「かぞくのくに」
日本海を隔てて我が国に隣接する朝鮮半島。
北朝鮮と密接な関係がある在日本朝鮮人総聯合会の幹部を
両親に持つ在日コリアン2世の梁 英姫(ヤン・ヨンヒ)監督が
自身の体験をベースに制作した2012年公開作品
「かぞくのくに」
この作品は、今日にもミサイルを発射するかもしれない北朝鮮を
祖国とする在日朝鮮民族の家族の物語であり、
第二次世界大戦後、憲法で自由を保障された国に住む国民とは
全く異なる、政府が個人の行動を規制する国で生きざるを得ない人々の
自由をはく奪された無念さ、恐怖が、物静かな映像を通して
観る者の心を深く揺さぶる。
1950年代の後半から大量の労働者を必要とし、
共産諸国の支援を受け発展を遂げていた北朝鮮に
多くの在日韓国・朝鮮人が豊かな生活を夢見て移住した。
ヤン・ヨンヒ監督の兄たちも1970年代の初頭にこの帰還事業で北朝鮮に移住し、
本作では両親と共に日本に住み続ける主人公リエの兄ソンホが家族の支援の末、
病気治療の名目で一時帰国の許可を得て、北朝鮮の監視員を伴い日本の土を
踏むことが出来るまでに25年の年月を要している。
25年ぶりに再会した家族、同級生。
そして皆の思い願いを破り、国家はソンホにまた過酷な命令を下す。
英姫(ヤン・ヨンヒ)監督は勇気をもって、
いまなお、個人の富、生命が政府に支配され、人間の尊厳を
奪い続けている国家が存在することを訴え、
たまたま日本で生まれ育った我々が今できる事を問う。



