。







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センダンの実、冬至 

明日は冬至、

東京地方の日の出の時間はまだまだ遅くなるが、

日没の時間も先週を底に徐々に遅くなってきており、

計算上は今週が1年中で最も“昼”の時間が

短い期間となる。


日の出の時間が徐々に早くなるのは来年の1月13日頃から、

今朝の出勤時に東の空はまだ朝焼け状態であった。




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今月に入って落葉が続いていたセンダンの木、

すっかり葉が落ちた枝から、少し黄色く色づいてきた

沢山の球形の実が枝垂れている。




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野川では、これまで姿を見かけることが無かった

カワウが夜明けとともに人影を避けるように

橋の下に集まり、足音に敏感に反応して一斉に

飛び立っていった。


二子橋の日の出。



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「ドライヴ」(Drive)



デンマークで幼少期を過ごし、小学生時代に米国に移住し、

米国で映画を学んだニコラス・ウィンディング・レフン監督.

2011年に制作した「ドライブ」はアメリカの誇る正統派ハードボイルドの

香り高い、味わい深い佳作に仕上げられている。



孤独な佇まいを漂わせ、寡黙で、命知らずで、

卓越した運転技術を持つプロドライバー。

このドライバーが一目でその魅力に取りつかれる

一児の母アイリーン。



正義感の強い寡黙な流れ者、

美しい人妻、そしてこの流れ者を“父”と慕う少年、

“泣かせる”ハリウッド映画の神髄を継承した本作の完成に

大きく貢献しているのが若手でありながら、芸歴を着実に

積んでいるライアス・ゴズリング、キャリー・マリガンの

二人の俳優。



数々の異なる個性を見事に演じ続けるキャリー・マリガンは

刑務所で服役中の夫を待つ1児の母アイリーンを

薄幸でありながら薄幸さを微塵にも感じさせず、

強い意志を持ちながらその意思を隠し通す、

神秘的な深い魅力を持った女性を演じ、

ライアン・ゴズリングが生涯でただ一人愛情を抱いたアイリーンを

守るために、自分の全てをなげうって”悪“の組織に一人で立ち向かう

“クール”で孤独な男を演じる。



フィリップ・マーロウはつぶやく.

「タフでなければ生きて行けない。

優しくなれなければ生きている資格がない」

「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」



現在のアメリカ西海岸を舞台する本作で、

ドライバーは“フィリップ・マーロウ”をそして“シェーン”の心を

体現して生きていく。




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