「Ironweed」(黄昏に燃えて)
先日紹介した「ザ・ロード」を始め多くの作品が映画化
されているピューリッツァー賞フィクション部門受賞作品。
「Ironweed」(邦題名:黄昏に燃えて)は1984年に同賞を
受賞したウイリアム・ケネディーの小説「IRONWEED」を原作とし、
ウイリアム・ケネディー自身が脚本を書き、1987年に制作された本作の
2年前に制作された名作「蜘蛛女のキス」のヘクトール・バベンコ監督が
監督を務め、ジャック・ニコルソンとメリル・ストリーブが主役を務める。
本作「黄昏に燃えて」は、惹起される華やかなイメージからはかけ離れた、
再び輝くことのない「黄昏に燃えることのない」世界を描いた作品であった。
時代はアメリカの大恐慌時代の1938年、舞台は寒波が街を覆っている
ニューヨーク州の州郡オールバニー。
かつて自らの過失が原因で生まれて間もない息子の命が奪われ、
自責の念から強度のアルコール依存症となり、オールバニーで暮らす家庭を捨て、
野球選手としての仕事も捨て、その日暮らしの浮浪者を続けている
フランシス(ジャック・ニコルソン)と、かつてはラジオ歌手として
一世を風靡したが、家庭問題を引き金としてアルコール依存症となり、
ここ10年ほどフランシスと行動を共にしているヘレン(メリル・ストリーブ)が
息子の死後22年ぶりにオールバニーに戻ってきたところから本作は始まる。
日本ではあまり馴染みがないIronweed。
Ironweed(鉄の雑草)の名前にそぐわない美しい赤紫色の花を秋に咲かせる
キク科の植物のようであるが、The ironweedsは俗語で浮浪者のたまり場の
意味も持つようである。
鉄のような強さを持ち合わせいない、むしろ“繊細”な心を持つ
フランシスとヘレンの二人には再び美しい花が咲くことは無かった。
本作の前年(1986)の作品「ダウン・バイ・ロー」で存在感を示していた俳優であり
歌手のトム・ウェイツ(余談であるがブルース・スプリングシーンと同じ
1949年生まれ)が、どこまでも暗い本作の中で、どこかオプティミスティックな
雰囲気を漂わせている余命いくばくも無いがん患者の浮浪者を好演していた。
「蜘蛛女のキス」本作そして「カランジル」とヘクトール・バベンコ監督は
「徹底して落ちぶれ、徹底して下降し、救いのない」世界を描き続ける。










