突然ですが質問です。
みなさん、「ソーラーシステム」ってご存知ですか?
「屋根の上に載せて昼間発電して余った電気を売るアレでしょ?」
と思った方、
残念!!間違いです。
それは「太陽光発電システム
」です。
「太陽光発電システム」は 今とても話題の商品で、TVCMも盛んに
放映されているので、みなさんよくご存知だと思います。
今回紹介する「ソーラーシステム
」は、見た目には太陽光発電と同じ様に
屋根にパネルを載せますが、電気ではなく「お湯」をつくる設備機器です。
屋根でお湯をつくる、というと ひと昔ふた昔前に流行した
「太陽熱温水器
」をイメージされるかも知れません。
屋根の上に集熱パネルとタンクを載せるアレです。
・・・正直あんまりいいイメージありませんね。
対して「ソーラーシステム」は屋根の上にタンクを載せずに、
屋根の上の集熱パネルと地上に置いた貯湯タンクを
不凍液を循環させて熱回収してお湯をつくるシステムです。
この「ソーラーシステム」を先日リフォーム工事を行ったS様邸で
ご採用頂いたので、工事からご使用されるまでをリポートします。
=
S様邸は築約25年の木造住宅です。
当時は最新の設備機器だった「ソーラーシステム」を新築時から
設置していました。
新築時に設置したM電工製のソーラーシステムがとても快適に
機能していたのですが、数年前から不凍液が漏れ出して、
熱回収の効率が目に見えて落ちていたそうです。
数年前から、色々と相談をされていたのですが、
当時製造していたM電工はこの事業から既に撤退されていて、
似たような商品が最近までほとんど無い状況でした。
今年に入ってノーリツ社からソーラーシステムの新商品が発売され、
ご紹介したところ、「コレだ!」ということで採用いただきました。
採用の決め手は設備そのものの良さもありますが、
国の省エネ設備器具に対する補助金も大きなきっかけでした。
S様邸はソーラーシステムの設置と合わせて屋根の葺き替えと
雨樋の取替、外壁の塗り替えの工事をしました。
ソーラーシステムの取替工事を中心にリポートします。
撤去する既存のソーラーシステムはM電工製約25年前のものです。
システムのメーカー耐用年数は約10年ですが、
プラス10数年ほとんど問題なく使用していました。
しかし、数年前から不凍液が漏れたり内部に腐食が出てきたりで
効率が悪くなっていました。
集熱パネルは内部に一部腐食が見える意外は結構きれいです。
システムの基本的な構造は、シンプルでアナログです。
屋根上の集熱パネルで暖めた不凍液を循環して
地上の貯湯タンクで熱交換してつくったお湯を貯める、というものです。
屋根上で暖めたお湯を直接利用するのではありません。
不凍液を循環させるので冬場でもしっかり機能します。
基本的な構造は新型も旧型も大きくは変わりませんが、
新型のノーリツ製システムは、熱効率を高めるためにシステムを電子制御しています。
集熱パネルを撤去して屋根を葺き替えます。
↑Before ↑After
シングルルーフィングの「オークリッジプロ」を上葺きしました。
集熱パネルの設置そのものは1時間ほどで完了です。
見た目には太陽光発電と似たような感じですが、
不凍液を循環させるためのペアチューブが配管されます。
貯湯タンクはこのように設置されます。
タンクの容量は140リットルとかなり少なめですが、
70℃以上の高温水を貯湯するためお風呂沸かしなどは
ほとんどガスを使わずにできます。
貯湯タンクはガス給湯器と一体になっているので、
お湯切れした場合はガスでお湯を沸かします。
お風呂にお湯張りします。
基本的にフルオートなのでボタンひとつでOKです。
システムの操作・管理はリモコンで行います。
見た目は普通の給湯器のリモコンと全く同じですが、
よく見るとタンクの湯温度が73℃と表示されています。
73℃で貯まっているお湯と水を混ぜて40℃でお風呂にお湯を溜めています。
夏場ですと貯湯の温度が80℃以上まで上昇してしまうので、
高温になり過ぎないようにシステムが自動的に電子制御して70℃前後で貯湯します。
お風呂にお湯を溜める程度ではガスは全くといってよいほど使いません。
キッチンのリモコンも見た目は普通の給湯器リモコンとほとんど変わりません。
昼間お湯をつくっている時はリモコンの中央部が緑に光るそうです。
今回私自身この「ソーラーシステム」を始めて知り、勉強不足を実感しました。
太陽光発電システムは数年前から一般的になり、とても魅力的な設備機器ですが、
以前から色々な問題点が指摘されています。
大きな集光パネルの面積が必要なことや耐用年数、
経年劣化での変換効率の低下、システムの全体のコスト等々。
今回紹介した「ソーラーシステム」は太陽光発電とは似て非なるモノで
単純に比較することはできません。
しかし、システムの原理がとてもシンプルなので耐用年数が長いこと、
不凍液を循環させるので効率が安定していること、
とりわけ導入コストが安いこと(一般的な太陽光発電の3~4割程度)は特筆できます。
太陽光発電
だけでなく、エコキュート
、エネファーム
、エコウィル
等々
最近のエコブームで様々なエコ設備器具が話題となっています。
中でも「ソーラーシステム」は一部の環境マニア(?)の方々の間では
「今現在、唯一投資コストが回収できる(元が取れる)エコ設備機器」
と静かな話題になっているそうです(メーカー担当者談)。
ちなみにS様は「ソーラーシステム」採用に当たって、国の補助金とリース契約を賢く利用して、
月約5,000円×10年間のリース契約で設置されました。
詳しくはこちら↓
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=12317
エコ設備をご検討の方、「ソーラーシステム」もご検討してみてはいかがでしょうか?
ishii