獣達の庭園
ティーアガルテンの南西、ベルリン動物園駅に近く、
いつも沢山の人で賑わっている一角に立つカイザー・ヴィルヘルム
記念教会は、第二次世界大戦のベルリン大空襲で破壊された跡が
そのまま後世に残されている。
文庫本で657ページの本作、ジェフリー・ディーヴァーの
真骨頂がいかんなく発揮された、ジェットコースターのように
次から次に襲いかかる事件の連続、そして、
読者の期待を裏切ることのない展開で、
“職人” ジェフリー・ディーヴァーの世界を堪能させてくれた。
英題の”GARDEN OF BEASTS”が本作の内容を暗示しているが
この庭園は数日前に書いたベルリンのティーアガルテンを指し、
ティーアは本来の動物とか獣の意味であると共に、
俗語として暴漢、罪人の意味も持っている。
ジェフリー・ディーバー、あくまでも個人的な感想として、
この作家が人間を描く上で大切にしている心の土台、そして大黒柱は、
苦労人の山本一力や、宇江佐真理の作品に通じるものを感じる。
奇しくも、山本一力、宇江佐真理、ジェフリー・ディーバーの
誕生年度は順に、第二次世界大戦の終戦から数年後の
1948、1949、1950年。
この作品、親をマフィアに惨殺され、復讐の過程でマフィア相手の
ヒットマンを生業に選んだ、ドイツ系アメリカ人で、ほぼ完璧なドイツ語を
話す、180cmを超える大男ポール・シューマンが主役。
“命”と引き替えに、米国海軍情報部からの密命な指令を受けて
ベルリンオリンピック開催中のドイツにわたり、
使命達成のため、波乱万丈の数日をベルリンで過ごしたシューマンの
生き方を変えたのは、圧倒的暴力で市民生活を支配するSSやゲシュタポの支配下で
信念を持って耐えるベルリンの庶民。
「怪物と闘う者は,みずからが怪物とならないように心しなくてはならない」
本作は2004年の英国推理作家協会の
イアン・フレミング・スティール・タガー賞を受賞。
ビヨウヤナギ (未央柳, 美容柳)
未央柳、美容柳(ビヨウヤナギ)の名前から類推されるように
中国が原産でオドリギソウ科の庭木が今年も昨日開花。
オドリギソウ科のヒペリカム・アンドロサエマムと
同じように、黄色い花びらの中心から伸びている
沢山のおしべが、この花を美しく飾っている。
大きくなりすぎるので、花が終わると極端に短くする剪定を数回
繰り返すが、とても丈夫な木で、剪定後比較的短時間で芽吹く
柔らかい若葉は、細くごついごつごつした枝には似合わない
やさしい繊細さをもっている。
暗い所でもっとも目立ち、遠くからも認識できる黄色。
若葉が茂り少し暗くなった一角を明るくしてくれる
黄色い花のビヨウヤナギは、ここ数年私のお気に入りの木。
こちらはヒペリカム・アンドロサエマム
ティーアガルテン
かつては王家の狩猟場だった、ベルリン中心部の
ティーアガルテンはセントラル・パークと似た大都市の公園。
ニューヨークの市民と同じように観光客も多いセントラル・パークは
人が造り上げた空間としての雰囲気も感じるが、
このティーアガルテンは、人の手を超えた歴史ある自然を
そのまま公園として整備している。
背の高い木々に囲まれ、散在する緑の芝生で、平日に日光浴を
楽しむベルリン市民の姿が見られ、森の精油の匂いが立ち上る
散歩道をすれ違う人も少ないティーアガルテンは
欧州で一番豊かな国ドイツの国土の豊かさも感じさせる。
今読んでいるジェフリー・ディーバーの「獣たちの庭園」では、
ヒットラー時代のティーアガルテン(動物園)が
登場人物の心理を描写する背景としてうまく描かれていた。






