先週末、比較的近くに見つけた林道の現状確認のために試走にいきました。その際、山中で出会った農家で猟師な地元の方と話した「クマ対策」についての備忘録を残しておくことにします。
市内在住のサイクリストにとっては定番のヒルクライムポイントを越えていったところで集落が点在している山間地域にある林道2本に、状況確認のための試走に SuperCaliber で出掛けました。事前にインターネットで調べてみたのですが、それら2本の林道に関しての情報はそう多くはありません。並走する道路(自身もロードバイクでのトレーニングルートとして利用している道)も整備されているし、その林道の距離もそう長くないので、そんなに人が入り込んでいくような林道ではないのだろうな…と想像はしていました。ただ、近場にあって気軽に走りに行ける林道という意味でこれらを繋げて走れるといいのかな?と思ったので、とりあえず試走に行ってみるかという軽い感じで。
行ってみると、シングルともダブルとも言い切れない感じの道幅で、かつ所々に手入れの行き届いていない箇所があり、実際問題として車の通行は不可能。MTBでも草を搔き分け進む場面が多数あるような感じの林道でした。その林道を9割方進んだところで前方にスーパーカブが目に入ってきました。その傍らには男性の姿も。山菜取りの方かなと通り過ぎる際に一応挨拶をしたところ、話しかけてきたので、脚を止めてしばしの異文化交流タイムを。
話しを聞くと、その男性は県の委託を受けてクマなどの罠による捕獲をおこなっているそうで、その時も罠を見て回っている途中だとのこと。そんな方と話をする機会もあまりないので色々とその手の話しを聞いたりしているなかで当然クマの話しにもなります。その男性自身も3頭ほどのクマを罠で捕獲したことがこの山でもあって、そのクマたちは捕獲地点でまた自然に帰しているとのこと。殺処分していないから個体数は減少しておらず、少なくとも野に放たれた捕獲体験のある3頭のクマがこの山にはいるということや、その他にも彼自身のこの山でのクマ体験談を聞かされたので、信じるに足りるクマ情報という認識になり、「まあ大丈夫でしょう~」という甘っちょろい認識に近い状態であった自分が怖くなってきます。
その男性にMTBで林道に入っている我々にできる対応策は何かあるのか?を聞いてみました。ちなみに現時点での私の対策としては「熊鈴」くらいしかありません。彼曰く、熊鈴も “ないよりはマシ程度” との認識でいた方がよいと。人慣れしていないクマには効果があると思うが、最近のアーバンベアー化したクマたちは、ラジオや熊鈴といった類の “常時鳴っている音” には反応しにくくなってきているように感じるらしい。信じたくないことだけれども、もし人肉の味を覚えたクマだった場合は、“餌”の居場所を知らせている音にもなりかねない…とも。さらには、不意に出会った際に 走って逃げるなんてことは不可能 だと思えとのこと。クマの走るスピードはとても速く、状況次第ではウサイン・ボルトでも敵わないらしい。MTBでも林道をそんなに速く走ることはできない。
まとめると、熊鈴はもっていても然程の役には立たない場合もある(ないよりはあった方が良い)。もしその状態でクマと出会った場合には、正しい対処法を行ったうえで、クマが自らどこかに行ってくれる “奇跡” にかけるしかないそうです。
それじゃあまりにも…ということで、ほかに能動的にできる対策はないかを教えて貰うと、鎌やナタ、ナイフなどを持ち歩くことで、万一襲われてしまった際の生存確率を “ほんの少しだけ” 高めることはできると。要は対抗するための武器を持てということのようですが、さすがに鎌をもってMTBで林道走る訳にもいかないし、そんな恰好で街中を走っていたら警察官に職質を受けそうだ(苦笑)。そこで話に出てきたのが “熊撃退スプレー” なわけです。
これも生存確率を少し高めてくれるだけのアイテムだけれども、鎌・ナタ・ナイフの類のものよりは、生存確率への影響度や携帯性でみると現実的ではないかということで、帰宅後にこの熊撃退スプレーについて調べてみましたが、大型種であるヒグマに効果のあるものは危険物扱いになっていて街中で持って歩いていると職質対象となるみたいな記述も散見されるような代物のようです。本州にいるツキノワグマは、小~中型種であるため、そこまで強力なものでなくても効果があるということのようですが、実体験のないことを想像で考えなくてはいけないので、やっぱり分かりません。なので、いま山岳ガイドをしている昔の友人にその辺のご意見を貰っているところ。
この熊撃退スプレーのお値段は総じて6,000~10,000円あたりの価格帯で販売されています。高いか安いかはその方の価値観で異なるでしょうが、個人的にはこの位のコストなら良いのかなと思ったりします。まあ、熊撃退スプレーを持ち歩くかどうかの判断はもう少し先にはなりますが、ことクマ対策ということに関しては、もう少し真剣に考える必要があるかも知れないと思った先週末のMTB林道探索ライドでした。