第44稿 「声楽の世界:
今回ご紹介する曲は、前回ご紹介したアレッサンドロ・スカルラッティ(1660~1725)による作品です。
あと6回ほど彼のシリーズが続きます。
前回説明したように、スカルラッティ氏はナポリ楽派の開祖です。
均質のリズムに乗った流麗な音楽、奔放でいながら完成度の高いメロディーは、「神童」モーツァルト(1756~1791)(古典派:1730~1810)が現れるまで、イタリア人を熱狂の渦に巻き込みました。
この歌曲はオペラ「愛のまこと(L'honesti negli amori))」(1680)、あるいは「ポンペオ I Pompeo」(1683年)のいずれかのアリアであったとされています。
対位法的に作られたピアノの伴奏がまるで「日が昇るような印象」を与え、活力に溢れていますね。
当時、イタリア人は中東やインドなどの「東」に対して憧れや夢を抱いていました。
この生命力に満ちた歌は、まるでインドのガンジス川から日が昇るようなイメージを沸き立たせ、イタリア人達を魅了したとされています。
歌詞も、太陽の黄金の光があたり一面に輝き、昨日までの憂いを包み込んで癒してくれるような印象を与えています。
ポイントは「太陽(sol)」ですので、意識して「S」の子音を処理すると、より太陽のイメージを強くすることができるでしょう(し過ぎに注意)。
発声面はけっこう難しいですが、言葉とメロディーのバランスがよくできている作品なので、ぜひ発声練習としても歌いたい曲です。
一音に入る言葉が多すぎず少なすぎず、子音を処理する感覚も母音を流す感覚も同時に練習しやすい歌なので、ぜひ楽しんで歌って頂きたいですね。
イタリア人が愛した輝く希望にも似た歌をどうぞご堪能ください。
★動画批評
声種:リリコ・レッジェーロですね。少し声が重くなっている時期のパヴァロッティ氏です。
表現:いかにも陽気なイタリア人風で面白いですね。教科書的というよりも、カツォーネ的な表現で、音符や記号もそれなりに守っていますが、聴き手を楽しませるような表現が好感を呼びますね。
発音:「ピュウ」や「スファヴィッラ」が「piu」「sfavilla」として聞こえてくるような、非常にイタリア人的な発音です。見本になります。
発声:この人はいつもマスケラに強く響いてますので非常に明るく力強い発声ですが、声のスタミナや力強さが足りない方はしない方が良い発声でもあります。
※歌詞
Già il sole dal Gange 陽(ひ)はすでにガンジス川から
più chiaro sfavilla 一層明るく輝いて
e terge ogni stilla 晩の涙の雫を
dell’alba che piange すっかりぬぐい去る。
Col raggio dorato 陽は金色の光で
ingemma ogni stelo すべての草木を飾り、
e gli astri del cielo 大空の星々を
dipinge nel prato 野に描き出す。
※参考「イタリア歌曲集」より 歌詞対訳:戸口 幸策

あと6回ほど彼のシリーズが続きます。
前回説明したように、スカルラッティ氏はナポリ楽派の開祖です。
均質のリズムに乗った流麗な音楽、奔放でいながら完成度の高いメロディーは、「神童」モーツァルト(1756~1791)(古典派:1730~1810)が現れるまで、イタリア人を熱狂の渦に巻き込みました。
この歌曲はオペラ「愛のまこと(L'honesti negli amori))」(1680)、あるいは「ポンペオ I Pompeo」(1683年)のいずれかのアリアであったとされています。
対位法的に作られたピアノの伴奏がまるで「日が昇るような印象」を与え、活力に溢れていますね。
当時、イタリア人は中東やインドなどの「東」に対して憧れや夢を抱いていました。
この生命力に満ちた歌は、まるでインドのガンジス川から日が昇るようなイメージを沸き立たせ、イタリア人達を魅了したとされています。
歌詞も、太陽の黄金の光があたり一面に輝き、昨日までの憂いを包み込んで癒してくれるような印象を与えています。
ポイントは「太陽(sol)」ですので、意識して「S」の子音を処理すると、より太陽のイメージを強くすることができるでしょう(し過ぎに注意)。
発声面はけっこう難しいですが、言葉とメロディーのバランスがよくできている作品なので、ぜひ発声練習としても歌いたい曲です。
一音に入る言葉が多すぎず少なすぎず、子音を処理する感覚も母音を流す感覚も同時に練習しやすい歌なので、ぜひ楽しんで歌って頂きたいですね。
イタリア人が愛した輝く希望にも似た歌をどうぞご堪能ください。
★動画批評
声種:リリコ・レッジェーロですね。少し声が重くなっている時期のパヴァロッティ氏です。
表現:いかにも陽気なイタリア人風で面白いですね。教科書的というよりも、カツォーネ的な表現で、音符や記号もそれなりに守っていますが、聴き手を楽しませるような表現が好感を呼びますね。
発音:「ピュウ」や「スファヴィッラ」が「piu」「sfavilla」として聞こえてくるような、非常にイタリア人的な発音です。見本になります。
発声:この人はいつもマスケラに強く響いてますので非常に明るく力強い発声ですが、声のスタミナや力強さが足りない方はしない方が良い発声でもあります。
※歌詞
Già il sole dal Gange 陽(ひ)はすでにガンジス川から
più chiaro sfavilla 一層明るく輝いて
e terge ogni stilla 晩の涙の雫を
dell’alba che piange すっかりぬぐい去る。
Col raggio dorato 陽は金色の光で
ingemma ogni stelo すべての草木を飾り、
e gli astri del cielo 大空の星々を
dipinge nel prato 野に描き出す。
※参考「イタリア歌曲集」より 歌詞対訳:戸口 幸策

第43稿 「声楽の世界:Sento nel core(私は心に感じる)」
今回ご紹介する曲はアレッサンドロ・スカルラッティ(1660~1725)によるアリエッタ(小アリア)です。
個人的にかなり好きな作曲ですが、作品全体としてソプラノ作品が多いので多く歌う機会が少ないんですよね・・・
まあ、聴くのも好きなので良いのですがw
スカルラッティはナポリ楽派(現代のオペラの基礎であるレチタティーヴォ(セリフ)とアリア(歌)の繰り返しスタイルの始まりを生んだ集団)の先駆者として有名です。
それまでクラウディオ・モンテヴェルディ(1567~1643)(オペラを初めて作った人)らによる「モノディ」(セリフと旋律の中間のような旋律を歌う演劇スタイル)などの、いくつかの楽派があったのですが、最終的にはこのナポリ楽派スタイルが現代に通じるオペラの基本を生み出しました。
まあ、ワーグナー(1813~1883)ように無限旋律に近いものだと思ってください。
割と陽気な作品の多いスカルラッティ氏の作品にしては今回は少々暗いです。
ただ、自然に流れるようなメロディーは、やはりスカルラッティ作品を感じさせますね。
作詞者は不明ですので、どこから得た詩を題材にしたのかもしれません。
歌詞は愛の予兆を感じている人物を描写しているわけですが、恋にしてはけっこう重い表現なので歌いづらいかもしれませんね。
個人的にはソプラノさんがピアニッシモを駆使して情感たっぷりに歌うと本質的に似合うんじゃないかと思います^^
発声も比較的上がったり下がったりが多いので、中声域の方は大変かもしれません。
一つの音の中に文字が詰っていることが多い歌なので、声・響きの支えを重くせず、呼吸量も音の上下で変化させないように気をつけると良いかもしれません。
バロックを代表する作曲家の物悲しげなアリエッタをどうぞ・・・。
★動画評価
声種:少々太めの声のメゾ・ソプラノですね。中音域の息が浅いので、一瞬、太いソプラノかと思いましたw 高音の芯の太さはメゾの特徴ですね。
表現:おそらく、バロック音楽に合わせて所々で変な節を付けています(2:33秒の所などなど)。それと、できればもう少しおしとやかに歌って欲しかったですが、強弱やクレ・デクレッシェンドを上手く表現しているので全く問題ないです。というか上手いですね。
発音:少し子音にクセがありますね。イタリア他国の方かも?「チェ」が少々しつこい発音です。「T]がネットリしてないので、ヨーロッパ系かもしれません。それ以外はよく処理された子音だと思います。「S」の音がもう少し鋭いと良いな~。
発声:結構どんな歌でも歌えるノドを持った人なのではないかと思います。支えは感じますが、意識せずできてるみたいですし、一つ一つの音がやや適当に響かせているので、もともと声が鳴りやすい人なのだと思います。とはいえ、なかなか呼吸の流れがよく、アクートも上手くマスケラに当たっているので上手だと思います。
※歌詞
Sento nel core certo dolore 私は心に感じる
che la mia pace turbando va. 心の平和をかき乱そうとする苦しみを
splende una face che l'alma accende, ひとつの松明がかがやき、魂を燃やす。
se non è amore,amor sarà. もし今それが恋でないとしても、
きっといつか恋になるだろう。
※参考「イタリア歌曲集」より 歌詞対訳:戸口 幸策

個人的にかなり好きな作曲ですが、作品全体としてソプラノ作品が多いので多く歌う機会が少ないんですよね・・・

まあ、聴くのも好きなので良いのですがw
スカルラッティはナポリ楽派(現代のオペラの基礎であるレチタティーヴォ(セリフ)とアリア(歌)の繰り返しスタイルの始まりを生んだ集団)の先駆者として有名です。
それまでクラウディオ・モンテヴェルディ(1567~1643)(オペラを初めて作った人)らによる「モノディ」(セリフと旋律の中間のような旋律を歌う演劇スタイル)などの、いくつかの楽派があったのですが、最終的にはこのナポリ楽派スタイルが現代に通じるオペラの基本を生み出しました。
まあ、ワーグナー(1813~1883)ように無限旋律に近いものだと思ってください。
割と陽気な作品の多いスカルラッティ氏の作品にしては今回は少々暗いです。
ただ、自然に流れるようなメロディーは、やはりスカルラッティ作品を感じさせますね。
作詞者は不明ですので、どこから得た詩を題材にしたのかもしれません。
歌詞は愛の予兆を感じている人物を描写しているわけですが、恋にしてはけっこう重い表現なので歌いづらいかもしれませんね。
個人的にはソプラノさんがピアニッシモを駆使して情感たっぷりに歌うと本質的に似合うんじゃないかと思います^^
発声も比較的上がったり下がったりが多いので、中声域の方は大変かもしれません。
一つの音の中に文字が詰っていることが多い歌なので、声・響きの支えを重くせず、呼吸量も音の上下で変化させないように気をつけると良いかもしれません。
バロックを代表する作曲家の物悲しげなアリエッタをどうぞ・・・。
★動画評価
声種:少々太めの声のメゾ・ソプラノですね。中音域の息が浅いので、一瞬、太いソプラノかと思いましたw 高音の芯の太さはメゾの特徴ですね。
表現:おそらく、バロック音楽に合わせて所々で変な節を付けています(2:33秒の所などなど)。それと、できればもう少しおしとやかに歌って欲しかったですが、強弱やクレ・デクレッシェンドを上手く表現しているので全く問題ないです。というか上手いですね。
発音:少し子音にクセがありますね。イタリア他国の方かも?「チェ」が少々しつこい発音です。「T]がネットリしてないので、ヨーロッパ系かもしれません。それ以外はよく処理された子音だと思います。「S」の音がもう少し鋭いと良いな~。
発声:結構どんな歌でも歌えるノドを持った人なのではないかと思います。支えは感じますが、意識せずできてるみたいですし、一つ一つの音がやや適当に響かせているので、もともと声が鳴りやすい人なのだと思います。とはいえ、なかなか呼吸の流れがよく、アクートも上手くマスケラに当たっているので上手だと思います。
※歌詞
Sento nel core certo dolore 私は心に感じる
che la mia pace turbando va. 心の平和をかき乱そうとする苦しみを
splende una face che l'alma accende, ひとつの松明がかがやき、魂を燃やす。
se non è amore,amor sarà. もし今それが恋でないとしても、
きっといつか恋になるだろう。
※参考「イタリア歌曲集」より 歌詞対訳:戸口 幸策

