隣んちの音楽~kuniのクラシック音楽~ -2ページ目

第42稿 「声楽の世界:Tu lo sai(あなたは知っている)」

 今回ご紹介する曲はジュゼッペ・トレッリの作曲による作品です。

 作曲者はバロック期に協奏曲、ソナタなどの作曲で有名だった方です。
 最盛期にはサン・ペトロニオ大聖堂の指揮者をしたり、貴族の宮廷楽団で過ごしたりしたようです。
 曲調は典型的なバロック様式を踏まえていますが、穏やかでゆったりとした雰囲気は、この人の性格を表しているような気がします。

 歌詞の内容は、推測すると「あなたは私がどれほどあなたを愛していたか知っている。あなたが私だけを愛してくれたら、私は何もいらない。私を忘れないで。そして(その事で、自分の行った)不実を恥じなさい。」的な感じでしょうか。
 表現や曲解釈のポイントは「(あなたが私を愛してくれれば)私は他に何も望みません」や「私を忘れないで」というセリフを読むと、あなたの理解の一助になるかもしれません。

 ※(イタリア歌曲集での戸口氏の歌詞訳は、分かりづらいです。恐らく、『lo(彼の略愛称)』と「私は他に何も切望しません。でも、私を忘れないで。そして不実を恥じてください」という箇所の『でも』『そして』の関係を詩的に表現しようとして真逆に近い表現をしてしまったのだと思います)

 発声の面では、特に難しくないと思います。
 しかし一応、注意点を述べるとすると、曲全体で思ったよりも高いファやミがよく出てきます。
 初心者の方や中声域(バリトン、メゾ)の方は少々しんどいでしょうから、最後まで呼吸が流れるように、高音が出るように喉のスタミナを配慮してください。
 クレシェンドやディクレッシェンドに注意を払い、無理せずバランスよく最後まで気持ちよく歌えるようにご自身をコントールしてください。
 (まあ、最初からできてれば世話ないですけどねガーン

 しっとりとしたロマンチックバージョンのバロック歌曲の世界をのぞいてみてください。

★動画評価
 声種:典型的ソプラノ・リリコですね。その中でもこの歌手は清楚で優しさがこもった響きがありますね。「椿姫」のヴィオレッタとか「魔笛」のパミーノが似合いそうです。
 歌唱:いくつかの不安定な音程は、おそらく緊張と思います。それを踏まえても、教科書的で美しい表現だと思います。ぜひ見本にしたいですね。
 発音:歌手のことは分かりませんでしたが、このハッキリした発音はイタリア人だと思います。それに、「トゥ」が「トォ」に近く、「サイ」が深い呼吸をしているので、アジアンでもアメリカ人でもないと思います。
 発声:古い歌手の方でしょうね。少し固めの発声です。余分なリキみと緊張があり、高音をいつもの調子で出そうとして緊張で失敗している印象を受けます。中音域はキレイに出ている気がしますね。なかなか素晴らしいです。



※歌詞
 Tu lo sai, Quanto t'amai  あなたは私がどれほどあなたを愛していたか知っている。
 Tu lo sai, lo sai,crudel  (その事がどれほど辛い事か知っているあなたは)残酷な人。
 Io non bramo altra merce  私は他に何も切望しません。
 Ma ricordati di me      でも、私を忘れないで。
 E poi sprezza un infedel  (その事で自分の)不誠実を恥じて。
 Tu lo sai, Quanto t'amai  あなたは私がどれほどあなたを愛していたか知っている。
 Tu lo sai, lo sai crudel  (その事がどれほど辛い事か知っているあなたは)残酷な人。

参考:「イタリア歌曲集」より 歌詞対訳:戸口 幸策
   「ヤフー!知恵袋」より 「イタリア歌曲集の・・・



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第41稿 「声楽の世界:Deh,più a me non v'ascondete」

 邦題「姿を隠さないでほしい」

 今回ご紹介する曲はジョヴァンニ・マリア・ボノンチーニの作曲によるアリエッタ(小アリア)です。

 モデナ大聖堂という教会の楽長さんであり、有名なヴァイオリン奏者であったようです。
 個人的な話ですが。この人といい、ヴィヴァルディといい、ヴァイオリン好きの作曲者は声楽曲と相性が良い気がしますね~。

 さて、こちらの曲は主題→第二主題→主題再現の三部構成です。中間部は少々セリフ的要素が強いので、「歌う」より「話す」ように歌った方が曲のエネルギーを生かすことができそうです。
 歌詞は、最近好きな人を見かけなくて、ついにその姿を見たときの恋する若者の心境を綴っているようです。

 この曲は中級者にとっては非常に大切な曲です。
 なぜならば、ベルカント時代ベッリーニドニゼッティなど)に似た特徴(流れるような美しいメロディーと強弱の使い所など)が発見できます。
 つまり、この曲を練習すると、ベッリーニやロッシーニを歌う予行演習になると思うのです。
 曲自体も美しいですが、私は「練習」を念頭に置いて歌うのが今後の為にも良いと思います。

 曲の特徴としては、先述したように「流れ」「強弱」がポイントとなりやすいです。
 音符が坂道ように並んでいますが、滑らさず、階段発声にせず、適度に音程を合わせてください。
 それでいて、覚えていたらフォルテとピアノ、クレシェンド・ディクレッシェンドについても気を配りながら歌ってみてください。

 ベルカント・オペラにも似た流麗な雰囲気をどうぞお楽しみください。

★動画批評
 声種:ソプラノ・スピント(太め・強い声)です。高音が少し明るく、中音域の支えが少々軽めなので、メゾではないと思います。
 歌唱:ひと昔の歌手の特徴である「職人的音楽表現」(褒めています)ですね。自分の声に合わせ、細かい表現もしながら、時には大胆にフォルテや子音発音を表現し、感情もハデにはせず、メロディーに感情を乗せる技術は勉強になります。
 発音:実に子音の処理が上手いと思います。中級者だと「ルチヴァー」が聞こえにくかったり、「ソル」が曇った発音になったりします。
 発声:典型的なイタリア系ベルカント発声です。いわゆる「前」で共鳴をコントロールし、口をタテ型にし、呼吸の「支え」が訓練された発声です。素晴らしいです。



※歌詞
 Deh,più a me non v'ascondete,     ああ、もう私から姿を隠さないでほしい。
 luci vaghe del mio sol.         私の太陽である人の麗しい瞳よ。
 Con svelarvi,se voi siete,        お前が姿を現わしてくれるなら、
 voi potete                 この魂を苦しみから
 far quest'alma fuor di duol.       抜け出させることができるのだ。

※参考「イタリア歌曲集」より 歌詞対訳:戸口 幸策



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第40稿 「声楽の世界:Aria di chiesa(教会のアリア)」

 今回ご紹介する曲はアレッサンドロ・ストラデッラによる宗教曲風のアリア(というかアリア風の「祈り歌」)です。
 曲の始めにPreghiera(祈り)と書いています。

 女好き過ぎて、最後は数度目の貴族のご夫人との不倫が原因で暗殺された ストラデッラさんは、バロック音楽のコンチェルト・グロッソ(音楽様式)の確立、という大きな功績を残した立派な作曲家でした。

 ストラデッラさんの人格の批評は置いていて・・・・。

 この作品は、いわゆる「教会ソナタ」の原理からくるの四部構成が特徴です。
 しかも、この作品ではちょっと高い音が連続して上がったり下がったりするので、発声が少しキツイです。(ソプラノさんでも辛いかも・・・)
 一応コツのようなものはありますが、あくまでこれは個人的な意見ですのでご注意を。

 まず、発音ですね。特に母音(a,i,u,e,o)の「イ」「オ」は上級者でも非常に堅い発音の方々が多く、「イ」の直後から発声が堅くなる方が多いです。
 (まあ、イタリア人も「堅い発音」の人、けっこう多いですけどねw)
 歌う時には、強く「子音(s,t,v,rなど)」を強くイメージして、母音を適当に発音してください。

 たとえば、「ピエタ、シニョーレ」を「p,t,s,r」だけのイメージで、発声しやすい母音に置き換えてみて練習してみてください。(パアタサーナーラーぐらいの適当さが必要かもw)
 もちろん、この方法を無視してもOKです。
 とにかく呼吸が止まる発音の空気壁に、小さく少しずつ呼吸でドリル穴を空ける感覚が大切です。
 無茶せず、少しずつ呼吸を流せる発声・発音をあなたのモノにしていって下さい。

 ちなみに、一流の歌手は中音域・高音域の「」発音が一つになっています。
 これはイタリア語を習うとき、本にも書かれていることです
 「イタリア人は『アエイ』を元々一つの発音として扱っており、『ア』『エ』『イ』それぞれは舌の形が変わるだけで、ノドや唇はほとんど変化しない」
 という感覚なんですね。(ドミンゴやモンセラ・カヴァリエ、ルネ・フレミングがそうです)
 なので、言葉を発声する時(特にドイツ人)は『子音』の処理に命を賭けます(言い過ぎw)

 まあ、それがスグにできたら先生なんか要らんわい、というのが私の考えです。
 ですので数学を勉強する感じで少しずつ問題を解決していってください。

 では、 作曲者のざんげに聴こえる 敬虔で貞淑な教会ソナタの美しさをご堪能ください。

★動画批評
 声種:リリコ・レッジェーロですが、パワフルに歌うので、スピント(鋭く強い音)役もこなせる、ご存知パヴァロッティです。
 歌唱:ちょっと彼の力強すぎる歌唱とは少々かみ合っていませんが、これはこれで面白いくて好きです。
 発音:さすがですね。高音の半分以上の母音が一つにまとまっています。特に、1:07の「スィ」は素晴らしい「イ」ですね。中音域で堅い「イ」や「オ」を使うのは、言葉を観客に聞かせるため、あえて堅く発音していると思います。
 発声:イタリアの太陽のような明るく力強い声で魅力的ですが、日本人の細い筋肉はできない発声だと思います。



※歌詞
 Pieta Signore,di me dolente,      主よ、悩める私に憐れみを。
 se a te giunge il nio pregar      私の祈りが届くなら
 non mi punisca il tuo rigor:      厳しく私を罰しないでください。
 meno severi,clementi ognora       厳しさを和らげたいつも慈悲深い眼差しを
 voigi i tuoi sguardi sopra di me:    私の上に注いでください。
 non fia mai che nell’inferno      地獄の永遠の火の中で
 sia dannato nel fuoco eterno      あなたの厳しさによって
 dai tuo rigor:gran Dio giammai.    罰せられませんように、偉大な神よ。

※参考「イタリア歌曲集」より 歌詞対訳:戸口 幸策



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