Selsdon Park Hotel ロンドン郊外の歴史遺産
ロンドン中心部から南東に約21kmの郊外、ロンドンからの通勤圏に、落ち着いた街セントメリークレーがあります。
東京で言うと、多摩川を渡った日吉あたりでしょうか。
閑静なこの街に、1877年にロンドンで設立され、旧大英帝国の国々は勿論、東南アジア等でも幅広く事業を展開していたCoates Brothersの研究所がありました。
この研究所に入って初めて感じたのは室内の照明の暗さでした。ロンドン近郊のこの研究所、ロンドン文化の影響で、全体照明は必要最小限に抑えられ、特に間接照明だけが灯された図書室は非常にうす暗く、窓から差し込む日の光が頼りです。
その原因を考えたとき思ったのは、冬でも晴れている日はサングラスが必需の欧米人と、スキー場は別として、冬はあまりサングラスをかけない日本人との、光に対する網膜の敏感さです。
更に、英国では発電源としての安価な石炭使用は全廃していますが、日本は未だに使い続けています。
更に風力発電量を年々増加させている英国とほぼ横並びの我が国。
同じ人類ですが、細かく見ると、子供のころから育ってきた周囲の環境が異なり、相互理解にはそれぞれの文化を知ることの重要性が身に沁みます。
途中説明が長くなりましたが、この研究所で開催した会議に出席した時に宿泊したのが、研究所が手配してくれた、Selsdon Park Hotel。Parkは一般に言われる公園と共に、地方の大邸宅を囲む大庭園も意味します。天井が高く広々としたダイニングルーム。朝霧に覆われる、ゴルフ場を併設する広々とした庭園は、お城ならではでした。
この素晴らしいホテルが、英国の経済状況の影響もあり、経営不振で現在競売に駆けられているようです。
将来に残してもほしいものです.
ロンドン近郊の古城ホテル思い出でした。

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華麗なるダメ男 「州崎パラダイス 赤信号」日活映画
芝木好子作「州崎パラダイス」を原作とし川島雄三監督が三橋達也を“ダメ男”義治に、かつて州崎遊郭にいたことがあり、諍いはあっても義治から離れることができない蔦枝役に新珠三千代を配して制作した、1956年(昭和31年)の日活作品。
1956年に成立し、1958年に施行された売春防止法により閉鎖された州崎遊郭(現在の江東区東陽町一丁目周辺)への入り口である、州崎パラダイスの名が掲げられた州崎大門は、州崎川に架かる州崎橋を渡った位置にあり、この作品は、一般庶民が暮らす地域である州崎橋を渡る手前の川岸で営業する一杯飲み屋を舞台に、展開する。
虚無的で、道徳的に腐敗した不健康な精神状態のことをデカダンと称するならば、新珠三千代はその迫真の演技で、デカダンに徹し切れない健全さを持つ蔦枝を演じ、三橋達也は蔦枝を愛しているが、蔦枝に安定した生活をさせるために額に汗し、自らの手を汚して働くことに思い至らず、破算したブルジョアジーのような生活をおくる義治を“誠実”に演じていた。
少しでも楽な暮らしを志向する蔦枝の奔放な生き方に対し、嫉妬に狂った義治は、雇ってもらったばかりの蕎麦屋の出前持ちの仕事を放り投げ、蔦枝が身を寄せた秋葉原の電器屋社長を探し秋葉原の街を放浪する。
飲まず食わずで空腹のあまり路上に倒れた義治を介抱し、にぎりめしを恵んでくれたのは、炎天下、汗を流して働いている日雇いの道路工事労働者達。
その橋を渡れば,元の生活に戻ってしまう、
赤信号は蔦枝の心で灯っていた。
夫が遊郭の娼婦と駆け落ちし、女手一つで二人の男の子を育てている飲み屋の女主人お徳を演じた轟夕起子の菩薩のような表情、そして義治を思いやる蕎麦屋の店員玉子役の芦川いずみが見せる無垢のやさしさ、
川島雄三監督の心を映すかのように、この作品では女性はたくましく、美しい。

