「アジョシ」 The Man From Nowhere
過去を消され、出産を間近にした妻を殺された男と、
両親の愛情を知らない少女。
少女のあだ名は「ゴミ箱」
男のあだ名は「質屋のおばけ」
ひとりぼっちの少女を気にかけてくれる
おじさん。
だから少女は言う
「おじさんまで嫌いになったら、
私の好きな人がいなくなってしまう」
119分の作品の108分の場面で
九死に一生を得た少女は、男に思いを込めて確認する
「私を助けに来てくれたのね?
そうでしょ。
助けに来てくれたんだね。
おじさん
助けにきてくれたんでしょ」
2010年の韓国映画「アジョシ」は一流のアクション映画であるとともに
キム・セロンの卓越した演技が光る、
ウォンビンとキム・セロンの為の作品であった。
ハナミズキ、 ツツジ
20世紀初めに東京市長から米国の首都ワシントンDCに
贈られたソメイヨシノの返礼として日本に移植されたとされる
ハナミズキ。
北米を原産地とし、ニュージャージーでは、緑の芝生に覆われた
陽当たりの良い庭の真ん中で大きく聳え、日の光を樹木全体で浴び、
開花時期には白い花(総苞)で全ての枝が覆われる見事な大木を
街のあちこちで見かけるハナミズキ(Flowering Dogwood)。
ソメイヨシノの花が終わり、二子玉川のシンボルツリーでもあり
街路樹として沢山植えられているこのハナミズキが咲き始めた。
太陽の光を好み、日照不足だと樹勢が衰え、桜と比較すると
やや頑強さに劣るハナミズキであるが、春先の花、新緑、秋の紅葉、
そしてたわわに実る赤い実と1年を通じて見る者を楽しませてくれる
我々の生活に密着し、共に生きている花木である。
咲き始めたツツジが昨夜の雨に濡れていた。
サンザシの樹の下で(山楂樹之恋:The Love of the Hawthorn Tree)
春に白い花を咲かせ、
秋に朱赤色の実をつけるサンザシ。
上海から西に約1,000kmに位置する
湖北省遠安県の田舎には日本との戦争の時期に、
この木の下で殺された多く中国人の血を吸って
真っ赤な花を咲かせたといわれるサンザシの樹があった。
1999年の「初恋のきた道」(我的父親母親/The Road Home)から
11年、本作「サンザシの樹の下で」(山楂樹之恋:The Love of the
Hawthorn Tree)で張 芸謀(チャン・イーモウ)は文化大革命の時代に
国の施策に翻弄された若い男女の過酷な運命、そして瑞々しい心を、
その美しい映像を通して描ききっていた。
1966年から約10年続き、その徹底的な暴力的弾圧により
多くの知識人、人材、文化財が抹消され、
後に毛沢東一派による共産党指導部内の大規模な権力闘争
と称され、詳細な数字は不明であるが数百万人が“粛正”され、
1億人程度の国民が被害を被ったとされる文化大革命。
文化大革命の嵐が吹き荒れる1970年代、
知識人であるが故に父親は投獄され、
自身は“ブルジョア”的として、ことある毎に職場で
なじられているが、娘が教師の資格をとるために
生活の全てを捧げている母親そして幼い妹弟と質素な
暮らしをしている高校生のジンチュウ。
学生の再教育の一環として田舎に送られたジンチュウは
そこで青年スンと運命的な出会いを果たす。
教師免許を取得する妨げとなるとして母親から会うことを禁じられる
ジンチュウとスン。
この約束以降スンからの連絡は途絶えていたが、
人伝にスンが入院したことを聞いたジンチュウは母に無断で
スンを見舞い行き、一緒に街で買い物をした祭に赤い布をプレゼントされる。
“サンザシの花が咲く頃、この布で作った赤い服を着て、
あなたと一緒に見に行くわ”
いつまでも、いつまでも待つ、
時代そして社会に引き裂かれた若い二人には、
この間に奪われた時間はあまりにも貴重で、
二度と取り戻すことのできないものであった。







