『え?』
ケータは見つめていたiPhoneの画面から顔をあげた。
土曜日の午後、ざわついていたカフェの音もケータの耳には入って来なくなった。
『本田さん・・・、そう、なのか?』
本田カナは綺麗にネイルされた手をテーブルに置いて、うつむいて見つめているようだった。彼女の細い肩が微かに震えているように見えた。
彼女はただ静かにうなづくだけだった。
『そっか・・・そうなのか。』
ケータは、こんな時どんな言葉をかけるのが1番良いのか、悩んでいた。
カナはそれ以上何も言わず、ただうつむいていた。
いつもは冷静なケータも動揺のためか、激しく貧乏ゆすりをし始め、いれたてのコーヒーを勢いよくあおった。
『あっつ。』
ケータは慌てて側にある水を飲み干しながら、カナの方をちらっと見た。カナは、ピクリとも動かなかった。
ケータは大きなため息をついた。
『本田さんは、どうしたいの?』
カナはまだ、俯いたままだった。
『・・・産みたいの?』
カナはギュッと両手を握り、小さくうなづいた。
ケータは天井を見上げ目をつぶり、深呼吸してからうなだれた。
『ごめん、考える時間貰えるかな?』
ケータはそう言うと、テーブルの伝票とコートを持ち、席を立った。
外に出ると、バレンタインが終わったばかりだというのに、もうホワイトデーの飾り付けで街は彩られていた。
ケータの周りには、仲良く寄り添いながら歩く恋人達ばかりだった。街行く人がみんな幸せそうに見えた。
ケータはそんな人達を羨ましく思いながら、コートの襟をキュッと閉めて、駅へと歩き出した。
今回、こんな事を書き出したのは、『利用される女』が意外にも楽しんでくれる人がいて・・・
今までコメントがほとんど入らないワタクシのブログにコメントを頂いて、とても嬉しかったのです。で、お調子者のワタクシは懲りずに書き始めたわけですw
今回は、モチーフになった実話はありますが、ほとんど、ワタクシの創作。なので、面白くないかもしれません。
あ、面白くないと思われた方は、ご遠慮なく読むのをやめてください。面白くないという、ご指摘はわざわざいりません。凹みますので。
だって、ブログって自己満足の世界でしょ?だから書くのは自由。読むのも自由なので。批判はいりません。
では、これからもチョコチョコ書いていくので、よろしくですー