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「キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語」


1920年代に一家でポーランドからアメリカに移住したユダヤ人の

チェス兄弟(映画ではレナード・チェス単独)が1950年代にシカゴで

設立したチェス・レコードの創成期からレナードが心臓麻痺で

急死するまでの物語。


ビヨンセが製作・総指揮に参画した本作は、

チェスレーベルで全世界に浸透させたブルース、R&B、ロックンロールの

歴史に残るアフリカ系アメリカ人の天才歌手達が、白人のレナードと出会い

レコード業界の金字塔を打ち立てていく姿を描くと同時に

自身アフリカ系アメリカ人、アメリカ原住民等の血を受け継ぐビヨンセが、

あからさまな人種差別が存在していた時代の米国社会で、

白人より才能ある“黒人”が社会的差別を受け、

日々味わされていた屈辱感・挫折感・疎外感からの、

逃避手段としてのアルコール・薬物へ傾倒する姿を

リアルにえがいている。


初期のローリング・ストーンズがレコーディングのために

チェス・レコードのスタジオを訪問し、

最盛期を過ぎ仕事が激減した本作の主人公マディー・ウォーターズを

ローリング・ストーンズがイギリスに招待し共演する。


性格も歌声も個性的なハウリン・ウルフ、

ブルース、ロックンロールを愛する人たちには

たまらなく楽しい場面に満ち溢れ、

大先輩のエタ・ジェームズを演じたビヨンセが

エタ・ジェームズの初期の代表作「I'd Rather Go Blind」、

At Last」、「All I Could Do Was Cry」を歌うシーンは

エタ・ジェームズの姿を借りてビヨンセ自身の心を

語っているように感じた。




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「ハンガーゲーム」(The Hunger Games)


極く少数の富裕層が国の全てを管理して恵まれた生活を享受し、

圧倒的多数の国民は貧困層として一生搾取され続ける体制が

構築されている近未来の世界。


2008年に出版されたスーザン・コリンズの著作

The Hunger Games」を原作として、小説の映画化に特徴がある

独立系映画製作会社Color Forceより20123月にリリースされ

製作費約78億円、全世界の興行収入約680億円のヒット作となった

「ハンガー・ゲームは」2011年に20世紀フォックスで製作された

TIME/タイム』と同様、米国のみならず、“先進国”で加速化しつつある

富裕層と貧困層の二極化を風刺し、格差社会で生きる、富裕層の

傲慢さ、富裕層から人格を否定されている貧困層の人間としての

反発を作品の土台として描いている。


暴動・反政府行動を武力で抑え付け、国民を統治した政府は

1年に一回、12に分けられた各区域の12歳から18歳までの

少年・少女を一人ずつ選抜して死闘を繰り広げさせ、

勝利した1名を希望の星として表彰する「ハンガーゲーム」を

全区域にリアルタイムで放映する国民行事として確立し、

国民の不満解消の手段としていた。


少年・少女が命を賭けて戦う様子は想像もしたくないし、

あまり本作には関心が無かったが、

主人公のカットニスを演じたジェニファー・ローレンスが

どんな演技をしているのかに興味を惹かれて観た本作は

カットニスが人を殺す場面は極力抑えられ、

「コロンビアーナ」で強い印象を残したアフリカ系アメリカ人の

少女アマンドラ・ステンバーグとの心の交流に込められた

人間性を強く感じる、楽しめるハリウッド娯楽大作であった。




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「拝啓、愛しています」(英題 Late blossom)


大きな仕掛けも、気をてらうようなシーンも無しに、

人間の尊厳をきちんと丁寧に描いた本作を観て、

商業主義とは一線を画したこのような作品が製作され、

そして多くの観客に受け入られる韓国映画界の“豊かさ”

を思い、韓国で生活する人々の心の拠り所を今一度想像した。


その昔(数十年前、ソウルの街に戒厳令の名残がみられた頃)韓国に

出張した際、仕事の関係者を除いて、韓国の人たちは日本人を“敵対視”し、

街で接する韓国の人たちの態度は必ずしも友好的なものでは無かった

印象が強い。


現代を生きる韓国の現役世代の人たちの父母、祖父母に対して

60年以上前に帝国主義時代の日本が犯した筆舌に尽し難い

犯罪行為は、本作のような“儒教”的精神が根底にあるように思われる

韓国の人々にとっては忘れ去ることが出来ない事実であり、

日本人はそのことを忘れることは決して許されない。


朝早くから牛乳配達の仕事をしている70代のマンソクが、

寒い冬の日、古紙回収で細々と生活している70歳に近く

身よりのないソンとある出来事をきっかけに出会う。


戦死した父の顔を知らず、名前が無く、身寄りもないが、

どこか慎ましく汚れを感じさせないソンに対し

妻をガンで亡くした頑固者のマンソクはいつか淡い恋心を

抱くようになる。


字が読めないソンに字を教える駐車場管理人のグンボンと、

認知症を患っているその妻。祖父マンソク思いの孫娘。


ソンに渡したマンソクの絵手紙をはじめ、ユーモアとペーソス、

笑いと涙に溢れた本作は、

かつては多くの日本人の特質でもあった、奥ゆかしさ、

他者に対する思いやり、謙虚さを

もう一度考えさせてくれる作品であった。



チュ・チャンミン監督の2012年の作品



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