ザ・ポエット(The Poet)
ロッキー・マウンテン・ニューズの野心的新聞記者ジャック・マカヴォイを
主人公とするマイクル・コナリーの1996年の著作「ザ・ポエット
(The Poet)」は、デンバー警察の殺人課刑事であった双子の兄
ショーンが理由なき“自殺”を遂げたことを疑問に思ったジャックが、
子供を対象とした猟奇的連続殺人事件と、これら事件を担当していた
警察官の連続“自殺”の謎を追ってFBIと共に犯人探しに全米を奔走する
ミステリー・スリラー。
筆者自身元新聞記者であり、トップ記事を常に狙っていた
体験を反映させたかのような本作は、
経営困難に陥り、人員削減を目的に新聞社から退職勧告された
ジャック・マカヴォイを主人公とした2009年の作品「スケアクロウ」の時代背景とは
異なり、ホットニュースの供給源として新聞がいまだ重要な地位を占めていた時代の
物語。
ジャックは若々しく野心的であり、自分の記事が、マスメディアをリードしていた
新聞の一面トップを飾り、耳目を集める事を最大の生き甲斐としていた。
その後のマイクル・コナリーの作品に度々登場する重要人物FBI捜査官
レイチェル・ウォリングが初めて登場する本作は、
ベトナム戦争で地下に張り巡らされた真っ暗なトンネルの中で
ベトナム軍と相対した過酷な従軍経験を持つハリー・ボッシュ刑事を
主人公とした「The Black Echo」、「The Black Ice」、「The Concrete Blonde」
「The Last Coyote」が持つ独特の孤独感、寂寥感、無常観とは別の
ジェフリー・ディーバーが得意とするジェット・コースターのようなストーリー展開を
特徴とする、エンターテインメント性が強調された作品として仕上げられている。
“自殺”した警官の“自殺”した場所に残された言葉がすべて
“死”を作品のモチーフとするエドガー・アラン・ポーの作品から
選びとられた言葉だと確信したジャック・マカヴォイは、新聞記者の枠を超えて
FBIと共に不気味な犯人探しの旅を続けた結果、思いもよらない驚愕の
真実に直面する。
マイクル・コナリーの仕掛けをお楽しみに。




