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静寂の叫び A Maiden’s Grave

1990年からプロとして本格的にミステリー作家の道を歩み始めた

ジェフリー・ディーヴァー。

このジェフリー・ディーヴァーの比較的初期の作品である

A Maiden's Grave(静寂の叫び)は、いたるところに読者を

ジェフリー・ディーヴァーの世界に誘導するトリックが散りばめられている

ミステリーの醍醐味が味わえる作品であった。


舞台はアメリカの“田舎”カンザス州の小麦畑が広がる丘陵地帯に、

アーカンソー川に沿って唯一棟ぽつんと建っている、かつては食肉工場であった

煉瓦作りの廃屋。


聾学校の生徒8名 スクールバスを運転していた教員そして自らも聴力を

失っている教育実習生メラニーの10名を人質としてこの廃屋に立てこもった

三人の脱獄囚のボス的存在であるルイス(ルー)・ハンディと、FBI危機管理

チームのベテラン交渉担当者アーサー・ポターの人質解放を巡っての心理戦を

深く掘り下げ、人質として自由を奪われたメラニーが自己の殻を破って

勇敢に戦うまでの心の動きを描いている。


T・ジェファーソン・パーカーの1990年代の作品と2000年代の作品では

同じように面白く読めるが、ストーリーの緻密さに年輪の重みを感じるように、

ジェフリー・ディーヴァーも1995年に出版された本作と2004年の作品

「獣たちの庭園」(Garden Of Beasts)を比較すると執筆活動の年数が

著作の完成度に深く影響し、作品の内容はより円熟し、そのプロットはより

緻密になってくるように感じる。



1994年に出版された本作はまだ荒削りな面は散見されるが、

最後の最後までどうなるか判らない、読者の心を読み、

読者をリードするジェフリー・ディーヴァーの世界は健在であった。


アメージング・グレイス、その言葉の妙なる響きーーー


わたしのような哀れな人間を救ってくれた

わからなかったことがわかるようになり

見えなかったことが見えるようになった。



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ノカンゾウ


美しく咲いていたサラサウツギの花が散り、緑色が目立つ

緑地公園のいつもの場所で、鮮やかなノカンゾウの花が

咲き始めた。


ワスレグサ(忘れ草)属で多年草のノカンゾウ。

寒い冬の間は地上部が枯れ、暖かい春になって伸びてきた

若草色の新芽は昔から食べられる野草として活用されて

いるが、花が1日で終わるとのことから名付けられた

ワスレグサで表現されているように、やはり梅雨のこの時期に咲く

赤黄から赤橙色の美しい花がこのノカンゾウを象徴している。


万葉集の頃から日本に自生しているカンゾウの仲間達

日本の伝統色“萱草色”(かんぞういろ)はノカンゾウの花の色に

もう少し黄色味を足し、ややくすませた初夏に相応しい

赤黄色である。



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ラビット・ホール: Rabbit Hole

他銀河や並行宇宙につながっているネットワークの

入り口ラビット・ホール

ある者はこのラビット・ホールを通って

平行宇宙で生き続けている死者の姿を探しに行く。


本作ラビット・ホールは、8ヶ月前に突然の事故で愛する4歳の

一人息子を失った母と父が、肉体としての息子は存在しないが、

息子の部屋、息子の衣類、息子のおもちゃ、そして息子の動画が

残された空間で、妻と夫としてどのようにお互いを尊重し、

これからの人生を生きていくかの心の葛藤を探った物語である。


実体としては既にこの世の中に存在しない息子に所属していたものを

全て消滅させることで、あまりにも大きな喪失感を埋めようと決意する

妻を演じたニコール・キッドマンの表現力に、

この女優が潜在的に持っている演技者としての実力を感じた。


ラビットホール、ウサギの穴

家から逃げ出した愛犬を追って道に飛び出した息子を

撥ねた少年も、アリスが迷い込んだ不思議な世界に

心の安らぎを探していた。



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