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時世を写す映画


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クラシック映画を観ていると、

最近撮影された映画と比較して

タバコを小道具にするシーンが多い事を

再認識する。


半世紀前となる1959年のイタリア映画、「刑事」で、

ピエトロ・ジェルミ扮するイングラバロ警部は、

片時も手放さないタバコからの煙で

容疑者を“煙に巻く”スタイルで犯罪を解決していたが、

この姿は、後に一世を風靡したピーターフォーク演じる

刑事コロンボの姿とオーバーラップした。


私自身はタバコを吸わないので、不便さは全く感じなかったが

早くから受動喫煙対策が社会制度化されてきたアメリカでは、

出張先の建物の中ではタバコを吸う場所が無いほど、

副流煙に対して敏感になっており、

この風潮も反映されてか、

実際の刑事コロンボは火の消えた葉巻を口にしている

だけで、実際に葉巻を吸うシーンは無かったと記憶している。


スポンサーとして大手タバコ会社と密接な関係を結んできた

映画製作会社、長い間タバコは“格好を良くみせる”小道具として

重要視され、結果としてタバコの拡販に利用されていた。


話題は少し変わるが、スペインの街を歩いていて目についたのは、

若い女性の路上喫煙者がとても多かったこと。

知り合いの多くのスペイン人はタバコを止めているが、

税金でタバコが非常に高価なイギリスと比較すると安価であり、

スペインの社会的構造から将来に希望が持てない焦燥感が、

ひとときの心の安らぎとしてタバコに走っているのか。

週末、友達同士で深夜から夜明けまで酒を飲んでハメを外し

ストレスを発散させる20歳前のティーン・エージャーが

増えていることを、スペインの友人は憂慮していた。


タバコの葉は燃焼させることで、食道癌、肺癌の起爆剤とも

なりえるベンゾピレン、ニトロソアミン、キノリン他の

細胞にアタックする活性酸素(ラジカル)の活動を助ける、

化学物質を発生させることが判っており、

喫煙行為は決して“格好良い”姿では無い。


製作年度に大きく関連している主役級俳優の喫煙シーン、

1968年に悪役を演じたヘンリー・フォンダがジーンズの尻で

マッチを擦り、細巻きのタバコに火をつける様なシーンは、

市民団体から喫煙シーンの削減が要求されている今の

ハリウッドでは映像化は難しい。


今朝の日々草



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ターコイズブルー

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雨がぱらつき今朝は少し涼しさを感じる東京地方、

連日続いている猛暑に対し、視覚からの涼しさを求めて、

日本の伝統色から、涼しそうな明るい青色を探してみた。


残念ながら、日本の伝統色からは目的としていた

ターコイズブルーのような赤味がなく

明度、彩度共に高い青色は確認できず、

縹(はなだ)色に象徴される赤みでややくすんだ青色が

代表的な色彩だった。


トルコ石の色から名前がつけられたターコイズブルー、

色彩を情報として数値化するCMYK表示では

文献により差があるが、

C(シアン=):80,M(マゼンタ=):0Y(イエロー=黄):20,

K(黒い輪郭線を描いたキープレートの略であり墨を意味する):0

見事にくすみが無い緑味のブルーであることが判る。

コバルトブルーはC:100,M:30,Y:0.K:0,こちらは明度、

彩度は高いが、ターコイズブルーと比較すると赤味の青。


葛飾北斎が愛用していた青の顔料、最近の調査で唐藍と

呼ばれていたプルシアンブルーであることが判明している。

この唐藍はC:80,M60,Y0,K:80で赤味で、彩度が高く明度が低い

青色で現在の紺青がこの色。


鮮やかな発色の藍、紅等の有機顔料が存在しなかった江戸時代、

鉄とシアンの錯体であり耐光性が良好な無機顔料のプルシアンブルーは

有機顔料とは違う深みのある藍色で北斎の絵を特徴づけている。

安全性、発色性共に高い有機顔料では再現出来ていない色彩の

ターコイズブルー、コバルトブルーもマンガン、コバルト等の

金属を原料とする合成無機顔料。


日本の伝統色の中でくすみの無い美しい青色は、

今庭で咲いている露草の花の露草色か。



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ブルー・ヘブン C・J・ボックス


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日々の生活の中で、愛する心、理性、公平な心を忘れてしまった大人の

贖罪の物語である。


広大な国立森林公園がカナダの国境まで広がっている

北アイダホの美しい地域ブルー・ヘブンで

起こるべくして起こったある殺人事件。

偶然この事件を目撃してしまったために窮地に陥る幼い姉弟。


過酷な業務で神経をすり減らしてきたロスアンゼルス市警察の

定年退職者が、引退後を悠々自適に過ごす事を目的に

終の住処として選ぶことが多くなってきている

森と川や湖に囲まれた緑豊かな地域ブルー・ヘブン。


ロスアンゼルス市警察のユニフォームはブルー、引退後の

警察官が夢見る天国のような土地とも言える。

この夢を手に入れるために完全犯罪を狙ったが、人を殺して

しまうというミスを犯した事が、結果として後のマイナススパイラを

もたらした。


高級住宅地として生まれ変わりつつあり、

産業形態としての牧場経営が斜陽化しつつあるこの地域で、

成功した祖父の代からの牧場を引き継いだが、

経営の困難さも遠因で、自分自身の息子、妻との関係が崩壊し、

雇い人を解雇せざる終えない程、人生に行き詰まっていた牧場主。

(敢えてカウボーイと表現する)この牧場主の心の蘇りが

本作品の柱ともなっている。


もの静かではあるが、自分で決めた筋は通す六十歳台の

牧場主の生き方を変えたのは、行方不明で捜索願いが出された

12歳のアニーと弟のウイリアムの顔写真入りポスター。


定年退職する前にロスアンゼルスで起きた未解決事件の

決着をライフワークとし、最近手に入れたある物証を根拠に、

この白人至上の街を訪れたメキシコ系の退職警官の出現は、

地元を守るため敢えて悪事に目をつむっていた、地元の若い

銀行家の心に贖罪の意識を芽生えさせた。


牧場主、その友人でもある銀行家、そして退職した

元ロスアンゼルス市警の警官、

この3人が幼い姉弟とその母を助けるために団結する。


文庫本で550頁の本作、筆の進め方はなめらかで、

クライマックスに向けて一気にストーリーは駆け抜けていく。

西部開拓の頃とは全く異なる現代が舞台であるが、

牧場に閉じこもった家族達が無能な保安官の手助け無しに、

傍若無人な悪漢の包囲の手から無事脱出できるのか。

家族、心の友を守る男達の物語だった。


本作はワイオミング生まれで、シャイアン居留地の外に妻と3人の娘と共に

住み、牧場での仕事も経験したCJ・ボックスの2008年の作品



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